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恭香ちゃん、キョトンとしてるな…
僕、そんなに変なこと言ったかな?
『あ、いや、確か恭香ちゃんって映画好きだったよね?良かったら2人で見に行かない?時間ある時でいいよ』
『…』
やっぱり黙ってるな…
どうしよう…
『あの…私、一弥先輩のことは本当に…尊敬してます。仕事出来るし、優しいし、面白いし、それに…』
それに?
『でも、彼女がいる人と2人で映画になんて行けません』
恭香ちゃん、どうして彼女いるとかって…
まさか?!
『すみません…私、見ちゃいました。一弥先輩が菜々子先輩に告白するところ…たまたま通りかかったら一弥先輩が見えて、声かけようと近づいたんですけど…菜々子先輩がいて…』
『嘘、見てたんだ…』
まさか恭香ちゃんに見られてたなんて…
最悪だ。
『すみません、動くに動けなくて…聞いちゃいました。でも、私、一弥先輩と菜々子先輩はすごくお似合いだし、応援しなきゃって…そう思ってたんで…だから…そんな風に誘われてちょっとびっくりして…』
『恭香ちゃん…ごめん。まさか見られてるなんて思わなくて…でも違うんだ。菜々子とは…もう別れたんだ』
『え?別れたって…嘘ですよね?あんなに仲良くしてたのに』
仲良く…か。
そう見えてたんだね。
『本当、あっという間だよね。でも、嘘じゃないんだ。もうちゃんとお別れしたから』
ずっと悩んでたんだ。
前から恭香ちゃんのこと…
優しい性格で笑顔が可愛い人だなって思ってた。
でも、僕はずっと菜々子からアタックされてて…
同期の菜々子のこと嫌いじゃなかったし、美人だと思ってた。
ただ、なぜか答えを出せずにいたんだ。
僕は、本当に優柔不断で情けないやつだ。
恭香ちゃんが好きなのか、菜々子が好きなのか…
近くに居すぎて分からなくなってた。
あの日…
菜々子に、一緒に帰ろうと言われて帰ってた。
そして、あの場所に着いた時…
僕は…
その場の雰囲気で勢いに任せて…
菜々子に…
告白してしまったんだ。
もしかしたら、早く自分の中で答えを出してしまいたかったのかも知れない。
本当にいい加減な男だよな。
菜々子と付き合ってホッとしてた。
だけど、すぐに違和感を感じたんだ。
一緒に居ても、なんか…
嬉しいとか幸せとかじゃなく、窮屈だって…
そう感じてしまった。
好きじゃなかったんだ…菜々子のこと。
一緒に居たら、美人だし、周りに対する評判も良くなるかなとか…
きっとそんな気持ちがあったんだろう…
でも、すぐに思い知らされた。
僕が本当に好きな人は…
森咲恭香ちゃんだって。
菜々子といると余計に恭香ちゃんが愛おしくなった。
こんなこと初めてだ。
誰かと付き合いながら他の人を想うなんて…
だから…
僕は、菜々子に言ったんだ。
『やっぱり好きな人がいる。別れて欲しいって』