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放課後。
チャイムが鳴った瞬間、私は席を立った。
「今日は寄り道なしっ!」
友達には……。
「え、珍しいじゃん!」
「う、うるさい!今日は大事な任務があるの!」
(黒瀬には、絶対内緒!!)
――帰宅。
机に教科書を広げ、鉛筆を握りしめる。
「よーし、いくぞ私! 今日から“水原夏江の反撃”開始!!」
(あの、黒瀬の落ち着いた顔……ムカつくほど頭良さそうだったし!)
「テストで上取って、見返してやるんだからっ!」
英単語帳を開く。
「えーっと、important、重要な!……よし! 次!……えっと……important……また重要な!?」
(ぐるぐるしてるー!)
すると母が……。
「夏江ー、夕飯できたわよー」
「まだー!今いいとこ!!」
(どうせ黒瀬はもう復習してるんでしょ!?くそっ、負けるかぁぁ!!)
ペンを走らせながら、ふとスマホが光る。
《クラスグループ:黒瀬が課題の答え共有しました》
「出たな、黒瀬ぇぇ!!」
(優等生オーラ出すのやめて!?タイミングずるくない!?)
「……ま、私は私で頑張るもん!」
ページをめくる。
英語、数学、国語。
気づけばノートがびっしり。
「ふふっ……見たか、黒瀬。私だってやればできるんだから。」
「勝つまでは寝ないのっ!!」
夜風が窓を揺らす。
ページがぱらりとめくれて、静かな部屋に私の声だけが響いた。
(待ってなさいよ、黒瀬。次のテストで絶対驚かせてやるんだから!)