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私の恋はおかしいですか?

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私の恋はおかしいですか?

5 - 第五話 : 「演技の裏側」

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2025年01月18日

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私の名は白輝璃奈しろき りな。第三位にランクインするほどのお金持ちの娘である。表向きは幸せな家庭だが、その裏では――


まず、私の兄、輝流ひかるについて。彼は恐ろしい羊の顔をしたオオカミだ。人前では優しく、家族思いの兄であるが、暗い場所では人を操るオオカミそのもの。幼い頃からずっと一緒にいた私は、兄がどれほど恐ろしいかを知っている。


次に、私の母、白輝 梨子しろき りこ。彼女は暴力を振るう人だ。でも、私の前では優しい母でもある。そんな母が嫌いであり、好きでもある。


そして、私の父、白輝 隆宏しろき たかひろ。父は本当に優しい人だった。母に暴力を振られても、笑顔で「落ち着いて、俺が悪かった。ごめんね」と言い、私がどれだけ拗ねていても冷静で励ましてくれた。大好きだったお父さん。どんなことがあってもお父さんとずっと一緒にいたかった。しかし、私は自分の体でお父さんを殺してしまった。


そのせいで、私は感情があまり出なくなり、自分の心のドアを閉じた。そのドアを再び開けてくれたのは、鈴木 美嘉すずき みかだった。美嘉さんは、父が生きていた頃に仕えていた執事だった。お父さんが亡くなった後、母は美嘉さんを追い出そうとしたが、私は必死に止めた。しかし母は諦めず、何かの罪を美嘉さんに押し付けた。そのせいで、美嘉さんは約10年間、この家を追い出されていた。でも、私は証拠を掴み、美嘉さんを家に戻すことができた。ただし、母の気分次第でいつ戻れるかは分からなかった。そのため、私は胸の中の嫌な気持ちや吐き気を抑えながら、母に甘えていた。母は私が甘えているのを喜んでいた。それにより、美嘉さんは予定よりも早く家に戻ってきた。


「お嬢様!泣いているのですか!?」


「ううん…ちょっと嬉しいだけよ」


「お嬢様…泣き顔が少しキモイです。もっと綺麗に泣いた方が…」


「いい雰囲気を壊さないでよ…」


璃奈は美嘉にツッコミたくなるが、そんな雰囲気を壊す美嘉に少しムカつく。


「ふふ、演技がお上手になりましたね」


美嘉は、自分の弟子がここまでできるようになったと、得意げな顔で笑い始める。


「ふん」


璃奈が拗ねると、美嘉は笑顔を止め、真面目な表情になり、璃奈の部屋のドアをゆっくりと閉じる。


「計画は?」


「順調よ」


璃奈はベッドに座り、勉強机に手を差し伸べて、「座って」と合図する。美嘉は遠慮せず座り、続けて質問を投げかける。


「それと、兄から新しい任務が出たみたいね」


「まぁ、そこまで難しくないわ」


「どんな任務か聞いてなかったの?」


「聞いてなかったのは当然よ。私が言ってないから」


「師匠に向かってそんな口調?」


「私の父を助けてくれなかった人を師匠とは思えないわ」


「まだそんなことを恨んでいるの?子供だね」


「子供で結構よ」


お父さんを助けなかった美嘉に対して、璃奈は今でも許せない気持ちがある。美嘉は、伝説の医者だったため、璃奈の母や兄に危害を加えられる可能性を考えて、この家に仕官した。しかし璃奈が美嘉に弟子入りを願ったのは、ある事件がきっかけだった。


「助けなかったのにはちゃんと理由があったのよ。何度も言わせないでちょうだい」


「私のお父さんを助けなかった理由なんて、知りたくないわ。あなたの言葉一つが気持ち悪いのよ」


美嘉は璃奈の言葉を受けて、静かに長い右足を左足に乗せ、璃奈を見下ろしながら言った。


「あなたの演技、本当に恐ろしいわね。あの階段のところにカメラがあったから、優しい振りをしたんでしょ?」


「話をそらさないで」


璃奈は美嘉を遠慮なく睨んだ。


「あら、やだ。怖いわ」


「私は、あなたをここに残したい理由はただ一つよ」


「…何かしら?」


美嘉が興味深そうに璃奈を見つめる。


「それは、兄から頼まれた任務で、静樹朱里について調べて欲しい」


「それだけ?」


「…その子の父親は犯罪者らしい」


「えぇ、面白そうな任務を任されたわね」


美嘉はニヤリと笑う。


「その子から近づいてきたわ。多分、あの子も私に近づく任務を父から貰ったんじゃないかと思う」


「へぇ~」


「調べてくれるかしら?」


璃奈は可愛らしい笑顔を浮かべて言った。


「うわっ、鳥肌立った。そんな怖い笑顔しないで」


「…やるかやらないか、あなたの二択だ。さっさと決めてちょうだい」


璃奈は、美嘉に強気で迫った。


「お嬢様、私がここで執事として働くのは、お嬢様を守るためではなく、お嬢様からの任務をこなすためですから。喜んでやらせてもらいますわ」


「うむ、最初からその態度で行けば、こんな長い話はしなくて済んだわ」


美嘉は勢いよく立ち、言い始めた。


「お嬢様、今日はあの子と遊ぶ予定ではありませんか?」


さっきの暗い話はどこへやら、ニコニコとした表情で、璃奈が遊びに着るワンピースを選び始める。


「どうして知ってるの?」


璃奈が警戒する中、美嘉は当然のように答えた。


「私は、あなたの…お嬢様を守る執事であり、情報屋でもあるんですから。この家の執事として、あなたの兄から頼まれた任務もきちんとこなさなくてはなりません」


美嘉は警戒心を強める璃奈に、あえて鋭い目で言った。


「…そう」


無表情の璃奈は、再び空を見上げた。月のない空…もう冬が近づいている。

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コメント

7

ユーザー

予想外の展開すぎます笑、もはや、ミステリーですよ

ユーザー

なんでそんなに予想外の展開しか出てこないのよ笑😂

ユーザー
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