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雑/ただの思いつき 等

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雑/ただの思いつき 等

2 - 話急展開すぎるやつ

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70

2022年12月27日

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「好きだ。」

『…え、俺が…?』

高校2年生の春、俺は人生で初めて告白をした。




俺は同性が好きだった。

それに気づいたのは中学生の頃。

『​────俺、美春のことスゲー好き!』

何気ない一言だった。友達としてって分かってた。でも、それでも嬉しかったんだ。

顔を赤らめた俺を見て彼は戸惑った様子を見せ、やがて去っていってしまった。

あぁ、この翌日ぐらいからかな。俺がゲイだって噂が広まったのは。

別にこの子に好意がある訳じゃなかった。

ただ嬉しくて、苦しくて、胸が締め付けられるようなそんな感覚を確かに覚えてる。

今まで同性に好きなんて言われたことが無かったから、困惑してるだけだと思っていた。

だけど、高校生に上がって好きな人が出来た。しかも同性。

あぁ、もう俺ゲイだな…。改めて実感した。

俺が好きになった彼は俺を助けてくれた人だ。

高校入学早々ゲイという噂が広まっており、俺はいじめを受けていたのだ。

町を出てまでゲイと言う噂が広がってるなんて思いもしなかったから、最初はびっくりしたが「これが噂の力なんだな」と徐々に諦めていった。

けど助けてくれた彼はどうやら俺がゲイだと知っていたようで、それでも助けてくれた彼に惚れてしまった。




『君たち、やめないか!』

殴られそうな俺を見て誰かが大きい声を出す。

こんなやつを助けてくれるなんてとんだ優男だなと思い、庇うように声を発した。

「大丈夫だよ、ただ遊んでるだけだから…。」

『ほらこいつもそう言ってるし良くね〜?』

いじめっ子達はクスクスと笑いながら俺の方を見る。

『彼が許可したとはいえ、殴ることは許されないだろう!』

と言い、その優男はズカズカとこちらに歩み寄ってきた。

『てめぇ、やられてぇのか!?』

あーあ、折角止めたのに。

なんて思ってるとその優男はいじめっ子にいきなり殴りかかった。

数分後、疲れたのかいじめっ子達は「覚えてろよ」などと漫画のような捨て台詞を吐き、去ってしまった。

『君、大丈夫?』

「……君も人殴った…。」

助けて貰って1言目でこれはないだろと我ながら思う。

『ははっ、そうだね』

『でも俺はいいんだ。君が心配だしね。』

こいつ同類か…?

