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放課後の帰り道。
夕日がオレンジ色に街を染めていた。
心のどこかが、まだモヤモヤしてる。
夏休みの、あの光景。
駅前で、黒瀬が知らない女子と歩いてたあの日。
(あの笑顔……なんだったのよ、あれ……!)
(別に気にしてないけど!……いや、してる!!)
友達が楽しそうに話してる横で、私はひとりぶすっと歩く。
(なんでそんなに涼しい顔できんのよ!!)
(私ばっか、こんなにぐるぐるしてんのに!!)
次の日。
廊下で女子のグループが話してるのが聞こえた。
「黒瀬くん、またテストで学年上位なんでしょ~?」
「さすがだよねー、頭いいし、顔もいいし」
……カチン。
(……は?なにそれ。)
(別に、頭いいのくらい知ってるし!)
(けど、なんかムカつく!!)
私は机の上に拳をドンッと置いた。
「……よし。」
「水原、どうした?」
黒瀬が振り返る。
「べっ、別に!? なんでもないし!!」
「机、痛そうだけど。」
「うるさい!!」
(……もう決めた。)
(次のテスト、あんたより上取ってやるんだから!!)
放課後、家に帰って、参考書を広げる。
(今に見てろ、黒瀬颯太!)
(私だって、やればできる子なんだから!!)
ペンを握る手に力がこもる。
「よしっ!まずは英語から!」
10分後――
「……なにこの“現在完了進行形”って!?新しい呪文!?」
机に突っ伏す。
「ぐぬぬ……!」
でも、ふと浮かぶ黒瀬の顔。
あの涼しい笑み。
「……くそっ、笑わせねぇからな、次は。」
そう呟いて、またペンを取る。
頬はほんのり赤いまま。
(ほんと、あんたってやつは、私をムキにさせる天才だよ……!)