ある朝。きっとそろそろだろうなと思っていたことが起きた。
和が自殺した。
和8年前。人を殺した。ひとりじゃなく、無差別に沢山の人を殺した。国民から非難を浴びた。そして、逃げた。消えたのだ。
それでも、私たちは和を親友だと思い続けて、無事でいてくれて、このニュースが嘘であることを願った。
けどそれは紛れもない事実で、毎年のように
「あの無差別殺人事件から3年…容疑者は未だ逃走中です。」と言うようなニュースが流れていた。
それがある日突然
「北区殺人事件から8年。容疑者である南山和容疑者が遺体で発見されました。遺体は少なくとも2年ほど前のものであり、遺伝子検査から南山容疑者のものであることが発覚しました。」
私は驚きと安堵が同時にやってきた。もちろん悲しくもあったが、何よりもあの優しい和が、死刑になんてならなくてよかったと思った。
慎二は
「お前はどうかはわからんけど、俺はとにかく良かったと思うよ。不謹慎だけど。」
「私もそう思うよ」
そう返した。
けれど本当は違った。それよりも不安なことがあったから、和のことが薄れて感じてしまっていた。
和がどこかで私を心配してくれている気がした。
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