だがネームをよく見たら”木村裕二”と書いてあった。

こいつは確か女たらしって噂のやつだ。ゲイだなんてそんなはずがない。

だとしたら早く俺から遠ざけないと。

「俺と居たら、変な噂が立っちゃうよ。」

『噂?』

「俺、ゲイなんだ。」

正直声は震えていたと思う。

けど彼は『知ってるよ?』と言って笑った。

「知ってるならなんで…?」

『え、ゲイだからって殴られていいとはならないじゃん?』

お人好しなやつだな。俺と居たらお前まで大変なのに。

「…取り敢えず、ありがとう。あと早く俺から離れて。君まで変な目で見られるよ。」

『美春くんは優しいね〜。でも俺は大丈夫!女の子にモテるからね☆』

こいつ馬鹿だ。

「お前…馬鹿…?」

思わず声に出してしまった。

『ははっ、そーかも』

と笑いながら言う彼はとてもキレイだった。




それ以来裕二は何かとつるんでくるようになった。

『みーはるっ!ご飯食べよ!』

教室がざわめく。そりゃそうだろう。女好きのあいつが俺に構っているのだ。

「ばっか、お前。せめて苗字で呼べよ…!」

小声でそう言いながら廊下を出た。

『えー、だって。桐ヶ谷って言いづらいじゃん?』

「…はぁ?お前な、ゲイって間違われていいのかよ。」

『うーん…まぁ、女の子が寄り付かなくなる分としてはいいかな?』

「助けてくれた時と言ってること違うぞ。」

『え、そうかな?…まぁいいでしょ!』

やっぱり裕二は馬鹿だ。


『あっ、美春の弁当ハートの卵焼きがある…!』

「あ、うん。妹と一緒だから。」

妹は中学2年生だが、妹の中学は弁当製なのだ。

『へー、妹ちゃん可愛い?』

「…可愛かったよ。今は、分からない。」

『え、なんで!?』

「俺が中学の時ゲイって噂が広まってからはあまり関わろうとしてくれなくなったから。」

「最近も篭もりっぱなしでよくわかんない。」

と苦笑いして言った。

『そっかぁ…』

シュンッとして彼は言う。

「ふっ、なんでお前が悲しそうなんだよ」

思わず笑ってしまった。

『だって、なんか悲しいじゃん?ゲイって分かっただけで避けるとか…』

「別に、それが普通だろ。お前がおかしいだけだ。」

『いや本人が言うなよ…』

「事実だからだ。」

気持ち悪いと思うことは普通だと思う。

俺も俺が気持ち悪いと思うからだ。

『美春って名前は明るくて綺麗なのに実際は暗いよね。なんで?』

「…この名前は元々姉に付いてた名前だ。漢字は違うけど。」

『えっ?』

裕二は困惑してた。そりゃそうだろう。

「姉は、俺が生まれる5年前に事故で亡くなった。」

『事故…?』

「うん。それで何を思ったのか知らないけど俺にこの名前をつけたんだ。」

「元々の漢字は美しいに晴れって書いて”美晴”だ。」

姉は12歳だった。




『美晴ちゃん!』

「どうしたの?みゆちゃん。」

『一緒に遊ぼっ!』

「うん、いいよ!」

私は女の子が好きだった。男の子を好きになろうとしても出来なかった。

だからあの日、私は事故に見せかけて自殺した。

「​──だから貴方だけは男の子を好きなままでいて。」



「…夢で、姉を見た事があるんだ。」

『え、そうなの?』

「うん、けど顔は分からない。俺自身が姉だった。」

『なるほど…?』

「姉は…」

「姉は事故死なんかじゃない。」と言いかけてやめた。あれは単なる夢に過ぎない。

『姉は、なに?』

「ううん、なんでもない。」

そう言って箸で唐揚げを取り、食べた。

『え、なに!?』

「…姉も同性愛者だった。」

言い訳を探し、親から聞いた事実である事を言った。

『そーなんだ?』

「うん。」

『じゃあきっと、そのお姉さんが男の子を好きになれなかった分、美春が男の子を好きになったんだよ。』

「ははっ、なんだそれ」

思わず笑ってしまった。

「けど、夢で姉もそう言ってた。」

『じゃあ俺の当たりだねっ!』

「…まぁ、うん…」

正直あまりいい気はしなかった。俺だって普通が良かった。女の子を好きになりたかった。

「…っ、」

思わず涙が零れる。

『えっ!?だ、大丈夫!?』

