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#年の差
水無月 京
836
鷹槻れん

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鷹槻れん

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#強引
暫くして、ようやく落ち着きを取り戻した羽衣子に昴は言った。
「羽衣子、少しだけここで待っていてくれ」
「昴さん?」
「高遠と吾妻の今後について指示を出してくる」
その言葉に羽衣子は不安そうな表情を浮かべる。
「……あの、二人は、どうなりますか?」
昴は一瞬だけ言葉を選ぶように悩み、静かに答えた。
「少なくとも、お前は奴らと二度と会うことはないだろう」
「…………」
その一言で羽衣子は全てを察したように俯く。
悲しくないわけではないけれど、兄はそれだけ取り返しのつかない罪を犯したのだから、その責任から逃れることは出来ない。
だからこそ、それは仕方の無いことなのだと自分に言い聞かせた。
「すぐ戻る」
「……はい」
昴は部屋を後にし、想汰が拘束されている地下へ戻って行く。
「何だよ……何の用だよ?」
姿を見るなり投げやりな態度で睨みつける想汰に昴は淡々と告げる。
「お前の処遇は俺に一任された」
「……はっ、そうかよ」
「何か言うことはあるか?」
その言葉に想汰は少し黙り込んだあと、自嘲するように笑う。
「何もねぇよ。どうせ殺されるんだろ? もういい……全部、俺が悪かったんだ。羽衣子をあそこまで追い詰めた俺が……」
「羽衣子の言葉がそれなりに堪えたみたいだな」
「…………」
想汰は何も答えられずただ俯いる中、昴は本題を告げる。
「お前は高遠と共に柳生会へ身柄を送る。俺ら七鳳組に関わることも、羽衣子と会うことも二度とないだろう」
そして少しだけ声を和らげて言葉を続けた。
「……少しでも後悔しているなら自分の罪を認めて償え。そしてせいぜい命乞いでもするんだな……。俺から言えるのは、それだけだ」
それだけ言い残すと昴は踵を返して部屋を後にする。
「……羽衣子を…………頼む……」
去り際に小さく漏れた嗚咽と消え入りそうな声で呟かれたその言葉が昴の耳に届いたけれど、それに反応を見せることはせずにそのままドアを閉めた。
部下たちの元へ向かった昴は静かに指示を出した。
「二人を柳生会の元へ送る。そう組長に伝えてくれ。俺は一度家に戻る」
「分かりました!」
高遠と想汰の処分を柳生会へ委ねる決断を伝え終えると、昴は羽衣子の元へ戻る。
「待たせたな。帰ろう」
「え? もう帰って大丈夫なんですか?」
「ああ。後で組長のところへ行かなきゃならねぇけどな」
「そうなんですね」
羽衣子はそれ以上何も聞かなかった。
二人は車に乗り込み自宅へと戻る。
そして、辿り着いて敷地内に車を停めて降りた、その瞬間だった。
「ういちゃん! パパ!!」
弾けるような笑顔を浮かべた希海が家の中から勢いよく飛び出してくる。
「希海くん、ただいま」
羽衣子が微笑み返すと昴はその後ろから出てきた乙哉へ声を掛けた。
「悪かったな。面倒見てもらって」
「気にしないでください。それより、二人とも早く入ってくださいよ」
「はやく、はやく!」
乙哉に促され、希海に手を引かれるようにして家へ入り、リビングへ足を踏み入れた二人は思わず足を止めた。
「わぁ……凄い!」
室内は色とりどりの飾り付けが施され、ダイニングテーブルには手作りの料理が所狭しと並んでいるのだ。
その光景に昴は驚いたように辺りを見回した。
「凄いな……。どうしたんだ、これは」
すると乙哉が笑いながら事情を説明する。
「実は、二人が出掛けた後にテレビで料理番組を目にした希海が突然、二人の為にご飯を作りたいって言い出して、そしたらそれを聞い皐月が、『それならパーティーの準備をしましょう』って提案して、そこから急いで買い出しに行って、みんなで飾り付けや料理をしたんですよ」
話を聞き終えた昴と羽衣子は顔を見合わせると自然と笑みを浮かべた。
「そうか。頑張ったな」
昴が希海の頭を優しく撫で、
「本当に凄いね。びっくりしちゃったよ。ありがとうね、希海くん」
羽衣子も目を細めながらお礼を伝えると、二人から褒められた希海は照れくさそうにはにかみながら喜んでいた。
コメント
1件
お疲れさまです!第82話、読み終えたよー! 想汰が最後に漏らした「羽衣子を……頼む……」がグッときたな…。あの場面でしか言えない言葉だよね。 一方、家に帰ったら希海くんたちがサプライズパーティー準備してて、そのギャップが胸に沁みた。辛いことの後にああいう温かい場面があると、余計に染みるわ。昴の“任せろ”感もいいし、家族の絆がちゃんと描かれてて好き。続きが気になるー!