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「さて、勉強するか」
僕は普段から勉強するような人間ではない。
それでもテスト前くらいは机に向かって勉強するくらいには真面目だ。
得意科目も不得意科目もなく、授業を真面目に聞いているお陰で、テスト勉強もテスト範囲を振り返るくらいで大体平均点くらいは採れていた。
とりあえず1日目のテストは…と確認しようとするとガチャっと扉を開けられた。
「お兄ちゃん、ここで宿題させて!」
妹の千佳だ。妹の部屋にはクーラーがないので時々こうして僕の部屋に来る。
「いいよ」返事をする。いつものことだ。
しかし勉強?マンガじゃなくて?あの勉強嫌いで、教科書を開くとすぐに眠くなる千佳が?珍しい。と思ったら、
「お友達も一緒なの。由妃ちゃん!いいよね?」
お友達が一緒だった。
由妃ちゃんと呼ばれた子はさらさらの黒い髪をした、大人しそうなかわいい子だった。
申し訳なさそうな感じで千佳に続いて入ってくる。
「そうだよな。千佳が一人で勉強なんかしないよな(笑)どうぞ」と言う。
「ほらね。お兄ちゃん、いいって言ったでしょ?」
「すみません、お邪魔します」由妃ちゃんは声もかわいかった。
ベッドの前の座卓に二人で座ると、それぞれ教科書やノートを準備していく。
ふぅん、数学か。千佳のやつ、寝ちゃわないといいけど…
二人の声を背中で聞きながら僕も自分の勉強を始める。
始めはそれぞれ黙々と宿題をしていたが、そのうち千佳が「由妃ちゃん、これどういうこと?」
「由妃ちゃん、これどうやって解くの?」と由妃ちゃんに質問をし始める。
その度に「これは…」と教えてくれる由妃ちゃん。優しい。
なのに千佳はう~ん…とか、んん?といまいちわからない感じ。同じ授業を聞いてるんだよな?
そんなこんなで30分も経たないうちに、
「疲れた~ちょっと休憩!」と言って千佳はシャーペンを置いた。
「千佳ちゃん、終わったの?」
「ううん、ギブ!由妃ちゃん出来たら後で教えて?」「えぇ~…」
そっと振り返ると千佳は座卓に伏せて、寝る体勢だった。
見かねて「千佳、お友達が来てるのに寝るの?」と聞くと「ちょっと休憩するだけだから…」との返事。
こちらを見ている由妃ちゃんに向かって、両手を合わせてごめんねのポーズをすると、ふるふると首を振って応えてくれた。
それから5分も待たず、宿題を進める由妃ちゃんの向かいで、す~す~と寝息を立て始める。
「ごめんね、寝たらしばらく起きないよ。帰りたい時に帰って大丈夫だからね」と由妃ちゃんにフォローを入れる。
「あ、はい。とりあえず宿題終わらせちゃいます!」と笑顔で言うと、由妃ちゃんは宿題に向かい直した。 いい子だ。
全くうちの妹と来たら…