「だっ、大丈夫大丈夫!ちょっと目にゴミ入っただけ…。」

俺はそう言い、目を擦った。

『美春…』

きっと裕二も察したのだろう。俺から目を逸らし、静かに弁当を食べ始めた。

人前で泣くなんてみっともない。今すぐこの場を離れたかった。




それからも変わらず裕二は話しかけてくれた。

けど最近、よく絆創膏やガーゼを貼っていた。「どうしたの?」と聞いても『なんでもないよ。』の一点張りで何も教えてくれない。

どうしても傷のことが気になって、放課後裕二の後をつけてみた。

裕二は旧校舎に入るなり複数の男子生徒に殴られていた。

『お前女たらしのくせにゲイとつるんでるとか相当遊び足りねぇんだな!』

『はははっ、こいつ今日もあの”美春くん”と飯食ってやがったぜ』

『美春くんの身代わりになるほど美春くんが好きなのかな〜??』

嘘だ。嘘だ嘘だ。そんな、裕二が俺のせいで…。

俺が戸惑っていると裕二と目が合った。

「っ…!」

裕二は俺を見るなり笑って口に人差し指を添えた。

そんな奴ら殴ってしまえばいいのに、どうして俺なんかのために…。

俺はその場から逃げ出してしまった。


ごめん、裕二。ごめんね。




その晩、裕二からLINEが来た。

〔美春のせいじゃないからね。〕

俺が責任を感じてるのを察してわざわざ連絡してくれるなんて、こいつはどこまで優しいんだろうか。

だけど俺は罪悪感に押しつぶされそうだった。

でも何も出来なかった。きっと、この時何かしていればこれ以上辛い思いをせずに済んだのかもしれない。




高校2年生になって少し経った頃、裕二が3日ほど学校を休んだ。LINEをしても1度も既読がつかず、先生に聞いても体調不良としか教えてくれなかった。

だけど1週間ぐらい経って裕二からLINEが来た。

〔ごめん。事故って今起きたw〕

事故…?俺は嫌な予感がしていじめっ子達のクラスに向かった。

やっぱりいじめっ子達は居なかった。そのクラスの担任曰く、信号待ち中の裕二を道路に押したのだと言う。

つまり、裕二が死にかけたのは俺のせい。

〔病院、どこ〕

俺は急いで裕二にLINEをした。

〔東病院だけど、どうしたの?〕

〔今行く。〕

俺は5限目をサボって病院まで走った。

受付の人に部屋番号を聞いてその番号のところまで急いだ。

息を整えることもせず勢いよく扉を開けた。

するとそこには頭に包帯を巻いた裕二が居た。

『美春…!?が、学校は!?』

「そんなの、行ってる場合じゃ、ハァ、ハァ、ない…ハァ……。」

『と、取り敢えず息整えな…?』

その言葉を無視し裕二のベッドまで行く。

『え、ちょ、なに!?』

「ばっっかじゃねえの!」

『み、美春シーッ!!!』

「お前…まじで……ばか…」

『ご、ごめん…泣かないでよ美春。』

俺のせいでお前死にかけてるんだぞ。罵れよ。殴れよ。ほんとにどこまで優しいんだよ…。


この日は結局何も話せず帰ってしまった。

いや、話せなかったんじゃない。裕二が頑なに話してくれなかったんだ。




いじめっ子達がいないのは嬉しいが裕二がいないのは寂しい。

裕二が学校に来ない間、裕二の事が好きだと改めて実感した。

裕二がいないだけでやる気がなくなってしまう。それに俺のために病院にいると考えると心が苦しくなった。

(早く良くなれよ…ばか裕二…。)


結局、裕二が学校に来たのは5日後だった。

『みーはるっ!』

「裕二…!!!」

校門前に裕二がいた時は腰が抜けかけたが、裕二の方まで駆け足で向かった。

思わず抱きつきそうになったが流石にそれは自重した。

「もう大丈夫なのか!?」

『ふふっ、大丈夫大丈夫!』

こいつの事だから本当はどこか痛いんじゃないか?俺に隠してるんじゃないか?

なんて考えていると、裕二が俺を見て『本当に大丈夫だよ。』と微笑して言った。

取り敢えずは大丈夫…ってことでいいんだよな…?

『あー、でもあのいじめっ子達、今日から登校だね』

「は?」

そんな短い期間でいいのか?普通、もっと長いだろ。

『んー、美春大丈夫?』

俺よりお前の方が心配だろ…。まじでこいつどこまで優しいんだ?

