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〜夜兎の力を失うことの意味〜
神威side
宇宙に浮かぶ第7師団の舟
辺りはシンとしているが舟内では激戦が繰り広げられていた
ドガッ
「グァアッ!」
神威『あり?このてーど?そんなんでよく第7師団にケンカ売ってきたネ』
もう動くことのない死体を雑に投げ飛ばす
作法である笑顔は消え冷たい目で辺りを見渡す
神威『……なぁんだ、ホントにザコしかいなかったのカ』
つまんないのォ…と唇をとがらせる青年
部下の元に帰ろうとしたとき、フト暗い奥の部屋からヒトの気配を感じ取る
神威(…敵かな?全員殺ったと思ったんだけド…)
軽快な足取りで気配の正体に近づく
神威『お〜い、誰かいるノ?』
暗闇に目が慣れてきて気配の行方を探す
プシューーーッ!!!!
神威『!?』
ドアを開け足を踏み入れたとたん狭い部屋に煙が充満する
神威(ナニコレ、毒ガス?)
煙を吸わないように服の袖を口に当てようとした瞬間
後頭部に鋭く鈍い衝撃が走った
神威『…ッッッッ!!!!』
不意打ちの衝撃に耐えられなく床に体を叩きつける
神威(クソッ!しくったッ…)
頭上から声がする
「ハッ!ザマァねーな!神威!!」
恐らくこの煙を巻いた張本人が話しかける
神威『…お前バカなのッ?夜兎に毒ガスは効かないヨッ』
脳震盪を起こしているのか気持ち悪く、焦点が定まらない
「ぁあ?んなの知ってるわ。コレわなぁ、夜兎のために作られた特別な毒ガスだ!」
「まぁ、夜兎以外にもッ、影響は出るけどなッ…!」
よく見ると相手も足元がフラついている
コイツは後もっても数分だろう
バタッ
神威(……死んだのカ?)
「ハァハァッ……よく聞いとけよ神威ッ ニヤッ」
やけにニヤついた顔で話しかけてくる
「さっきも言ったがッ、コレは夜兎専用の毒ガスだッ……」
「だがなただの毒じゃねえ!…ッこの毒にはなッ、夜兎の力を弱体化させる効果がある!!」
神威『………は、?』
神威のサファイヤのように青い瞳が見開かれる
この男はなんと言った?
夜兎の力を弱体化させる…?
意味が分からず呆然とする
毒を巻いた敵はもうすでに息絶えていた
神威(…クッソ、意識…がッ…)
フッ…と神威は静かに意識を手放した
阿伏兎side
自分の持ち場の敵を全員始末し、上司である神威の姿を探す
阿伏兎『あの団長がこっちの戦いに参加してこねぇとはな…』
団長が相手していた人数は阿伏兎が相手していた人数よりも遥かに少なかった
戦闘狂である神威は絶対にこちらにも来ると思っていた
阿伏兎(あのすっとこどっこい、怪我でもしたか?)
………いや、怪我しても動けるかぎり死ぬまで戦うタイプの奴だ…
…イヤな予感がするな
阿伏兎は少し足を早め上司を探す
阿伏兎『…団長?』
神威が戦闘時走っていった方向へ足を運ぶ
辺りからは鉄の匂いが広がっている
阿伏兎『……ん?』
奥の廊下から何やら白い煙が漏れている
阿伏兎『何だありゃ、戦闘でどっかに穴でも開いたか?』
いや、確かあの辺りはただの物置場だったはずだ…
薬や毒ガスのようなものは置いていない…
だとしたら敵のものか?……否や予感が当たっちまってるかもしれねぇ
来た方向へ戻りガスマスクを取りに行く
阿伏兎『団長、居ますかい?』
煙が出ている部屋に慎重に足を運ぶ
阿伏兎『…!?』
暗闇の中見渡していると二人のヒトの姿が目に入った
片方は生きていないのか一切動かない
しかし、もう一人のほうはまだ肩で息をしていて生きている
阿伏兎『…団長!!!??!』
近づいて気づく
見慣れたピンクで長い髪に三つ編みをした青年が倒れて居ることに…