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そのあと僕と妃馬さんも鹿島のゲーム講義を聞いたり
今度一緒にゲームやろうって話で盛り上がった。尿意を感じトイレに立った。
用を足し終わり、また楕円形の鏡の前でスマホの電源を入れた。
匠からLIMEの返信が来ていた。通知時間を見ると10時10分。
今何時かを確認するためスマホの右上見る。10時34分。
そろそろカラオケに移動するか。
そう考えトイレを後にした。自分たちのテーブルに戻る前に
僕たちとは反対側の座敷で飲んでいた先輩たちのテーブルに寄って
「すいません、先輩」
と声をかけた。
「お?どした?」
と言う先輩に
「カラオケ行ってそのまま帰ろうと思ってるのでご挨拶だけと思いまして」
そう言うと先輩は感動したように
「この時代にこんな若い子がこんなしっかり礼儀がなってるなんて。
こんな。ねぇ?しっかりした子」
「お前だいぶ酔ってんなぁ〜」
先輩たちはだいぶ酔っていたようで先輩同士の掛け合いが始まった。
「でもたしかに最近しっかりした子ってそうそういないよなぁ〜」
「え!オレしっかりしてると思うけど?」
「お前はない!」
「お前よりはオレのほうがまし」
そう言い合い笑う先輩。僕はなにも言えずそれを見て微笑む。
「いやぁ~でもたしかにこんなにしっかりした子はほんと珍しいよなぁ~」
そう僕の顔をマジマジ見る先輩3人に
「いやいや、全然いると思いますよ」
と内心早くカラオケ移動したい。と思いながら返す。すると
「よしっ!決めた!来年のサークル長。部長を君に任せる!」
先輩たちが酔っていて気づいてないだけかもしれないが
めちゃくちゃ嫌だという思いが
もしかしたら顔に出ていたかもしれない。
勘弁してくれと心の中で心のスペースいっぱいに思った。
その先輩の言葉に返事はせずに
「じゃあ僕たちはこれで失礼します」
と頭を下げてから自分たちのテーブルへ戻った。
「えらく盛り上がってたじゃん」
恐らく僕と先輩たちの盛り上がりを見ていたであろう鹿島が
戻ってきて靴を脱いですらいない僕にそう言った。
「あぁ、あれね」
鹿島に背を向けて靴を脱ぐ。
「なにしに向こう行ったの?」
靴を脱ぎ終え座敷に上がり胡座をかく。
「あぁ、それなんだけどさ」
「うん」
そう鹿島と会話をした後に鹿島だけじゃなくテーブルのみんなにも
「もう10時30分過ぎたからカラオケ移動しませんか?」
そう言った。すると妃馬さんが
「あ、もうですか」
そう言いテーブル周りなどを整理し始めた。
「あ、お姉ちゃんこれ」
そう姫冬ちゃんが壁に掛かっていたハンガーから
丈の長い薄手のカーディガンを妃馬さんに渡していた。
「あ、ありがと」
俊くんはリュックから財布を出して
自分のグラスから流れ落ち、グラスの底沿いに貯まった水をお手拭きで拭いていた。
そんな俊くんと目が合った。すると
「いくらでしたっけ?」
と聞いてきたので、僕は鹿島の左肩を軽くポンッっと叩いた。叩かれた鹿島は
「お?あぁ、えぇとね」
そう言って自分のスマホを操作し始める。
そしてなにかを見つけたのか、その見つけたものを見ながら
「1年生は500円。2年は〜いないか。でオレら3年が3500円」
そう言った。内心
1年やっす!
と思ったがこの感覚が少し懐かしかった。
その訳を思い出すのにさほど時間は掛からなかった。
僕が1年生のときに大学の至るところで様々なサークルの人がビラを配っていて
このテニスサークルのビラに書かれていた
新入生歓迎会の飲み会の参加費を見たときの感覚だった。
でも冷静に考えると1年生はアルコール飲めないし
「新入生歓迎会」と謳っているのだから1年生の参加費が安いのは必然的だった。
そんな思いの中1つ疑問があったので
「あ、ちょっと」
と言って靴を履き、先程の先輩の元へ行った。
「お!どしたん?」
僕に気づいた先輩が声をかけてくれた。
「あ、ちょっと聞きたいことがありましてぇ〜」
そして聞きたいことを聞き、また先輩方に頭を下げてみんなを待たせているテーブルに戻った。
戻るとみんなもうお店を出る準備を済ませていた。
「どったの?」
また見られていたのか鹿島が尋ねてくる。
「あぁ、別に。みんな準備できたなら行きますか」
そう言うとみんなそれぞれ返事をし、座敷から降り、靴を履き、出口へ向かった。
「すいませ〜ん」
と厨房のほうに向かい声を掛ける。すると
「はぁ〜い!」
と女性の声がし、間もなく女性の店員さんがこちらに来てくれた。
「はい!」
出口付近に着いたとき店員さんに「お会計をお願いします」と言おうとしたら
出口付近にいたことで察してくれたのか
「あぁ、お会計ですね!えぇと」
そう言ってスマホを取り出し、なにかを確認した後
「えぇとまずは1年生の方から学生証を見せていただいて
ここにお名前と学年をお書きいただきまして料金をお願いします」
そう言われて俊くんと姫冬ちゃんは財布から学生証を取り出し店員さんに見せる。
そして俊くんが名前を書き
「名前書いといていい?」
そう姫冬ちゃんに尋ねると
「え、うん!ありがと!」
笑顔でそう答え、俊くんは姫冬ちゃんの名前を書き
姫冬ちゃんは料金500円を店員さんに払っていた。
その後、俊くんも店員さんにきっちり500円を手渡した。その最中僕は妃馬さんに
「妃馬さんは支払わなくて大丈夫です」
そう告げた。すると妃馬さんは一瞬「え?」という表情を浮かべた後
「いやいや、それはさすがに。ちゃんと飲みましたし食べましたので
さすがにお支払いします」
「そう言うと思ったのでちゃんと先輩に聞いて了承を得たので」
そう言い先輩のほうのテーブルを見ると先輩と目が合ったので左手の掌を上に向け
「この方です」という風にすると僕の言いたいことが伝わったのか
「あ!いいよいいよ!払わないで!気をつけて帰ってねぇ〜!」
とこちらに届くように少し大きめの声で言ってくれた。
「ということなので」
そう言い鹿島の後に続いて僕も店員さんに学生証を見せる。
そして名前を書いている鹿島の肩を叩く。鹿島が手を止め顔だけをこちらに向ける。
「オレの名前も書いといて?鹿島の分も払っとくから」
と言うと鹿島は
「おん」
そう言うと視線を戻し再び手を動かし始めた。
「あ、すいません。7千円で2人分いいですか?」
そう店員さんに尋ねた。すると
「あ、はい!大丈夫ですよ〜。えぇ〜と。お2人とも3年生3年生っ…はいっ。
7っ千っ円ですね。はい!ちょうどです!」
そう言う店員さんに5千円札と千円札2枚、7千円を手渡す。
すると店員さんは鹿島の書き終わった名前の横にチェックをつけると
「はい!大丈夫です!ありがとうございました!」
そう言う店員さんにみんな各自に
「ありがとうございました」
と返し、お店を後にした。