もはや馬鹿だろ。いや、馬鹿か。

「…やっぱりお前はばかだ。」

『えー…?』

「俺より、お前の方が心配だろ。」

『俺は大丈夫!』

大丈夫なわけねえだろ馬鹿。大馬鹿。

「…お前、今日は帰れよ。」

『え、な、なんで!?』

「いいから」

とにかく俺は裕二を守りたかった。

俺のせいでまた、傷ついて欲しくなかった。

『分かったよ…。元々親に休めって言われてたし。』

『けど、明日はちゃんと来るからね!』

ひとまず安心だ。

今日でどうにか対処をしなければならない。

あの時俺を助けてくれたみたいに、俺も裕二を助けなきゃ。仮を作ってばっかりじゃダメだ…仮は返さなきゃいけない…。


俺は昼休みにいじめっ子達がいるクラスに向かった。




『ははっ、そんなに”裕二くん”がすきなんだな。』

『うっげー、気持ちわり。両思いってやつー?』

『あ、そうだ』

1人のいじめっ子がニヤッと笑った。

『じゃあお前さ、死ねよ。』

その言葉を聞いた途端、周りのいじめっ子達が笑い出した。

あー、そういう事か。

ようやく理解した。このいじめっ子達は俺に死んで欲しくて裕二を使ったんだ。

つまりおれが死ねば、全てが終わる。裕二も解放される。

「分かりました。」

『うわ、こいつまじか。おもしれー!』

ゲラゲラと笑いながら俺を指さす。

ほんとにこいつらは最悪な人間なんだ。こんなヤツらのために死ぬのは癪だが、裕二のためと言うのが本命だ。

『あー、でもォ、最期に裕二くんに”コクハク”するよねぇ〜?』

は?こいつら何言ってんだ…?

『出来ないなんて言わないよね?“美春くん”。』

こいつらが何をしたいのかさっぱり分からない。だが今は従うしかない。じゃないと裕二が危ない。




「裕二、おはよう。」

『おはよ〜』

「今日の昼休み、旧校舎に来て欲しい」

『今日はそこでお弁当食べるの?いいよ。』

裕二がほほえんでくれた。嬉しい。けど、苦しい。




いつものように弁当を食べようとする裕二を止める。

「ちょっと、聞いて欲しい。」

『ん?どうしたの?』

「お、俺……、裕二が……、好きだ。」

『…え、俺が…?』

「うん…。」

命令されたとはいえ、俺自身、裕二が好きだから正直緊張した。心臓がバクバクしてうるさい。

『俺は…、』

『あっれ〜?裕二くんと美春くんじゃ〜ん?』

なんでいるんだ。なんで今出てくるんだ。

もしかして全部見てた?こいつらは何をする気なんだ。

『もしかして付き合っちゃうんですか〜??』

『お前らが美春に命令したのか?』

『そんなわけないじゃないですかー!美春くんの本当の気持ちですよ〜。』

『…行こう、美春』

「え、ゆ、裕二…!?」

腕を強く引っ張られる。

「い、痛いっ、裕二…!」

いじめっ子達が何かを言っていたが、裕二に腕を掴まれてる嬉しさと、裕二にいじめっ子達の事がバレたのが苦してしょうがなかった。


『ねえ、美春』

『ああ言うのはよくないと思う。』

けど、お前は女好きだろ。どうせ振るんだからいいじゃねえか…俺だって言うつもりはなかったよ。

お前には分かんねえよ。お前なんかに…

「俺の気持ち、お前には分かんねえだろ!!」

「分かったようなこと言ってんじゃねえよ!!」

『…ごめん。』

裕二は悪くない。全部俺が悪い。

なのに、なのに……。




結局、裕二とはあれ以降口を聞かず、下校時間になってしまった。

俺は言われた通りいじめっ子達と一緒に歩道橋まで行った。

『こっから飛べ。』

別にもう死んでもいいと思った。

…けど、最期に裕二に謝りたいな。

「…裕二にLINEしてもいいですか?」

『ははっ、お熱いですね〜!どうぞ〜。』

俺は裕二に〔ごめん〕とだけ送って歩道橋の手すりに登った。

道を歩く人達が俺を凝視していて、走って助けに来ようとする人までいた。

それを見たいじめっ子達は俺を急かした。

俺は言われるがまま、そのまま落ちた。


「​───美春…!」

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