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【登場人物紹介】
fu 【23歳】若き冷酷な主人。圧倒的な威圧感と神速の剣技を持つ。20歳になった身代わりのrmを誰よりも大切に想っているが、冷酷な主人の仮面と不器用さのせいで素直になれない、極度のツンデレ。
rm 【20歳】fuの身代わり(影)を務める少年。驚異的な身体能力と天性の勘を持つ超天然。プロ級の料理の腕前を持ち、fuへの愛がにじみ出ている
kz 【22歳】fuの冷静な側近。国中で絶大な人気を誇るカリスマ。市民の暴動に巻き込まれ、大聖堂で3週間神様扱いされたショックから、まるで感情を持たない『人形』のように心が壊れてしまった。
syu 【21歳】お調子者の側近。fu様やrmさんには敬語を使うが、1歳年上の恋人であるkzにだけは「タメ口」になる。心を閉ざしてしまったkzのすべてを受け入れ、一生愛し抜くと誓った頼れる男気心の持ち主。
大聖堂からkzを救い出し、本国のいんくの屋敷に戻ってから数週間が経った。
公式には「引退(死亡扱い)」となったkzだったが、fuの強い意向により、屋敷の最奥にある特室で、本国最高峰の医療班による専門的な精神治療が24時間体制で続けられていた。
静かな昼下がり
柔らかい木漏れ日が差し込む白い部屋のベッドの上で、2kzはいつもの眼鏡をかけ、白いパジャマに身を包んで静かに座っていた。
その切れ長の瞳は、3週間閉じ込められていたあの時と同じように、無表情のまま虚空を見つめてピクリとも動かない。
その隣で、恋人syuは、kzの細くなった手を自分の大きな手でぎゅっと握り締めながら、お調子者の顔を少しだけ覗かせてタメ口で語りかけていた。
syu「ほらかざね、今日はお天気がいいよ。お前がずっと部屋に引きこもってると、俺の光合成効率もゼロになっちゃうんだけど?」
kz「…………」
どれだけ語りかけても、kzの薄い唇から言葉が溢れることはなく、ただ人形のようにそこに佇んでいる。
医療班の診断では「脳の機能に異常はなく、心の防衛反応が極限まで高まっている状態」とのことだった。
そこへ、部屋の重厚な扉が静かに開き、一番右側から主人のfuが、その隣(中央右)から緑色の上着を羽織ったrmが、大きなトレイを抱えて入ってきた。
トレイの上には、rmが午前中から腕によりをかけて作った、お砂糖の甘い香りが漂う特製のパンケーキとフルーツが美しく盛り付けられている。
fu「……おい、syu。kzの様子はどうだ。医療班の報告では、今日のバイタルは安定していると聞いたが」
主人fuが、低い声を響かせる。
その瞳からは大聖堂の時の破壊神のような殺気は消え失せ、大切な家族を心配する温かい光が宿っていた。
syu「fu様、rmさん。わざわざありがとうございます。……バイタルはいいんですけど、やっぱり、まだ僕の顔も見てくれないんです」
rm「かざねさん……。これ、私がかざねさんに教えてもらったコツを全部使って、すっごく美味しく焼いたパンケーキですよ? ふわふわで、食べたらお口の中が幸せになりますよ!」
中央右のrmが、ほわほわとした天然な笑顔を浮かべながら、kzのベッドのサイドテーブルにトレイを優しく置いた。
今度は、自分がかざねさんの心を救う番だと、健気にスープをスプーンですくい上げた。
rm「ほら、かざねさん。あーん、してください!」
kz「…………」
やはり、kzは無表情のまま動かない。
それを見た主人fuは、小さくため息をつくと、一歩前へ進み出て、床の絨毯を踏み締めながら冷酷な口調を必死に作って語りかけた。
fu「……ふん。kz、お前がいつまでもそんな抜け殻のままでいられたら、私の机の上の書類の山が一生片付かない。お前の完璧な効率の良さがなければ、この屋敷のシステムが破綻するんだ。……だから、早く私のスケジュールを管理しに戻ってこい。これは、主人としての命令だ」
ぶっきらぼうで冷酷に見える台詞。
だが、それは「完璧でなければ価値がない」と家族に捨てられたkzに対し、主人が放った『お前には完璧でなくても、ここにいていい価値があるんだ』という、最上級のツンデレな励ましだった。
