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題名
白布賢二郎に嫉妬される
朝
「さっき一緒にいたの誰ですか?」
「…え?渡しに聞いてる?」
「先輩以外誰がいるんですか?」
「何で喧嘩腰なの」
「答えてください誰ですか」
「誰って友達だけど」
「名前とクラスと関係の詳細を」
「何でよ」
「チャイムなるから行くね」
朝から白布くんに絡まれるとは
教室に向かって歩き出すと
白布くんに腕を掴まれる
「何?」
「どういう関係ですか」
「だから友達だってば」
私は腕を振り払って歩き始める
ここではっきりさせておこう
私と白布くんはただの先輩後輩だ
それ以上の関係はない
なのに、最近白布くんが絡んでくる
「牛島くん、きちんと教育してください」
同じクラスの牛島くんに伝える
牛島くんはキョトンとしてから
「何か粗相があったか」
「お宅の白布くんです」
「いちいち絡んでこないように」
「ちゃんと注意してください」
「すまない」
「迷惑をかけているようだな」
牛島くんはちょっと抜けてるからな
「牛島くんが悪いわけじゃないんだけど」
「白布くん毎回喧嘩吹っかけてくるからさ」
「すまない注意しておく」
牛島くんは最初は怖そうだったけど
話してみたら天然で面白い
放課後になって掃除をしていると
「先輩」
またもや白布くんが現れる
「今日告白されてましたね」
「…それが?」
「返事したんですか」
「まだしてない」
「なんて返事するんですか」
「何で白布くんに教えなきゃいけないの」
その時、別の声が聞こえる
「おい来週の提出の課題なんだけど」
「まだやってないよ」
「残念だったね」
「マジかよ」
「いつやんだ?」
「週末自分を追い込むつもり」
「俺部活あるから手伝ってくれよ」
「牛島くんなら終わってるんじゃない?」
「牛島もまだだってよ」
「珍しい〜」
瀬見が課題の話をしてきたから
時間がなくて可哀想だなーって
笑っていたっら
「白布どうした?」
瀬見が白布くんに声をかけた
私も瀬見と同じように白布くんを見る
白布くんは後輩とは思えない目つきで
瀬見を睨みつけていた
そして何も言わずにさっていく
何だったんだろう
「あいつ、お前のこと好きなんじゃねぇの?」
「は?」
「それはないでしょ」
「そうか?」
「うん」
「ないない」
掃除を終えて家に帰る
課題、週末にやるつもりだったけど
ちょっとだけ進めようかな
翌日、教室に入って牛島くんに挨拶する
「課題まだって聞いたけど」
「ああ今日やろうかと」
「私昨日やってみたんだけど」
「案外すぐ終わっちゃったよ」
「そうか」
「それなら週末の練習試合に」
「集中できそうだ」
「練習試合あるの?」
「ああ」
「あーだから瀬見週末できないって」
「そういうことね」
練習試合は朝早くて帰り遅いし
反省会とかもあるみたいだから
疲れて帰った後課題できないね
その前に終わらせればいいのに
とも思ったけどね
週末になって、9時過ぎまで寝てた
だらだら過ごすつもりだったけど
瀬見の課題が気になって
しょうがないコピーとって
渡しに行ってやるか
体育館に来てみたら大変
人だかりができていた
これじゃ渡せないなぁ
まぁ諦めて帰るか
「わッ」
誰かに引っ張られた
振り向くとそこには白布くん
「誰をみにきたんですか」
「瀬見に課題のヒントを渡そうと」
「………」
白布くんは私の手にあるそれをみて
「それは俺から渡しておきます」
「ありがとう」
それを渡してさっさと帰ろうとしたら
「見ていってください」
「え?」
「俺を見ていってください」
白布くんは腕を話してくれなくて
「他の人ではなく俺を」
「…………」
その時瀬見が白布くんを呼びにきて
白布くんは私の腕を掴んだまま
体育館へと戻っていく
鷲匠先生の隣に座らせられたけど
あまりにも気まずくて思わず先生に
「私は悪くないですからね」
って強い口調で言っちゃった
「先輩」
「何?」
「俺の事だけ見ててくださいね」
「いや、でも視界には常に他の物も」
「じゃないと、みんなの前でキスします」
「え?」
何でそうなるの?って
でも白布くんは平然と戻っていって
私はただ大人しくしていた
第二セットが終わると
白布くんが勢いよく近づいてきて
「牛島さんのこと見てましたね」
「力強いなーと思って」
「天童さんのことも見てました」
「やっぱり変わってるなーって思って」
「五色のことも見てました」
「面白い髪だと思って」
「何で俺の事だけ見れないんですか」
「いやだからさ、視界っていうものがあってさ」
「視界全部に俺を入れてください」
「無理じゃない?」
「どうすればいいの?」
「こうすればいいんです」
視界いっぱいに白布くんの顔
え?今試合中だよね?
