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※このノベルに政治的意図、戦争讃美、特定の団体や事件に関する意図は有りません。何卒、ご了承下さい。
第一話
お風邪の祖国
今は昔、人の世は争いばかりだった。
弱い物は淘汰され、非力な物は奪われ、蔑まれ。
高い知力を持ちながらも、生き物としての性に逆らえないその様は、非常に滑稽であった。
そんな人間達を見過ごせなかった神は、全く新しい生き物を、この世に作り上げた。
高い知力を持ち、尚且つ争わずに、何時迄も優しくあれる生き物。
自身に出来るだけ似せようと、神は躍起になった。
そうして新たな生命体が、人の世に誕生した。
その生命体は数いる人間達から祭り上げられ、神格化され、種はますます繁栄していった。
神はその事を、大変喜んだ。
ただ一つ、問題点。
種が繁盛するにつれ、家系による上下関係、序列がしっかりと見えてきてしまったのだ。
分家、本家二つの溝はどんどんと深まって行き、遂には永遠に埋まらない物に。
多くの争いが発生し始め、下剋上や内乱も頻繁に起こり、種の関係はますます乱れていった。
そう、結局この生命体達も、本質は哀れな人間共と何ら変わらなかったのだ。
それを嘆いた神は、種を祭り上げ、神格化する事を禁じ、哀れな彼らを人間の世に幽閉した。
そこから何万年後…
時は変わって西暦2026年11月。
日本のとある田舎町…
哀れな生命体の子孫達は、なんだかんだ協力しあって過ごしている。
楓の囀る秋。
そこから響く生活の音に、耳を少し傾けてみよう…。
とある大きな屋敷。そこでの生活は、大賑やか。
東「はあ…さぶい…。」
東「幾ら何でも寒すぎでしょう…。」
片方の男が、そう呟く。
綺麗な紫色の瞳だ。
部屋から聞こえる喧騒を耳にしながら、2人の男はゆらゆらと歩いて行く。
東「貴方もそう思いますよねえ、大阪さん!」
大「しらんがな、俺に話しかけんな!」
紫の男に話しかけられた男は、ぶっきらぼうに答える。此方は群青色だ。
どうやら、片方が東京、片方が大阪…と言う名前…らしい。
東「もーっ、釣れませんね…何で貴方は何時もそう、無愛想なんですか〜?」
大「別に、これが普段通りやさかい。」
東「またまた〜、私以外の前だとかなり態度大きいの、知ってるんですよ?」
大「…自分のその情報網の大きさには、感服するで、ほんまに。」
含み笑いをする東京を、嫌そうな目で見つめる大阪。これが”普段通り”の光景なんだろうか。
東「まあ何にせよ…祖国様の状態を見に行くのに、一人だと危ないですからね!貴方を呼んで正解でした!」
大「何でいつもいつも俺なんやねん…別のやつ呼べや」
東「いやあ、貴方と一緒だと安心するんですよ!背中も預けられるし!所謂…相棒って奴でしょうか!」
大「分かれへん感覚やわ…背中はそうやけど」
東「あ、もう少しで着きますよ。」
東「どうします、回り道しちゃいます〜?」
大「アホか 真面目にやれや」
東「出たーっ!大阪さん名物辛口ツッコミ!くーっ、沁みますーっ!」
大「ほんまなんなんやで自分…」
悪態を吐きながらも何だかんだで着いて行くその様は、相棒と呼ぶのに相応しいのかもしれない。
東「さあ着きましたよ〜」
東「ではまず私から出ますのでね〜」
東「大阪さんはいつも通り端っこに隠れてて下さい!」
大「なんか言い方腹立つな…」
東「…ひょっこり出てて…可愛い…w」
大「やかましい!早よ開けんかい!」
屋敷の一番奥の部屋。重苦しい扉の中央を、優しくノックする。
東「…」
大「おい東京!いけそうか!」
東「あー、大丈夫です」
…返事が無い。
何か重大なことでもあったのだろうか。
ふと耳を近付けてみる。
東「…?」
うぅん…ふっ…はっ…
東「ぁー…」
東京の口から、小さく声が漏れる。
これ開けて良い奴ですか?プライバシーの侵害とかしたく無いんですけど…
紫色の頭をフル回転させる。神様から賜ったこの優秀な脳みそ…結論を付けるのに3秒もかからなかった。
プライバシーの侵害はしたくない。でもそれより祖国様の安全の方が大事!
開ける!
開けるしかない!
せめてもの慈悲に、大袈裟に動いて音を立てる。
東「祖国様あああっ!」
大「ビクッ!!」
バン!
扉が物凄い勢いで開けられる
そこには…
日「…ろ…ろうきょうくん…?」
東「…祖国様?」
何だ、風邪ですか…
風邪…
風邪…?
風邪…!?
東「お風邪っっっっ!?!?」
大「ビクビクッ!!!」
東「そ、祖国様だ、大丈夫ですか!?!?」
日「こ、こまくいがいは…」
東京「と、取り敢えずお熱を…って」
ピトッ
東「あっつっっっ!!!」
大「ビクビクビクッ!!!!」
東「とっ、急いで富山呼んできますっっっ!!!」
日「ええ……」
私はこの時、知る由も無かった。
大「おいじゃかぁしいぞ東京!!」
このお風邪の看病が
にゃ「ん?東京君どうしたんだろ…」
京「きっと昨日食べた生卵に当たったんどすえ。」
あんなに大変な騒ぎになる事なんて…