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あと一歩、あと少し、あと少しでこの手が君の腕に届く。
……掴めた。もう絶対離さない。
「なんで俺から逃げるんだよ…!!!!」
「急にいなくなって、俺がどんだけ心配したと思ってんだ!!!ポロ」
「もう絶対離さねえから、ギュッ」
抱きしめた体は、冷たくて細くていつ倒れてもおかしくなかった。
なぁ、また俺の名前呼んでよ。
なんでずっと黙ってんの?
俺、なんかした?
久しぶりに抱きしめる彼の体は、俺の胸にすっぽり埋まって、とても安心した。
病院の定期検診の帰り、病院の自販機のまえのベンチに座った。
喉をおさえて、はやく声が出ろって強く思った。
もうみんなのようにお話もできないし、歌も歌えない、配信もできない。あたりまえだった生活がおくれない。
今まで積み上げてきた努力が水の泡のように感じて、また喉を抓る。
まわりの目線が痛くて、消えたくて、しにたくて、でも彼に会いたかった。
また彼に名前を呼んで欲しかった。
僕は彼の名前を呼べないのに、呼んでもらいないなんて、わざまますぎる。
不意に、後ろを振り返ると、黒髪の僕が今1番会いたかった彼がこちらを見つめて、走ってきている。
彼はきっと僕に気づいた。
僕は彼から逃げるように走り出した。
もう、君には触れないって決めたんだから。
君の胸に入ったらもう戻れないんだから。
僕は今までにないぐらい必死に走った。
君は僕のことなんか忘れて、幸せに生きてくれればそれでいいから。
僕になんか構わなくていいから。
でも、ジムに通ってる彼には適うはずがなく、すぐにつかまった。
もう絶対に離さない。そう言って彼は僕を抱きしめた。
彼の温もりはとても安心して、今まで全くと言っていいほど眠れなかった僕の瞳は、しだいに、重くなり、気がつくと、意識が飛んだ。
夢を見た。
とても幸せな夢だった。
「青ちゃーん!!」
紫色の彼。
とても頼れるリーダーで、周りをしっかり見れていて、いつも僕たちの変化にすぐ気づく。
たまにおっちょこちょいな面もあるけど、僕が辛い時は肩を並べて、頑張ったねって言って背中を摩ってくれるお母さんのような存在。
「青せんせーー」
黄色の彼。
彼はいつも僕の相談にのってくれる。お酒を飲んで酔って、泣きながら相談する僕の話を真剣に頷きながら聞いてくれる。
腹黒な面もあるけど、実は優しくて面倒見がいい、僕の弟みたいな存在。
「青ちゃん!!!」
赤色の彼。
彼は言葉の伝えからがすごく上手で、その言葉がすごいまっすぐで、泣きたい僕の心をえぐってくる。相談事にも「うんうん、」と頷きながら、聞いてくれる。
わがままな僕をかわいがってくれる彼は僕にとって、歳の近いお兄ちゃんのような存在だった。
「青ちゃん!?!?」
橙色の彼。
彼は人を笑わせるのがすごく得意で、いつも場を盛り上げてくれる最強エンターテイナー。不機嫌な僕の顔色を見て、笑わせようと場を和ませてくれる優しい人だ。
同い年で、世代が全く同じで、くだらないことで盛り上がる彼は僕にとって、学生の頃を思い出せる同級生のような存在。
「青ーー」
そして、桃色の彼。
彼は僕の変化に1番に気づいてくれて、僕が不機嫌なときもタイミングを見計らって、僕の機嫌を取る。多分このタイミングは彼にしか分からないだろう。僕のわがままも何だかんだ言いながらも、笑いながら聞いてくれる。飲み会で遅くなった時も、すごく心配してくれて、誰かからか襲われたかと思っとか行って優しく抱きしめてくれる。喧嘩したときも、僕が大泣きして、彼も怒ってたはずなのに、「言いすぎた、ごめんな」と言って抱きしめてくれる。
彼のことがどうしようもなく好きで、大好き。
そんな彼らが僕の名前を呼ぶ夢。
はやくこっちにおいでって、優しく手を引っ張ってくれる。
まるで、僕の居場所はここだよって言ってくれるようで嬉しかった。
あぁ、ずっとこのままでいたいな。
7話のほうも1000いいね⤴︎︎ありがとうございます。
それと、フォロワー様も30人⤴︎︎ありがとうございます。
みなさんの期待に応えられるよう頑張ります。