テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
キルクラ
行為のあと。
シーツは乱れ、空気はまだ体温を帯びていた。
クラピカはベッドの端に座り込み、無言でシャツのボタンを留めていた。
キルアも、彼のすぐそばに座っているのに――どちらも、言葉が出ない。
クラ「……」
キル「……」
窓の外は、ほんのり白みはじめていた。夜が終わる。
だけど、部屋の中の空気は、終わらない沈黙に包まれていた。
クラピカが口を開いたのは、2人の影が床に伸びはじめた頃だった。
クラ「……悪かった。……勢いに任せたのは、私のほうかもしれない。」
キル「……は?」
キルアが首を傾げる。その声に、微かに苛立ちが滲んでいた。
キル「何、それ。……後悔してんの?」
クラ「……そんなことは言ってない。」
キル「じゃあ何なんだよ、その態度。……まるで俺と寝たことが、失敗だったみたいな。」
クラ「そうじゃない。……ただ、どうしていいのかわからないんだ。」
クラピカは俯き、シーツを握りしめた。
自分の身体に残る熱が、どこか他人のもののように感じる。
キルアは黙ってその背中を見つめる。
普段は理性的で、冷静で、どこまでも強いクラピカが――今は、ひどく脆く見えた。
キル「……俺は、後悔してない。」
クラ「……」
キル「好きだから、クラピカを欲しいって思った。それだけだし、今でも思ってる。」
クラピカは目を伏せたまま、肩を小さく震わせた。
クラ「……私は、そういう感情を……うまく処理できる人間じゃない。」
キル「知ってる。だから……別に、すぐに答えなんて出さなくていいけど。」
キルアはため息をつき、少し距離を取るようにベッドから立ち上がった。
キル「……無理すんな。クラピカのそういうとこ、俺は好きだけど。今はちょっと……俺も、どう接していいか分かんねーから。」
クラ「……キルア……」
返事はない。
ドアが閉まる音だけが、部屋に残った。
そして再び、静けさが降りた。
終わり
HUNTER×HUNTER…!!ハマりました。