O.T side
今日は元稀へのお返しでリングを買う。
練習続きで1ヶ月経ってるけど、サプライズはこのくらいの期間が丁度いいはず。
結構見て回ってはいる…のに
「あいつが持ってないデザインあるのか?」
既に持っているものと被らないようにするのは大分難しい。
そもそもゴールドとシルバーどっちが良いの? 元稀ならどっちでも似合うから困るんだよな…。
俺的にはシルバーがいいなとか思ってて。
色はシルバーでお揃いにしたい、なんてのはわがままかな…?
(店員)「なにかお悩みですか?」
「ぉわッ…!?」
(店員)「あ、驚かせてしまい申し訳ありません!」
(店員)「かなり真剣に眺めていらっしゃったので、」
「いえ、、俺も集中してしまってたんで」
(店員)「プレゼントですか?」
「はい!」
(店員)「彼女さんとか、女性の方に向けてですか?」
一瞬、呼吸ができなくなった。
悪意の欠片も感じない真っ直ぐな瞳と、明るい笑顔で放たれた、その一言が俺にとっては重い鎖。
どれだけ切り離してもいつの間にか脚に付いているんだ。
まあそうだよな、と納得した。
同時に
自分が世間に広まる”普通”じゃないことを実感して、心臓を掴み出されたような酷い感覚に陥る。
こういう時、いつも社会の風潮に飲み込まれて堂々と「彼氏」って言えない自分が嫌い。
けどね、こんな俺でも、元稀を想う気持ちには自信があるんだよ。
目も見れないしはっきり言えないけど、ちゃんと伝えたい。
「…大切なパートナーに、です。」
店員さんの開かれた目が微かに大きくなった。上がっていた口角も少しだけ下がったのがわかる。
俺の息詰まった言い方で察したんだろうな。
引かれちゃうよな、そりゃあ。
(店員)「私の言葉選びが不適切でした。大変申し訳ありません。」
(店員)「パートナーの方にお贈りするんですね」
(店員)「とても素敵です」
「…え、?」
「自分で言うのもあれですけど、その」
「引かないんですか?」
(店員)「人を好きになるという素敵な気持ちを否定いたしません」
(店員)「人の心は偏見なんかより勝りますよ。この世界で1番の原動力ですから!」
仕事用の貼り付けの笑顔じゃない。きっと素なんだろう。
満面の笑みでそう言ってくれた。
「…ありがとう、ございます、」
「すごいかっこいい恋人にプレゼントしたくて。」
(店員)「では、そのお手伝いをさせて頂いてもよろしいですか?」
「お願いします!」
〜〜~~~~~~~~~~~~~~~~~
(店員)「ご希望に沿う品があって良かったです」
30分以上かかったけどようやく決められた。それもこの親切な店員さんがいてくれたおかげだ。
今は梱包してもらってる。
「手伝ってくださって本当に助かりました」
(店員)「お客様がパートナーの方のお話をされている時の笑顔がとても素敵でしたよ」
(店員)「大切に想う気持ちが私にも伝わってきました!」
「それはちょっと、、恥ずいですね…笑」
(店員)「今更照れないでください笑」
(店員)「お待たせいたしました!」
リングを受け取り支払いも済ませ、店員さんにお礼を伝えようとした時だった。
(店員)「本日はご購入いただきありがとうございました」
(店員)「あとこれは私情ですが…。ささやかながら、お客様の幸せを願っております」
「ありがとうございます!」
今度はしっかり息を吸って、目を見て、はっきり言える。
「自慢の彼氏にプレゼントします!」
コメント
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定員さんいい人すぎる✨ 照れてる小川くん可愛いですね(*´︶`)