ことを済ませたあと、私は寝てしまったらしく、起きると慎二が窓辺で一服していた。
その姿はあまりにも様になっていた。中学の頃のイメージとはかけ離れた、私の知らない大人の親友。
口から煙を吐きながら、起きた私に気づいたようで、こちらを向いて微笑んできた。
私は世界一のアホズラをしていたと思う。
私たちはその後もそういうことを度々した。
けれど、恋人にはならなかった。お互いに大好きな親友のままでいたかった。他の人から言わせれば、都合のいい女だと思われている。そう思うだろう。けれど、何かがそれとは違った。
それから私たちは大学を卒業して就職をして、お互い働くようになってからはその回数も減っていった。就職して2年目の春。
友紀が死んだ。
子供を産んで、そのまま出産の負担で亡くなってしまった。とても悲しかった。けれど、千紗や英司の時のように悲しみに打ちひしがれることは無かった。
自分も気付かぬうちに大人になっていた。社会に少し呑まれて、感情の起伏が子供の時ほど大きく無くなっていた。
和は、来なかった。私と慎二は通夜にだけ出席して、帰りに英司と千紗に報告して帰った。
次の日も仕事だった。その次の日も。
そしてたまに慎二と夜を過ごした。
それが15年続いた。私達は35になっていた。けれどそれでも、恋人にも、夫婦にもならなかった。きっと何も変わらないから。それなら、親友でいい。そう思ったから。
友紀は恋多き女だったけど、そう思うよね。
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