テラーノベル
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2人は歩きながら話した。
「といっても…どこで何をすれば良いのやら。俺達二人じゃ流石にガーデンなんていうおっきい組織倒せないもんね。」
「先入観を持つな。そもそもガーデンを倒すのが目的っつーわけじゃねぇんだ」
「え、そうなの?」
ハルツグは首を傾げた。
カルクは指をクルクルと回し、説明する。
「大まかに言うと、『呪いを断つ』。ただそれだけだろ?それをガーデンが邪魔すんなら倒すしかねぇが、他の方法があんならそっち優先。人は殺さねぇ主義なんでね」
ハルツグはなるほど、と頷いた。
「俺も出来ればそっち主義。じゃあ、やっぱり情報がいるね。それなら、」
ハルツグは持ち前の策謀力で考えた。
パチンと指を鳴らす。
「俺達が行くべきなのは、カースド達の隠れ街『プロンニア』!理想はガーデンが直接治めてる街に行って話聞き回ることなんだけど、王サマの顔割れてるもんね…。あ、俺もか。」
プロンニアへの道中、二人は少しずつ仲良くなった。
カルクは本名を教える。
「俺ぁカルク・クラムだ。好きに呼べ」
「ふーん。カルクくんか!じゃ俺ももう一回名乗っとこ。ハルツグ・ダイバーだよ、よろしくね。もう1回言うけど、ハルって呼んでね」
それでもカルクはハルツグを『ダイバー』と呼ぶし、ハルツグは相変わらずカルクを『王サマ』と呼ぶが、二人の距離は確実に縮まっていた。
「研究か、俺の苦手な分野。」
「ククク、逆に偽るのは俺が得意じゃねぇタイプだな。お互いの欠点を補うっつー点に置いては、良いコンビじゃねぇか?」
「それもそうだね。デリカシーがないかもだけど、少しワクワクしちゃったり!」
そんなこんなで3日ほど旅をして、プロンニアに着いた2人。
そこは、街といえるかも疑わしいスラム状態だった。カルクはハルツグに耳打ちする。
「ほんとにここで情報が手に入るのかよ」
ハルツグも小声で答えた。
「“こういうとこほど”情報が手に入るの!さ、行くよ!」
そして二人が路地に入る。
しかし、路地に入った瞬間カルクは急にハルツグが見えなくなった。
警戒心から呪縛を使ったのかと思って、問いかける。
「ダイバー…?」
しかし返事はない。無愛想なやつめ、いや、それとも本当に居ない…?
変に思ったが、そのまま路地を進むと少女が倒れていた。
近寄ろうとすれば、また違う女子がカルクの前に立ちはだかる。
「メルに近づくな!」
女子がカルクを攻撃しようとすると、地面に生えていた雑草が急激に伸び、女子を拘束。
カルクは慌てて自然をなだめた。
「おい!やめろって!」
カルクは女子の持っていたナイフを取り上げ鞄にしまうと、拘束を解いた。
直後、カルクは女子に組み伏せられる。
女子は不敵に笑った。
「ハハ、なんとも警戒心の薄い男だ…。そして女である私にすら負けるほどの非力とは。」
カルクは焦りながらも、意識を少女の近くの雑草に移した。幽体離脱とは少し違うが…。
「ん!?非力なのがそこまでショックか!?コンプレックスだったのか!?すまない!」
「(いやまあコンプレックス…ではあるが…)」
急に意識を失ったカルクの体の方に驚いたシキを横目に、カルクは少女の様態を確認する。水分不足か。
カルクはすぐ体に意識を戻し、動揺している女子の下からどうにか抜け出して鞄を開いて水を差し出した。
「あのガキに、飲ませてやれ!急げ!」
水を飲んで意識を取り戻した少女。
女子は落ち着き、カルクに礼を言う。そして名乗り、謝った。
「私はシキ、彼女はメルだ。すまない…先入観から貴様が敵だと勘違いした。メルを救ってくれたこと、感謝する」
カルクは首を横に振り、宙に向かって叫ぶ。
「おいダイバー!いんなら返事しろ!」
しかしハルツグは黙ったまま…いや、やはりいないのか?
シキとメルは怪訝そうな顔をした。
カルクがそんな2人に顔を向け直して聞く。
「この路地に入ったら、ツレが消えたんだ。心当たりねぇか?」
2人は顔を見合わせ、お互い恐怖を浮かべた。メルが震える声で呟く。
「ハンターにバレちゃったの…?」
カルクは首を傾げる。どうして今ハンターが話に出てくるのか?