眼前の白布くんは口角を上げて
「あーあ」
「俺以外の人のところ」
「行けなくなっちゃいましたね」
私は、口を半開きにして
状況を把握しようとするけど
白布くんはまた顔を近づけてきて
でも寸前で止まって
「俺のこと見てくれないからですよ」
捨て台詞のようにそう吐き捨てて
試合に戻っていった
隣にいる鷲匠先生を見るけど
全然目を合わせてくれなかった
多分ぼーっとしてたんだと思う
意識を取り戻した時には
丁度試合が終わったところで
私は反射的にその場から立ち去る
「……何だったんだ」
「あの、すみません」
声をかけられて振り返って向いてみると
5人の女の子たちがいて
「白布くんと付き合ってるんですか?
多分2年生だろう
「いや別に付き合ってないよ」
さっさと帰ろうとしたけど
「なら、あんまり近づかないでもらっていいですか?」
え?私?って思ったけど
「白布くんの幸せを願うなら」
「白布くんから離れてください!」
「好きでもないのに期待を持たせるようなこと」
「しないであげてください!」
そんなこと何もしてないんだけど
めんどくさいなって思って
「嫌いならはっきり言ってあげてください!」
「何してんの」
そこへ試合が終わったばかりの白布くん
「先輩に寄ってたかって何してんの」
「白布くん私たちは白布くんのために」
「俺のため?」
「俺のためって何?」
「白布くんに幸せになってほしいの!」
「だから期待させるようなこと」
「しないでくださいって言ったの」
そう言いながらその子は私を睨む
白布くんは黙ったまま近づいてきて
女の子たちをちらりとも見ずに
私の前にやってきた
「先輩」
「え?何?」
「俺期待しちゃダメですか?」
「え?」
「可能性ないですか?」
「…………」
「だからこの人白布くんをたぶらかしてただけで」
「うるさい黙ってて」
白布くんは鋭い目つきで女の子たちを見て
みんな一斉におとなしくなった
「先輩、俺のこと男として見てくれませんか」
「……そういうわけじゃ」
「年下だからですか?」
「俺は歳とか気にしませんよ」
「…………」
いやそもそも何で私なの
後ろにいる子達の方が
女の子らしくて可愛いじゃない
「俺、断られても嫌われても」
「先輩のこと好きなので」
「諦めるとか無理ですよ」
その言葉に女の子たちは絶叫
「白布くん!しっかりして‼︎‼︎」
「白布くんならもっといい人が」
白布くんはため息を吐きながら
「うるさいってば」
「さっきから俺が誰を好きになろうと」
「お前らには関係ないだろ」
「ていうか一々先輩に絡まないで」
「距離近いから離れて」
「白布くんこの人はねッ」
女の子が私の腕に掴むと
白布くんはその子の腕を掴む
多分強く掴んでると思う
女の子がいたそうな顔をしたから
「先輩に触んな」
女の子が泣き出しちゃって
私は慌てて白布くんを止める
「白布くん話してあげて」
「わかりました」
なんてあっさり話したけど
「二度と先輩に絡むな」
女の子たちは走っていった
「ファンは大事にした方がいいんじゃないの?」
こっちを見た白布くんは
その時打って変わって
「大丈夫ですか?」
「私は全然平気だけど」
「先輩俺もう無理です」
「何が?」
ふわっと白布くんに包まれる
え?何?どういう状況?
「先輩が俺以外の人と」
「話したり、笑ったり」
「一緒に並んで歩いたり」
「俺以外の人の名前呼んだり」
「絵がを見せたり色々と」
「見るたびにイライラします」
「早く俺のものにしたいのに」
「俺だけを見てほしいのに」
「いつになったら」
「俺のものになってくれますか?」
「いつって言われても……」
「俺医者になる予定なので」
「将来安泰ですよ」
「すごいね頑張ってね」
「医者プレイとかできますよ」
「したいわけじゃないからさ」
「牛島さんと距離近すぎますよ」
「普通じゃない?」
「近いです」
「瀬見さんとも近いです」
「白布くんよりは近くないよ」
「ずっとこの距離でいましょう」
「近すぎる」
「何もできないじゃん」
「何もしなければいいですよ」
「俺先輩を養うので」
「ずっと家にいればいいです」
「束縛されるのは嫌いだよ」
どこからか白布くんを呼ぶ声が聞こえる
私は離れようとしたけど
白布くんは私の耳に唇を近づけて
「嫌いなら俺を嫉妬させないよいうに」
「細心の注意を払って行動してください?」
思わず逃げようとしたけど
逃げれるわけもなく
「先輩お返事は?」
「………ッ」
「できないなら、本当に縛り付けますから」
やっと体が離れる
白布くんを呼びにきた瀬見が
私の様子を見て手を伸ばしたけど
白布くんが瀬見の手を引いていく
「瀬見さん、先輩に触れたら」
「腕切り落としますよ」
「……おっかねぇこと言うなよ」
白布くんは私を一瞥してから
瀬見と体育館に戻った
「瀬見ごめん」
「まずは、毎日連絡とりましょう」
「…………」
「手錠と首輪どっちがいいですか」
「放し飼い希望」
「それはマナー違反です」
「白布くんのは倫理違反だよ」
「何ですか?」
嫉妬ってこうなるよね
最後まで読んでくれてありがとうございました!
チャットノベル版もあるのでそっちももしよければ読んでください!
それでは〜
バイネム〜