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読切のノベル書いてみたかったとうふです。

始めての研磨たんです。

読切だと続きないから楽なんですよね。

⚠️過去捏造

⚠️クロと研磨性格悪い

「ねぇ、知ってる?

クロが思ってるより、俺、愛されてないよ。」



木曜日の部活終わり、俺は幼馴染みのクロと喧嘩した。

今回は多分、俺が悪い。けど、、クロも悪い。

だってクロは何も知らない。ただの幼馴染みなだけで、何も知らない。

いわば、知ったかぶりだ。


部活終わり、何故か、家族の話になった。

皆家族の事を自慢気に語っていて、俺は一人、帰る準備をしていた。

準備が終わって、つまんなさそうに話を聞いてると、それに気づいたクロが俺に話を振ってきた。「研磨の親も面白いし、優しいよな」って。

俺は「そうかな。そんな優しくされた記憶ないけどね。」ってほんとの事をいった。

そしたらクロ大激怒。「研磨はそう言ってるけど親も仕事掛け持ちしてただろ?研磨のために働いてたんだ。」なんて。

何も知らない癖にってムカついて、「そんな事言われても育児放棄されてたし。」って言い返した。

そしたらクロが「お前なぁ、言って良いことと悪いこと、あるだろ。」と。

俺も「クロこそ部外者の癖に口出さないで。」って。

どんどん喧嘩になってって。ついには「お前、そういうとこだぞ。」って。

何を知ってるんだ?クロは俺の何を知っているんだ。俺がずっと残飯を食べてた事も、卒業式も来てくれなかった事も知らないくせに。

「ねぇ、知ってる?

クロが思ってるより、俺、愛されてないよ。」って半ば呆れ気味に言った。

「もう良いや。意味ないし。クロ待ってたけど、先帰る。」って言ってから俺は体育館を出てった。


俺は怒ってた。だからあんないい加減な言い方をした。

だけどそれはクロもそうだ。

何度も何度も言い返されたことにムカついてたんだろう。

だから、お互い引けなかった。

クロは愚かだ。表面しか知らないくせに、「失礼」だとか。

クロは知らないでしょ。

下校中、大雨が降って、皆が迎えに来た親と一緒に帰ってる間、一人でずぶ濡れで帰ってるのを。

俺が熱を出したとき、家にすら居なかった事を。

俺のご飯はいつも、腐った匂いがする、余り物だけだったのを。

家に帰ってあるのは、母の優しい笑顔じゃなくて、孤独だけだった事を。


考えれば考えるほどムカついてくる。

俺には愛嬌がない。だから愛されてない。

分かりきってる。

だからって、「そういうとこだぞ」って。

言う必要無くない?

勘が良いくせに、そこだけは鈍感なんだね。

クロこそ失礼だ。何も知らないから、傷つけてるんだ。


「今日も家に帰りたくないや…」家を目の前にして、毎回思う。

でも帰らなきゃ寝れないし、ゲームが出来ない。それに寒い。

早く大人になりたいなぁって思う。

大人になって、独り暮らししたら、あの孤独感も、寂しさも感じなくなるから。

どうせ帰っても親はいない。10時は過ぎるだろう。

だからさっさとご飯食べて歯磨きして部屋にこもろう。

なんて考えながら鍵をあける。


そこには見慣れない靴があった。母親だ。

帰ってきてるのか。仕事は?

