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歯軋り

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歯軋り

1 - 歯軋り

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2024年11月09日

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歯ぎしりうっさいって?
仕方ないじゃん。だって、今夜の晩御飯で食べた味噌汁のわかめが歯に挟まって、気持ち悪いんだもん。



仕方ないじゃん。だって、しょうもない自己矛盾がうざったくて、歯でギリギリと すり潰すしかないんだもん。



仕方ないじゃん。中々ベストポジション見つからなくて、イライラしてるんだもん。



仕方ないじゃん。うるさいって言ってるアンタの歯ぎしりが、それ以上にうるさすぎて眠れないんだもん。



仕方ないじゃん。そうやって誰かを悪く言って正当化しようとする自分が、1番うざったいんだもん。



本当は、歯ぎしりうるさくないよ。ごめんね。それどころか、全然何も聞こえてこない。いびきはおろか、息もしてるの?ってくらい。



ほんと、静かすぎて…逆に眠れない。アンタがあまりに静かで、綺麗で、人として凛としてるから、眠れない。



そんな眩しいアンタにも、一丁前の悩みがあって、きっとそれは私のものなんかよりも、ずっと深くて重たくって。それで、人間臭いものなんだ。


じゃあ私は?道行くあらゆる人に対して劣等感を感じて。一瞬の視線の会釈だけで、もう私の自尊心は完全沈黙。


でもそれはきっと、ほんの少しだけの憤りで、こんなものは、美味しいスイーツの1つでも食べれば、一瞬で晴れてしまうような靄で…


それで…少しでも誰かに触れられれば…一瞬で腫れてしまうような膿でもあるんだ。



そんなことが布団の中にいても、明日がお休みの日でも…ぐるぐるぐるぐるしてる。明日、明後日も仕事の人もいるんだろうな…


それに比べれば私、本当平和で平凡だよな…そんな人たちは苦労を知ってるかな…私よりも強いんだろうな…色々と…。


でもそうなりたい訳ではなくて…むしろ逆。だからこそ今の平凡な平和のありがたみが、身に染みるというものなのかもな…



…気づけばもう、3時になってる。アンタは相変わらず、寝息の1つもたてずに眠ってる。起きてる時は、誰より明るく、誰より忙しなく、誰よりも頑張ってる、眩しいカッコいい人なのに。


アンタにも悩みとか不安、あるんだよね。でもそれを人前では出さないから、私もみんなも勘違いしちゃうんだ。本当はアンタが1番歯ぎしりすごいの、私、知ってるはずなのにな…



AM3時40分。ぐるぐるぐるぐる、ギシギシギシギシ。脳の歯ぎしりが止まらない。頭が次第に痛くなって、いろんなものがごちゃごちゃしてるのがよく分かる。


私、すぐに顔に出るからいつもアンタとか、周りのみんなに気を使わせちゃうね。そろそろ寝ないと。いつも歯ぎしりうるさくて、ごめんね。






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