――僕は、高校2年生の 白星 黎翔。いつも通り、未来高校に来ていた。
そして、教室に着いて、準備を済ませていた。だけど、その日常は一変する…
「んん…. (って、あれ….?俺、教室にいたよな…?ここ、どこだ…?)」
俺は、何故か知らない場所にいて、何故かクラスメートの4人が寝ていた。
いや、これは意識を失っているのかも…. たぶん、俺も気絶していたんだろう。理由は…. 分からない。
――すると、他の4人が次々に意識を取り戻していった。
――そして、全く知らない人が出てきた。
「やあ!みんな意識は取り戻したかね?」
明るい声でそう話してきたのは、30代ぐらいの、サングラスをかけた男性だった。
赤と黄色の混じった、派手な服を着ている。
明らかに教員では無い服装だ。 俺達は、この人に閉じ込められているのか…?
「まぁ、この状況が分かっていないだろうから、一旦説明をしておこう。」
「…..」
「僕は怪しい者では無いよ。楽しい楽しい遊びをしに来たのさ!」
「….?」
彼は「怪しい者では無い」と言っているが、そんなの嘘に決まっている。
だけど、何をしに来たのか知るためには、一旦説明を聞くしか無い。
「まず、僕は誰なのかを知ってもらいたいね。」
「僕は、 殺人狼ゲームのゲームマスター さ。」
「は…..?」
他の人達は、ポカーンとして動かなかった。パニクっているらしい。
だけど、その中でも僕は冷静に考える。
――これは“殺人狼ゲーム” という人狼ゲームなんだろうか。彼はそのゲームマスターを努めているらしい。
この話し方からすると、たぶん何回も行っているんだろうな。
「僕の名前は “白” だよ。ハク と読むのさ。」
ハクは、目の前に現れたモニターに、「白」と書かれたのを指さしていた。
そして、次へ次へと話を始める。
「えぇ、みんなはこのゲームを知っているかね?」
その質問に、多くの人が黙り込んでいた。
だが、そんな中でも 一人だけ 質問に答えた者がいた。
「ここに、このゲームを知っている人はいないと思います。」
「そうだろうと思ったよ。」
「まずまず、名前すら聞いたこともありませんから。」
「まあ、『殺人』とついているからね。知らなくても無理は無いよ。」
「じゃあ、説明をしていこう。まずはルールからだね!」
――そう、その質問に答えたのは “優花”だった。
優花はいつも堂々としていて、焦ったり弱音を吐いたりしている所を見たことがない。
教室でも誰とも話さず、一人で過ごしている。
俺は、そんな優花にちょっと憧れていた。
――そんな中、白はルール説明を始めた。
「まず、人狼ゲームと全く違う点が一つ。」
まずは、ルール表を見せてもらった。
〜ルール〜
・チームメンバーは12人である。
・この学校のメンバー5人と、他校生徒の7人がメンバーに加わっている。
・このゲームには、人狼ゲームと同様で「昼の会議」があり、その際に怪しいと思った者に投票することが出来る。
その時、誰が誰に投票したかは知ることが出来ない。
・人狼は、夜のターンに誰か一人を殺すことが出来る。
殺されると、朝になってそれが公表される。そして、その殺される人は全員に見られながら、
狼の容姿をした【??】に爪で刺され、噛み砕かれて死亡する。
・その【??】は、ゲームに参加している人狼の分身であり、本人では無い。
・白陣営は、フリータイムにワールド内を巡りながら、人狼を探す。その時間は20分である。
・人狼はフリータイムに誰でも殺すことが出来るが、殺す時には赤紫色の光が出現する。
・その赤紫色の光を白陣営が見た場合、中央にある「緊急ボタン」を押さなければならない。押すと緊急で会議が始まり、
その会議で、白陣営は「〜が光を放射していた。」という風に話すことが出来る。その時間は5分で、
その後に怪しい人を指差し、一番票数が多かった人が処刑される。これと昼の会議は別である。
・緊急の会議が無かった場合、そのままフリータイムは終わる。ワールドというのは、以下の通りだ。
・現在地は上の通り、青字で書かれた人数表記は、そのワールド内に入ることが出来る人数である。
・それぞれの敷地面積は同じであり、置かれている物等は、人数表記が4人の所と5人の所で違う。
だが、出来ることは限られており、それぞれ同じである。
注意:フリータイムで人狼に襲われて死亡する時は、灰になって消えていく。しかし、処刑の時はナイフに刺され、噛み砕かれる。この「死に方」に注意。
役職:
狼陣営(黒陣営)には⚫️マークが付いている。
⚫️人狼:4人
占い師:2人
霊媒師:2人
狩人(騎士):1人
