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のりもちさん
611
塩崎太智side
俺は仁人が好き。もうずっと。いつからかなんて分からない。
俺が初めて仁人が好きだと気付いたのは2年前。はっきり覚えてる。俺がちょっとした事で悩んでたらまっさきに仁人が心配して声をかけてくれたのだ。それが本当に嬉しかった。たまらなく嬉しくて愛しくて。こんな気持ち恋しかありえないと思った。
きっとそれより前から俺は仁人のことが好きだったのだろう。自覚してないだけで。
だって仁人がはやちゃんに向けるあのちょっと甘えた顔とか。
柔太朗と2人しか分からないゲームの話してる時とか。
舜太をしょうがないなーとか言いながら甘やかしてる時とか。
なんか嫌だった。なんでか分からないけどなんか嫌だったんだよね。まぁその時はなんで嫌なのかも分かんなかったけど。
今はもうはっきりわかる。仁人が好きなんだ。
ただ、俺はこの気持ちを伝えることはできない。チームに迷惑がかかる。それにきっと仁人は俺のことをそういう意味で好きではないから。それは一緒にいたら自然とわかってしまうものだった。
手が触れた時。肩が触れた時。仁人が飲んだ飲み物を俺に普通に渡す時。仁人は顔色一切変えずさも当たり前かのようにしているのだ。
あぁ、意識してるのは俺だけなんだと痛感する。こっちは心臓が飛び出そうなくらいドキドキしてるって言うのに。まぁそりゃそうだ。仁人はそういう気持ちに疎いところもあるが、何よりMILKを愛してる。だからそんな仁人がメンバーを恋愛的に好きになるなんてありえないのだ。そんなことになったら関係が壊れることくらい誰でも想像出来る。
次の仕事場に向かう廊下をみんなで歩いてると後ろから小走りで仁人が俺の横に並びに来た。
「太智疲れてるんならちゃんと休みなよ?」
「え?あぁうんそうやな!ありがとうじんちゃん!」
「……なにか悩んでる?なんでも聞くから話してよ」
「え!?なんでそう思ったんよー!……なんも無いで!」
「ふーーん……」
怪しい……とでも言いたげな顔だがこれ以上は話す訳には行かない。協定も組んじゃってるし。ごめんね仁人!
「太智は俺の大事な相棒だから、ほんとになにかあったら話してよ?」
「め、珍しいね仁人がそんなこと言うの」
「だってなんか悩んでそうだから……」
そう言って唇を尖らせながらちょっと上目遣いをしてこっちを見てくる。それはわざとなのか?可愛すぎて今すぐ抱きしめたいのを仁人に見えないよう拳を握りしめて耐える。
ただみんなこれでわかったやろ?そう。仁人は俺のことを相棒としか思ってない。これはなかなかキツイ。俺は仁人のことが恋愛で好きなのに仁人は俺のことを相棒、仲間として好き。この差はどう頑張っても埋まらないものなのだ。だから俺は仁人への気持ちに蓋をしなければいけない。
コメント
3件
読了しました…仁人の「太智は大事な相棒」って言葉、痛いほど刺さりましたね。自覚したあの日の嬉しさと、今の切なさのギャップが苦しい…。仁人はほんとに無自覚であの甘やかし方するから、太智の拳握りしめて我慢する気持ち、すごく分かります。チームと気持ちの板挟み、丁寧に描かれてて引き込まれました。続きも気になります…!