シキが苦い顔で説明した。
「この『プロンニア』には、ハンターが入ると別の場所へランダムに飛ばす結界がある。メルの呪縛だ。きっとお前のツレというのは、その結界でどこかへ飛ばされたのだろう。」
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二人はカルクを警戒した。
「「(ということは、この男も…?)」」
しかしカルクはなんとなく状況を理解し、冷静に聞いた。
「その、『ハンター』の判別基準は何だ?」
メルは答える。
「紋章、だよ。ガーデンの…」
つまり、ハルツグは間違えられたのだ。カルクは額に手を当てて溜息を付いた。
カルクは二人に説明する。
今まであったこと。自分が王ということやカースドが死ぬ理由については伏せて。
メルは真っ青になった。
「ならメル、とっても悪いことしちゃった!」
「いや、メルは悪くない。いつもこの街を守ってくれているだろう。」
「あぁ。ハンターでもねぇのに趣味わりぃ服着込んでた俺のツレ自身の責任だ。すまねぇな」
カルクはしゃがみ込んでメルに聞いた。
「どこに飛ばしたかとか、分かるか」
メルはそれでも申し訳なさそうにしながら答える。
「そこまで遠くは…ないはずだよ。でも、メルはカースドになってから日が浅いから、まだコントロールできてないの…」
カルクはメルの頭を撫でた。
「いや、俺ぁカースドになってからだいぶ経ってるがさっきみてぇにまだコントロールできてねぇ。人それぞれなんだ。気に病むなよ。」
そしてカルクは来た道を引き返そうとする。
しかしシキが引き止めた。
「私も行こう」
二人でプロンニアの周辺を散策しながら、シキは自分について説明した。
「もう一度改めて名乗ろう。私の名はシキ・ドライ。言わずもがなカースドだ。嗅いでから…約5年だな。もう長くはないかもしれん」
カルクの胸がギュッと、強く握られたように痛くなった。
自分のせいなのだ、とは言い出せない。
シキはそうとは知らず続ける。
「私の異能は『鷹の目』。視力が良いのもそうだが、注意力に関しては誰にも負けんぞ」
カルクは驚いた。
「身体能力は?」
「あれは生まれつきだ!」
「は、はは、生まれつき…」
少し進むと、岩場に交戦痕が。
小さな痕跡だったが、シキの『鷹の目』で発見。カルクは感心させられた。
ということで、近くの花に聞く。
「何があったか、分かるか?」
言葉は当然発しないが、雰囲気でカルクは理解した。
ハルツグと他のハンターが対峙したらしい。
今度はシキが感心する。
「花と喋れるのか?」
「喋れはしねぇな。分かるだけだ」
続けてシキがまたまた『鷹の目』で逃げたハルツグの足跡を見つける。
そして追っていくと、森に入った。
カルクは察する。
「(こうやって俺が追ってきた時、自然の多い森なら『自然』が使いやすい。ダイバー、それを全部理解してたな)」
そして必ず追ってきてくれるとカルクを信頼して、逃げていたのだろう。
同時刻。石に気配を偽装して隠れていたハルツグが何かに気づき、『猫かぶり』を解く。
ハンターたちはニヤリと笑った。
「遂に観念したかぁ?」
ハルツグは鼻を鳴らす。
「あは、まさか。“王サマ”が来たから、護衛の俺は彼を立ててあげなきゃと思ってね。」
そしてハルツグは丁寧にお辞儀をした。
そして一言。
「自然を敵にした君達が、もはや気の毒でならないなぁ」
直後、ハルツグの後ろからカルクとシキがハンター達の前にド派手に乱入。
ゴオオオォォォォ!!!
