翌日。俺は朝早くから起きて朝食を食べた後、すぐに41番GRに麦わらの船、サニー号がないかを確認しに行く。
「ないなぁ」
となるとまた1日暇である。まあ、こういう時こそ散歩したりトレーニングしたりするのだが。
連日外にいるのもあれなので、俺は昼まで部屋でゆっくり過ごすことにした。ホテルのベッドで本を読む。
「本屋に行くのもありだな…」
ページをめくりながら呟く。
足をぱたぱたさせながら本を読み進める。本屋は明日行くか。
「んん~~~~~~」
大きく伸びをする。いつの間にか太陽が高く昇っていた。
「昼飯でも食べに行くか」
本を閉じてテーブルの上に置いて上着を着る。昨日とは別のレストラン…いや、今日はカフェとかに行ってみてもいいな。
街を歩きながらきょろきょろと辺りを見回す。どこも美味しそうで迷うな……。
――かしゃん
「鎖の音…?」
少し遠くの方から金属が擦れる音が聞こえた気がする。なんだろう、嫌な予感が……。俺は上着のフードを被り、路地裏の方に身を隠す。
鎖の音がだんだん近くなってくる。俺は路地裏から大通りを覗き見る。
「天竜人……」
人を四つん這いにして歩かせ、その上で宇宙服のようなものを着ている男がいた。その後ろには2人の護衛と思しき人間が控えている。
あの特徴的な格好と服装……間違いない。天竜人だ。相変わらず胸糞悪いな。天竜人の所業は。
俺は小さく舌打ちをして、その場を離れようとした。天竜人に限らず、貴族だからと踏ん反り返っている奴は嫌いだ。城の連中を思い出すから。
「さっきのカフェに入って美味しいもの食べよ…」
下がったテンションを取り戻すために俺はカフェに入った。
メニューを見て俺は自分の気持ちが上がっていくのを感じた。ティラミス、チーズケーキ、ガトーショコラ……どれも美味しそう……。だが、そのメニューの中で特に俺の目を引いたのは……
「すみません、このレモンメレンゲパイください」
これしかない。
店員さんに注文するとしばらくして頼んだものが運ばれてきた。
「おお……」
メレンゲの表面が黄金色に輝いてる……最高だな。フォークで一口サイズに切り分け、口に運ぶ。
「~~~~っ!!!」
美味すぎる。足をばたつかせて全身でこの美味しさに対する喜びを表したいところだが店だし、俺はいい年の大人なので自重する。
パイ生地はサクサクだし、カスタードクリームと、爽やかなレモンの風味がマッチしている。メレンゲも程よい甘さ加減で……。ああ、幸せ……。
紅茶も飲んでほっとひと息つく。
こういうの、自分でも作れなくはないけどやっぱ店で誰かが作ってくれた方が美味いって思うのは何でだろうな。
にしても今日は平和だな……。昨日まではドレークさんに会ったり、ケイミーとパッパグを助けたりと何かしらあったが……。今日はそういうことが一切ない。こういう穏やかな日が続けばいいんだがなあ。
そんなことを考えていたら……
――バァンッ!! 突然店の扉が開いた。何事かと思って入り口を見ると、そこには武装した海兵たちがいた。
「うおっ」
俺は慌ててずらしていた狐面をちゃんとつける。幸いなことに俺のことは気づかなかったようだ。よかった……。
それにしても、なぜ海兵がここに? 銃まで持っちゃってさ……。俺は心の中で首を傾げる。一体どういうことなんだ……。
食べ終わってもう店を出たいのだが、海兵が「しばらく出るな」と言うから出るに出られない。
ぼーっと海兵たちを見る。どうやらこの店に海賊がいるから捕まえに来たらしい。少し向こうの店で騒ぎも起こしたからこうやって海兵がやってきたと。
しばらく聞き込みのようなことをしていたのだが、どうやらこの店にはいないらしい。そりゃそうだ。ここに入ってから嫌な気配とかもなかったし。
海兵は店員や客に頭を下げて店を出ていく。やっと帰れそうだ。
俺も席を立ち、会計を済ませて外に出た。
俺はホテルに戻ってシャワーを浴びて服を着替えてから、ホテルの窓から海を見下ろした。海は凪いでいて穏やかだ。波もほとんど立っていない。
俺はふう、と息を吐いてソファに身を預けた。
「明日は本屋に行こう」
……俺、なんだかんだ言って毎日外に出てんなぁ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!