fuの目には、大切な右腕への信頼の涙がうっすらと浮かんでいた。
すると、主人の不器用な激励と、rmの温かいパンケーキの香りが、kzの心の奥底に眠る「いんく家の温かい記憶」に、ほんの少しだけ触れた。
無表情だったkzの指先が、syuの手の中でぴくりと動いた。
syu「……かざね? 俺の手、握り返してくれた……?」
kzのハイライトの消えていた瞳が、ゆっくりと、本当にゆっくりと動き、自分の手を握る21歳の恋人syuの顔を、そして隣で涙を流してスープを持つrmと、一番右側で赤面しながら見守る主人fuの顔を、順番に捉えた。
kz「……syu……。fu様……rm……。私は、また……完璧に、できなくて……」
カチリ、カチリと、無理に錆びついた歯車を回すような、ひどくぎこちない話し方だった。
長い間、声の出し方も、感情の動かし方も忘れてしまっていたかのように、言葉を紡ぐだけでkzの身体は微かに強張っている。
それでも、syuはボロボロと大粒の涙を流し、そのぎこちないkzの手をさらにきつく抱きしめてタメ口で応えた。
syu「できなくていいんだよ!! お前が完璧じゃなくたって、仕事ができなくたって、俺たちは誰も、お前のこといらないなんて言わないから!!」
rm「そうです、かざねさん! かざねさんは、私たちの世界で一番大切なかざねさんですから!」
fu「……チッ、当然だ。お前がどれだけ不完全になろうとも、お前を切り捨てる国など、この私が我が剣ですべて文字通り一瞬で薙ぎ払ってやる。だから……安心して、ここにいろ」
主人の、命をかけたツンデレな肯定。
その言葉を聞いた瞬間、3週間と数日、一度も変わることのなかったkzの無表情な顔が、ほんの少しだけ、本当に微かに、ピクリと動いた。
それは、笑顔と呼ぶにはあまりにも不器用で、ぎこちないものだった。
口元をほんの数ミリ、震わせるように持ち上げただけの、まるで初めて感情を知った人形のような、痛々しくも愛おしい変化。
それでも、確かに彼の心に血が通い始めた証拠だった。
kz「(syuの胸にぎこちなく、ゆっくりと額を預け、彼のシャツを頼りなげに掴みながら)……ありがとう、ございます。……温かい、です……」
まだ視線も定まりきらず、感情の表現もぎこちないままのkz。
完全な回復には、きっとまだ長い時間がかかる。
けれど、恋人syuの狂おしいほどの愛と、天然な身代わりrmの優しい手料理、そして冷酷な主人fuの不器用な家族愛に包まれて、氷の人形の心は、今朝、確かに内側から優しく溶け始めていた。
syu「(顔を真っ赤にして、kzの頭を撫でながら)……あーもう、本当に可愛い。fu様、rmさん、今夜は俺がかざねに付きっきりでパンケーキ食べさせますんで! お疲れ様でした!」
fu「(顔を真っ赤にして、限界を迎えて怒鳴る)……っ、syu!! 人の私室のベッドの上でこれ以上ないほど甘ったるいお砂糖を爆発させるな!! 明日からこの部屋の医療費を10割カットにするぞ大バカ者が!!」
一番右側でfuが茹でダコのように怒鳴る中、rmはほわほわとした笑顔でfuの大きな手をぎゅっと握り締める。
fuはさらに赤面しながらも、その手を優しく、決して離さないように握り返した。
付き合っている先輩コンビが、地下の特室で二人だけの時はタメ口で少しずつ、ぎこちない距離を埋め合うように愛を深め、完璧な両片思いの主従コンビがそれを見守る。
いんくの屋敷に流れる空気は、どんなに冷たい雨が降ろうとも、四人の深い絆とお砂糖の甘い香りに包まれて、どこまでも温かく、幸せに満たされていくのだった。
次回 ♡=800
気まぐれ@🎨
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コメント
1件
お疲れー!第18話読んだわ。 fu様の不器用なツンデレ励まし、「完璧じゃなくていい」ってメッセージが心に沁みた。あとkzの指がピクッと動いて、ぎこちなく「温かいです」って言ったシーン、涙腺にきたよ。3週間の閉じ込めで凍ってた心が、syuの狂おしいほどの愛とrmの優しいパンケーキ、そしてfu様の命懸けのツンデレで溶け始める描写、すごく丁寧で良かった! いんく家の温かい空気、ずっと続いてほしいな🔥 続き楽しみにしてる!