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『…お姉ちゃんっ』
それからというもの、お姉ちゃんは3日間目を覚まさなかった
普通、雑魚鬼の攻撃でこんなに意識不明になるなんてないんだけど…
私を被って直で攻撃を受けてしまったせいで大分傷が深い
…私のせいだ
私があの時避けなかったからお姉ちゃんは…
『…だめだめっ』
こんな事を考えていると物事は悪い方向へ向かう
どうせ、お姉ちゃんは目を覚ましてくれるはず…
…覚ましてくれるはず…
そう、信じたい
『む、蟲柱様っ。お姉ちゃんは…?』
「葵さんは今日も意識不明です。…やはり、やられどころが悪かった様ですね。急所のみぞおちを少し掠ってしまっています」
『きゅ、急所…』
みぞおちは隊士にとって最も重要である部位の一つだ
そこを深くえぐられてしまったら…
考えただけでも吐き気がする
「…ですが。死亡している確率はとても低いです。いつか絶対目を覚まします」
『…そ、そうですよね…!ありがとうございます…!』
「…そして、少し疑問なんですが…」
蟲柱様はそう言いうと口を開いた
「…本当に貴方、庚なんですか?」
『…え?ど、どうしてですか…?』
妙な冷や汗をかく
…もしかして…バレた…?
「貴方の太刀筋などを見るに…丁…いえ、丙まで行っておかしくないです」
「なのに階級は庚…どうしてですか?」
蟲柱様は綺麗な顔で私をじっと見つめる
『…私は確かに、本来なら丙です』
『ですが…。表面上では庚にしてほしいと、お館様に直々に申し出ました』
「…何故ですか?」
『お姉ちゃんは、はっきり言って私よりは力が劣ります』
『だから、私がどんどん出世してお姉ちゃんの元から離れてしまったら…』
『お姉ちゃんが…その…心配で…』
「…なるほど!」
蟲柱様はさっきの顔とは反対に、ニコニコと笑顔を浮かべた
「葵葉さんは、葵さんの事が大好きなんですね!」
『…っ!だ、だけど!ただ単に私が出世したらお姉ちゃんに妬まれるのかなぁ〜とかですよ!』
「…嘘ですね」
『…うぐっ…』
蟲柱様にはどんな嘘を吐いても全て見透かされるようだ
「…ですが、大好きな事には変わりないんですよね!」
『む、蟲柱様…!』
中々に蟲柱様は強敵な様だ
…色んな意味で
「…葵さんはさっきもお話しましたが、死亡する可能性はまだ低いです」
「…絶対、目を覚まします」
『…はい。』