テラーノベル
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そうして始まった奇妙な同居生活。
早速問題が発生した。
「うたくんって人間の食べ物食べられるんですか?」
「あ、やべ」
「もしかしてですけど…」
「食べれねーわ、そういや」
「飴、食べられるんじゃないですか?」
「飴だけで生きていけと?」
「そういう訳では無いんですけど、 飴を食べられるなら、他の物行けるんじゃないかなって」
「飴美味くて、15年間色々な物食べたけど」
「飴以外食べたら吐いたから無理」
「暇してた訳じゃ無いんですね。」
「持て余してはいたな。」
「……で、どうするんですか?」
「飴だけだったら、流石の吸血鬼様でも
厳しいと思いますよ。」
「んー……あ、」
「お前の血くれよ」
「……はい?」
「本気で言ってますか?」
「体裁上は神に仕える身なんですけど
僕の血飲んで死んだりしません?」
「大丈夫大丈夫」
「血液流れる形が変わるだけなんだから別に
いいだろ。」
「はぁ、そういえばバレてたんでしたね。」
「理由聞いてないけどなー、」
「……」
(まぁ、確かに血が流れることに違いないし
それでうたくんに喜んで貰えるなら、寧ろ
いいですかね。)
「じおるー?」
「じゃあ良いですよ。僕の血飲んでも。 」
「お、あざす 」
「相変わらず軽いですね。」
「重くする理由もないしな。」
「で、血ってどうやって飲むんですか?」
「え、普通に首からガブって」
「うわ……」
「嫌なら出てくからいーぞ」
「それは嫌です。」
「強情な奴だな……」
「吸血鬼って何日間血を飲まなかったら死ぬん
ですか?」
「1、2週間くらいじゃね?」
「いつから飲んで無いんですか?」
「一昨日が最後。」
「じゃあ血を吸わせる前に、調べてからでも
いいですか?」
「流石に少し怖いので。」
「それで飲ましてくれんなら。」
「じゃあ交渉成立という事で。」
「ってか日光で死ぬんだけど、俺…」
「あー、じゃあ僕の父親が元々使ってた部屋、
あげますよ。」
「お、まじ?さんきゅー、」
「では、また後で。」
「あいつ、神を信じてた父親の部屋、
良く軽々しく吸血鬼に渡せんな…」
「何考えてるかわかんねーやつ。ガチャ」
「…窓が無い?」
「普通の建築って窓あるもんじゃねーの?」
「吸血鬼である俺の屋敷にも多少あったぞ…?」
「しかも教会の一室なら、ステンドグラス
くらいあってもいーと思うんだけどな。」
「あいつ今なんか調べてんだっけ…」
「聞きに行くか。」
「埃っぽいですね…掃除しないと。」
(窓でも開けましょうか。夜ですしうたくんが来ても大丈夫ですよね。)
夜風が吹き込む。
「吸血鬼の文献、ありますかね…?」
僕は死んだ母親の部屋で調べ物をしていた。
流石に何も知らないまま吸血は怖い。
「お、ありましたね。」
「えーっと…?」
と、その時廊下から声がした。
「おーーいじおるー?」
「ん、うたくん…?ガチャ」
「何か用ですか?」
「ここに居たのか、この部屋は?」
「亡くなった母親の部屋です。」
「めっちゃ本あるな…。」
「僕の母親は博識だったので、そういうものなのでしょう。」
「ふーん、あ、でさ、」
「何でしょうか」
「お前父親の部屋入ったことあんの?」
「いえ、無いですね。入るなと言われてい たので。」
「そこに客入れていいのか?」
「もう居ないので別にいいかな、と。」
「それより何かあったのですか?」
「いや、気になっただけ。」
「そうなんですね、では僕は調べ物に戻ります。」
「ん、」
「母親の部屋には窓あったな。」
「窓がない理由があるって事か。」
「部屋探ってみるか?でもなー…」
「ま、あいつ親の事良く思ってないし、いーか」
ガサゴソ コツン
「ん?引き出しの中に何か…」
「diary…、日記か。」
「どれどれー?ペラッ」
【これを読んでいるのが誰だから知らないが、】
【まず最初に言っておこう。】
【俺はーーーーーーー】
「……どーしたもんか、これ。」
吸血鬼の生態、と書かれた本を開く。
「えーっと、吸血鬼は…」
要約すると、このような感じだった。
・吸血鬼は15日間、血液を飲まないと死ぬ。
・吸血鬼は基本的に人間の食べ物は食べられない。
・100年以上生きた吸血鬼は十字架が効かない。150年以上生きると、日光も効かなくなる。
・吸血鬼同士で吸血をすると、性的欲求が起こる場合がある。
・人間が吸血されても大して影響はない。
・が、一度に大量に血を奪われた場合、死に至る。
・首から吸血するのが一般的。
「つまり、一度に沢山吸われなければ大丈夫ってことですかね。」
「なんでうたくんは飴だけは食べられるんでしょうか……?」
「まぁいいです、行きましょう。バタン」
開け放たれた窓から夜風が吹き込む。