地鳴りが響いた。
「「なっ、なんだァ!?」」
カルクの『自然』とシキの野生の身体能力によって、ハンターたちは圧倒される。
最初は多勢に無勢だとも思われた。
「ケヒヒッ、カースドが増えたぜ!もうけもうけ〜っ!」
カルクを後ろから狙ったハンターがそう言ってカルクに斬りかかろうとする。
しかしシキがすばやさで両断。
同時にカルクの周りの草木がハンターたちを縛りにかかった。
「はぁ!?なんで敵が増え…っ!?」
「バカ、それはただの木だ!本物はこっち…」
「それも岩だろうがァ!」
ハルツグは『猫かぶり』でハンターたちを混乱させる。普通だったらシキやカルクも頭がこんがらがるはずだが…。
「右から三番目は幻覚だ!」
「了解」
シキの『鷹の目』のおかげでカルクとシキは混乱せず。
というのも、先程説明された通りハルツグの呪縛は“偽装”しているだけなので、注意力が強い人には見破られるのだ。
ハルツグにとってシキの異能は天敵と言えるが、同時に戦いの場面では良きバディと言えるだろう。
「ヒィッ、お、お助けをぉ〜っ!!」
「もう来ないでね〜」
ハルツグは煽るように手を振る。
カルクは呆れながらも、数時間ぶりに再開した相棒とハイタッチをした。
プロンニアに帰りながら、カルクはハルツグに路地で何が起こったのかを説明する。
「服!紋章!なるほど、そういうことか。急に王サマ消えちゃうからびっくりしたよ〜」
「こっちからしたら消えたのはお前だけどな」
そんなやり取りを見つつ、ふと思い出したようにシキが聞いた。
「ところで、さっきからなぜ『猫かぶり』はカルクを『王様』と呼ぶのだ?王なのか?」
カルクとハルツグは一瞬パッと目を合わせ、その後言った。
「こいつが勝手に言ってるだけだ」
「王サマ、見かけによらず傲慢なのよ〜」
シキの『鷹の目』には、二人が一瞬目を合わせたのが見えた。しかし追求はしない。
「仲が良いということだな」
誰にでも、他人へ隠している事のひとつやふたつあるのだから。
ハルツグが自然に話題を変える。
「というか俺、ハルツグ・ダイバーだよ。呪縛は名前じゃないから。ハルって呼んで!」
「ハルか、覚えておこう。私はシキ。お前たちとの共闘、案外楽しかったぞ!」
路地の前まで戻ってくると、ハルツグは上着を脱いで燃やした。
「ここに置いておいて、後で回収すればいい話だろう」とシキは呆れたが、「カコとのケツベツだよ〜」なんて軽口を叩いて花まで燃やしてカルクに少し怒られた。
それを聞いたメルはハルツグに必死に謝る。
「ごめんなさい!メルの結界のせいでどっかに飛ばしちゃっただけでもダメなのに、服まで燃やさせちゃったなんて!」
ハルツグは慌てて首を横に振る。
「ううん、いいのいいの!あの服別に好きじゃなかったから!ということで王サマ、上着貸〜してっ」
「ったく、しょうがねぇな…」
カルクは着ていた上着を脱ぎ、ハルツグに渡した。
そして4人は座り、お互いのことを話す。
「私とメルは別に姉妹ではないのだ。私には姉がいるが、カースドではないので別の場所にいる。隠れ街プロンニアの存在を知って来てみた所、この街を守っていたのがメルだったというわけだ」
「でも、メルとシキちゃんはすっごい仲良しなんだ!カルクとハルみたいに!」
言われた2人は顔を見合わせ、苦笑した。
「え〜、でもやっぱり二人には負けるよ。実は俺と王サマ、会ったの三日前なんだ」
メルとシキは目を見開く。
そりゃそうだ。2人のコンビネーションは長年一緒にいたからこそのものだと、会話だけでも感じるというのに。
カルクはシキ達に聞く。
「そうだ、その件を聞きに来たんだ。俺は三日前にこいつに出会って、……あー……色々あって、ガーデンの秘密を知りたい。」
「ごめんね、詳細は言えないんだ。お互いのためにも。」
シキは少し考えて言った。
「すまない、私はその手のことには詳しくなく…。しかし、街の外れにいるハンターなら知っているかもしれん」
「えぇ、ハンター?なんでそんなのがこの街にいるの?」
「簡単に言えばハル、お前のような事情だ。“元”ではなく現役だが…。まあ聞けば分かる。大丈夫、お前達を傷つけるようなマネは絶対にしない。」
メルは苦い顔で続けた。
「でも、片方はだいぶゲスいよ。人として終わっちゃってるの。」
「メ、メルちゃんがここまで言うのって…」
「“片方”っつーのは?」
「兄妹なのだ。名はコダマとムラト。コダマは真面目で、ムラトは…下劣な男だ」
「シキちゃんまで!」
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おお、第2話も熱かった…!「呪いを断つ」っていう目的がはっきりしたのが良かったし、カルクとハルツグのコンビネーションがもう3日でここまで来てるの好きすぎる。戦闘シーン、自然操作×鷹の目の連携がヤバかったし、「自然を敵にした君達が気の毒でならない」からのド派手乱入、脳が沸いたわ。シキとメルも含めて今後の展開が気になる…次も読む🔥