そしたら、すごく…簡単に言われた。
『私も一弥とは別れたかったの。あなたより素敵な人が現れたから』
って。
付き合って次の日に現れた本宮君。
彼のことだってすぐにわかったよ。
それならそれでいい。
本宮君の方がカッコイイし、おまけに御曹司だし…
菜々子が本宮君を狙うことに何の嫉妬もなかった。
付き合ってすぐに別れた僕達だったけど、後悔は無い。
それからずっと恭香ちゃんを見てたけど、少し…今までより恭香ちゃんが遠くなった気がしたんだ。
やけに…
本宮君と話してたり…
恭香ちゃんまで本宮君が好きなのか?って、そんなことを心配しだした。
あの日、本宮君のスーツ姿を、恭香ちゃんは離れた場所でたちすくんで見てた…
あれは…
男の僕でもカッコイイと思ったくらいだ。
あんなカッコよくて、しかも、大金持ちで、次期社長も約束されてて、仕事が出来て、センスもあって…
恭香ちゃんが、本宮君に惹かれていったら…
僕には勝ち目は無い。
本当にズルいけど、いっそのこと本宮君と菜々子が付き合えばいいとさえ思ってしまった。
恭香ちゃんの気持ちが知りたいけど、聞くのが怖かった。
もう…本気で好きになってしまってたから。
誰にも…渡したく…ない。
ずっと一緒にいたいって思うほどに…苦しかったんだ。
『映画…無理かな…?』
もう一度念押しした。
必死で笑顔を作ったよ。
引きつってるかも知れないけど…
『お誘いは嬉しいです。でも、少し待ってもらえますか?ただ遊ぶだけだとしても、ちょっと…今はいろいろあって…上手く言えないんですけど…』
告白もしてないから、こんな風に言われたら引き下がるしかないよな…
『そっか…ごめん。いろいろ…あるんだね。わかった。また一緒に行けたら嬉しいし改めて誘うよ』
恭香ちゃんはうなづいた。
申し訳なさそうな顔をしてる…
それが僕をとても不安にさせた。
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