リビングの扉を開けると、冷たい顔した母親が、広いソファーにポツンと座っていた。

「なんで母さんここにいるの…」

「…」

無視か。もういいやってなって上へ行こうとすると、「電話きたの。てつろーくんから。」って。

クロの入れ知恵だ。最悪だ。どこまで俺を地獄に追いやる気だ。

「…」

「喧嘩、したんでしょ。」

「…」

「てつろーくん、謝ろうとしてたわ。」

「…」

「そういうとこでしょう?」

「何を拗ねてるの。」

「迷惑をかけるのを辞めて。」

「これ以上恥を晒さないで。」

誰のせいだ。誰のせいでこんな事になっているんだ。

もし、お母さんに人の情があれば、もう少し、俺に優しくしてくれれば、こんなことにはならなかった。

自慢気に話せたのかもしれない。会話に入れたのかもしれない。

「もういいよ。」

「俺が悪かったから。」

「それで十分でしょ。」

捨て台詞だ。最悪な気分になってまで、話す必要はない。

ご飯はいらない。明日で良いや。どうせ朝になれば居ないんだ。

そうでしょ。今までもそうだったんだから。

もう寝よう。考えても無駄だ。




「研磨。てつろーくんが来てるわ。」

「研磨!」

うるさい。近所迷惑だ。

別に会わなくていいじゃん。喧嘩中だし。

まだ一時間も寝てない。それに___

バチンッ

痛い。叩いたのか?

ぴりぴりする。わざわざ起こす為に?

「はぁ…」

行けばいいんでしょ。行けば。

行くだけ行って、すぐ戻ってこればいい。


「何。こんな時間に何のよう…。」

「…研磨!」

「寒いから戻っていい…。

それにもう話すことなんもないよ。」

こういうとこでしょ。分かってるよ。だけどさ。まだ俺ガキだから。年上の余裕ってやつ、見せてよ。

「研磨…っ、そのっ…」

「知らないでしょ。今日、クロが家に来たから俺はお母さんに叩かれた。」

「小学生の時、急に大雨降ったけど、クロが迎えにきた親と一緒に帰ってる間、一人でずぶ濡れで帰った。」

「俺のご飯だけ残飯だった。」

「家に帰っても誰も返事くれなかった。」

「知らないでしょ。クロは。幼馴染みはただの勲章なだけであって友達と変わらない。」

謝りに来てくれたんでしょ。頭冷やしてさ。

多分やっくんとかが色々と説得してくれたんだろうね。

でもさ、俺って最低だから。謝られても意味ないなんて思ってる。

だって多分だけど、俺はクロが居なきゃろくな高校生活はおくれないし、自然消滅しなきゃ、この感情は消えない。

だから、ちゃんと終わりだけでも良いこと言ってる風にしとくね。


「もういいよ。謝ろうとしてくれてたんでしょ。」

「…!」

「行き届いた教育なんて受けてないし、こういうとき、どうしたらいいか分からない。」

「迷惑かけないでってずっと言われてきたから。」

「だから俺は許すよ。けど。多分、本心じゃ無いだろうね。」

仲直りしたら母親も十分だろう。

もうどうでもいいから。めんどくさいんだ。

「すまんっ…研磨…」

「もう今日は帰って。お母さんに怒られるのは俺なの。」

「待っ「俺が嫌なの。」

「もうどっちもどっち。それじゃ駄目なの?」

「俺、分かんない。愛されてないから。」

「こういうとき、どう仲直りするか、喧嘩もろくにしたことないし。」

「正直、クロが居なかったら俺、ちゃんと高校生らしい生活なんて出来ないし。」

「…俺が全部悪かった。」

「知ったかぶりして研磨を説教した。

だからぜーんぶ俺が悪い。」


『だからごめん。仲直りしよう?』


クロが居なきゃ夏休みなんてろくな生活できなかった。だけどこうなったのもクロのせい。

そう。もうそれでいいから。めんどくさいから。終わらせて欲しい。これで家帰って嫌な目に会うのは俺だから。

早く帰って。俺が虚しくなるんだ。

全部人のせいにした。でも、その人が責任を背負ってくれているなんて。

やっぱり俺はまだ子供だ。永遠の恥さらしなんだ。

「そうだね。クロが悪いよ。」

「クロが責任背負ってくれなきゃ、俺、なんも出来ない。」

こんな幼馴染みをもった、クロが悪い。

「ごめん…。」

俺には謝罪に返事するしか出来ないけど。

「いいよ。」

この一言で俺はもう一歩大人に近づける。

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