⚫️裏切り者:1人
恋人:2人
それぞれの説明:
・村人は、特殊能力を持っていないため、白陣営を勝利に導く役割。
・人狼は、黒陣営として毎晩1人の参加者を襲い、リタイアさせる役職。正体を隠しながら、村人陣営を襲い人数を減らしていく。狩人に守られた参加者は、リタイアさせることが出来ない。
・占い師は、昼に誰か一人を占うことができ、その占い結果は自分にしか知らされない。
・霊媒師は、前日に処刑された人の役職を知ることが出来る。その結果は自分にしか知らされない。
・狩人(騎士)は、夜のターンに誰か一人を守ることが出来る。ただし、自分を守ることは出来ない。
・裏切り者は、白陣営に所属しているが、人狼側を有利にしていく役職。この役職限りは、占い師に占われたり、霊媒師に占われても、人狼判定は出ない。
・恋人は、役職内容としては村人と同じ。ただ、恋人の内の一人が死亡すると、もう一人も死亡してしまう。
「というようなルールになっているよ。」
「……」
これは、俺が見たことがあるゲームのルールとほぼ同じだった。
フリータイムというのは初めて見たけど…
だが、俺は少し気になることがあった。それは、 “裏切り者” の存在だ。
仮に占われたとしても、人狼側としての判定は出ない。つまり、村人として居られるわけだ。
裏切り者を探し出す方法としては、言動に注意して見ること… ぐらいだろうか。
ということは、占い結果で「村人」と出ても、裏切り者の可能性も考えなければならないという事。
結局、占われて白陣営として確定なのは 「占い師、霊媒師、狩人、霊媒師」の4つだ。
この4つがバレた場合、結構危険な状態になる。特に狩人は….
だから、普通のゲームよりも注意しなければならないという事だ__
嫌な予感がしてきた… きっと、参加者は色々と考えていることだろう。
そして、静まり返った部屋の中、ひとり声を出した者がいた。
「あの、質問です。」
「おや、流星くんだね。質問は何かね?」
「えっと、占い師が二人いるんですけど、一人につき一人占えるわけですよね?」
そう質問してから、更にと加える。
「だったら、事実として一日2人占えるって事で良いですか?」
「合っているよ!基本的に、何でも一人につき一人、という風に考えておけば良いよ。」
「はい。」
確かに、それはいい質問だな。これを見ると白陣営が有利なのか??
いや、待てよ…
人狼側が嘘をつくことも出来るのか….
人狼側が嘘をついていて、しかも本当の占い師が一人しか名乗り出なかった場合….
偽の占い師も「占い師」として認識してしまう事になる。
ここにいるのは初心者ばかりだろうから、みんなそんなに深く考えていないだろう。
それは危険だ…. もし流星とかが人狼になったら、そんな嘘をつくかも知れない…
それも考慮してゲームを進めていかなければっ…!
「、他に質問は無いかね?」
「はい。」
「それでは、**ゲームの始まりだ!**さぁ、どちらの陣営になったとしても、思い切り楽しんでくれたまえ!」
その白の言葉と共に、奥のゲートが開かれた。
そこからは、俺達5人以外の、7人の参加者が登場してきた。
それと同時に、今いる部屋が大きなホールと化して、円状のテーブルが出てきた。
真ん中の空いているスペースに、ゲームマスターの白が立つと思われる。
「この方達もゲームに参加するよ!先ほどルールの表は見てもらったから、今同じ状態になっているはずだよ。」
「、、、(全く知らない人も連れてきてるのか…..、白って人は…)」
「よし、まずは席についてもらおうか。」
そして全員が席につくと、白はカードを配り始めた。
たぶん役職カードだろう。
「ここには役職が書かれているよ。自分の役職を確認してくれたまえ。」
「今からそれぞれを 個室 にしていくよ。」
すると、どこからか壁のような物がゆっくり下がってきて、それが一人一人のスペースの両端に設置された。
お互いの役職が見られないようにするためらしいが、こんなセットまでするとは….
本気のゲームだ….
「じゃあ、今からカードをめくり、自分の役職を確認。確認が終わったら、真ん中に投げ捨ててくれて構わないよ。」
どうやら、真ん中は巨大なゴミ箱らしい。
俺は、少し緊張しながらカードをめくった。
「(役職、頼む….!!)」
「!!」
俺の役職は……
「狩人」
だった。
コメント
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続きが気になる((o(´∀`)o))ワクワク
白(はく)綺麗な名前!読み方も好き!👍️