ペラッ
・吸血鬼と人間で子供を作ると、
生まれた子供は人間に近い吸血鬼になる。
礼拝堂に戻る。
そこには、チャーチチェアに座っているうたくんがいた。
「じおる」
「いつになく神妙な感じじゃないですか、うたくん。」
「……(腹くくるか。)」
「とりあえず座ってくれ。」
「はい、どうしました?」
「俺、お前の父親の部屋に入って気になったことがあったんだ。」
「…………あの部屋には、窓がなかった。」
「……僕は父親の部屋に入ったことがないので、知りませんでしたね。」
「この教会はいつからある?」
「えっと、200年前くらいからでしょうか。」
「(確定だな。)」
「じおる。」
「何でしょうか。」
「今から俺が話すことは、お前の父親が一生
守った事を暴くことになる。」
「どうする?」
「……いいですよ。話して下さい。」
「まず結論から言う。」
「お前は、」
「吸血鬼だ。」
時が止まった気がした。
言葉を発そうにも、掠れた声しか出てこない。
「え……ぁ……」
「吸血鬼と人間の子供は、限りなく人間に近い吸血鬼になる。」
「その子供は、血を吸わなくても生きていける、日光も十字架も効かない。」
「だが、神に対する信仰心が異様に薄い。 」
「生まれた場所、環境を問わず、だ。」
父親の日記に書いてあった内容は、吸血鬼の俺からしても、ショッキングなものだった。
【俺は、吸血鬼だ。】
【この教会は、元は俺の城。】
【俺は窓のないこの部屋で、150年を過ごしていた。】
【150年後、日光が効かなくなった俺は、初めて日光が出ている時間に、外へ出た。】
【そこで出会った女性と恋に落ち、結婚し、子供も産まれた。】
【俺は知らなかった。普通の人間の子が産まれてくると思っていた。】
【俺の子、じおるが5歳くらいになり、異変に気づいた。】
【教会の子なのに、異様に信仰心が薄い。】
【俺は正直、神など敵だし、信仰もしていない。吸血鬼なのだから。惚れた女性が神に執着していたから、神父になっただけ。】
【俺は調べた。そして気づいた】
【この子は人間では無いと。】
「嘘……ですよね……」
「嘘じゃない。」
「僕が、人間じゃない……?」
「…………」
(暴くべきじゃ、無かったのかもしれない。)
(こんなに傷付いたじおるは見たくなかった。)
俺は膝から崩れ落ちていたじおるを抱きしめた。
「うたくん……?」
腕の中のじおるは泣きかけていた。
「泣くなよ」
「俺と一緒がそんなに嫌か?」
「それは…………グスッ」
「それに、お前の親、お前に関心が無かった訳じゃないと思うぞ。」
「……え」
「神に執着していた母親の部屋に吸血鬼に対す
る文献があったのは、お前について知る為。」
「父親が話さなかったのは、吸血鬼だろうが
人 間だろうが、息子である事に違いはないか
ら。」
「つまりお前はすげー愛されてたんだよ。」
「ッうっ……あぁッ……ポロポロ」
「あぁ”ッッ!…うぅ……ッつ……ポロポロ」
俺は抱きしめることしか出来なかった。
「はぁ……」
「落ち着いたか?」
「はい。」
「ありがとうございました、うたくん。」
「……え?」
「俺は、」
「真実を知れたのは、うたくんのお陰ですよ。」
「まぁそれは……」
「それに、人間に近い吸血鬼なら大差ないですよ。」
「そうだ、お前したたかなやつだったな。」
「えぇ。ニコッ……」
(……あの時と笑顔、かわんねーな)
(……ん?)
「あ、血飲みます?」
「え、今かよ」
「重い空気にしたくないんじゃなかったですか?」
「いや、まぁ……そうなんだけどさ……」
「ちょっと来て」
「?はい、」
「僕の母親の部屋?って、窓開けっ放しでした」
「不用心だな。」
「まぁうたくんいるしいいですよ。」
「俺そんな戦闘得意じゃないんだけどなー」
「たしかに昔ボロボロでしたね。」
「うるせーーー」
(うたくんは、変わらないですね。)
(…………あれ。)
「あ、で本題だよ。」
「ここ見て?」
「何ですか?チラッ」
・吸血鬼同士で吸血をすると、性的欲求・興奮が起こる場合がある。
「……ちょ、黙るなよ。」
「……うたくんって変態だったんですね。」
「そういう訳じゃねーよ」
「で、どーしたい?」
「僕別にほぼ人間ですし、大丈夫じゃないですか?」
「そういうもんか……?」
「うたくん飲まなきゃ死にますよ?」
「たしかになぁ……じゃ、やるか」
「分かりました。」
「……流石に母親の部屋では……」
「どこでもいーだろ」
「うたくんの部屋か僕の部屋で、」
「万が一もあります、し……?////」
(照れられたらこっちが緊張するなぁ。)
(吸血で殺したことしかねーから、新鮮だな。)
次回R18入ります。
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