夏の夕暮れ、空気には濃厚な花火の香りが漂い、街道の両側には色とりどりの提灯がぶら下がっている、花火大会が間もなく始まろうとしていた。Nakamuはもともときんときと一緒に行く予定だったが、数日前にきんときが急に用事ができて来られないと言ってきた。それを聞いてNakamuは少し失望し、「じゃあ行かなくてもいいか…」と思っていた。
しかし、Nakamuが冷蔵庫やストレージをひっくり返してみると、食材がほとんど残っていないことに気づき、仕方なく靴を履いて外に出ることにした。近くのコンビニで何か適当に買おうと考えていたが、街の角を曲がったところで、知った顔がコンビニの前に立っているのを見かけた。
「シャケ!!」Nakamuは手を振り、偶然の出会いに気分が少し楽になった。「ここで何してるの?」
シャークんは少し驚いた様子で、声が自然と低くなった。「別に、ちょうど通りかかっただけだ」実は、シャークんはNakamuを花火大会に誘うつもりだったが、Nakamuがきんときと約束していると知り、その考えを黙って打ち消していた。
Nakamuは遠くで人が集まっている花火会場を見て、ふと思いついた。「じゃあ、一緒に花火大会に行こうか?」そう言いながら、シャークんの肩を軽く叩いた。「せっかく出てきたんだから、行かないのはもったいないじゃん」
シャークんは少し黙って考えた後、微かに喜びを感じた。「うん、一緒に行こう」彼は軽く答えた。
二人は大通りを歩いて会場に向かい、道の両側にはたこ焼きや綿菓子を売る屋台の叫び声が響いていた。Nakamuは目をあちこちに動かし、まるで好奇心旺盛な子供のようだった。金魚すくいの屋台に近づくと、彼は水槽の金魚を指差してシャークんに言った。「何匹すくえると思う?」
「やってみなよ」シャークんは両腕を胸に抱き、少し興味を持った目で見守った。
「よし、遠慮なくやるよ!」Nakamuは紙の網を取り、水面にそっと手を伸ばした。しかし、数回すくおうとしたところで網が大きな穴が開き、金魚は軽々と泳いで逃げてしまった。
「全然ダメだな」シャークんは思わず声を上げて笑った。「その様子じゃ、全然得意そうには見えない」
「じゃあ、シャケもやってみなよ!」Nakamuは負けじと紙の網をシャークんに渡した。
シャークんはそれを受け取った後、Nakamuの真似をして慎重に水面をすくおうとしたが、結果は同じく惨敗だった。二人は交互にすくってみたが、結局成功せず、笑いながら諦めることにした。
夜空に花火がついに打ち上げられ、そのまばゆい光が彼らの顔を照らした。Nakamuは見上げ、咲き誇る花火を見つめる目には子供のような純真さと陶酔感があふれていた。「すごく綺麗だね〜今年の花火は毎年違うような気がする」
シャークんは夜空に変わる花火を黙って見つめながら、Nakamuがきんときとの約束を思い出し、少し切ない気持ちが湧き上がってきた。「君は元々きんときと来るつもりだったんだろう?」彼は声を低め、視線を空に向けたまま尋ねた。
「うん、そうだったんだけど。」Nakamuは微かに頷き、そして笑顔を見せた。「でも、きんときが急に用事ができたんだ〜実は、来ないつもりだったんだよ」
「そうなんだ?」シャークんの声には少し複雑な感情が混じっていた。「じゃあ、俺もお得な思いをしたってことかな」彼が言った後、突然自分が言ったことに気づき、すぐに咳払いをして、その言葉に含まれる感情を隠そうとした。
「もしかして、僕と一緒に来たかったの?」Nakamuは少しふざけたように言い、シャークんの横顔を見つめた。
「勘違いするな」シャークんは冷たく鼻を鳴らしたが、実際には本当に拒否する気持ちはなかった。「でも、せっかく来たんだから、楽しもう」
その華やかな夜空の下で、二人は並んで静かに立っていた。言葉の中にはまだ互いに冗談を言い合っているが、その酸っぱい中に隠れた温かい感情は、花火が弾けるたびに少しずつ彼らの距離を縮めていった…かもしれない
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