TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

発達障害の弟     赤桃   少し紫

一覧ページ

「発達障害の弟     赤桃   少し紫」のメインビジュアル

発達障害の弟 赤桃 少し紫

12 - 1人でも、がんばるの。【出張】

♥

302

2025年08月03日

シェアするシェアする
報告する

ひとりでも、がんばるの。【出張】



















出張当日。



莉犬は、朝からソワソワしていた。



「さとちゃん……きょう、いないの?」



小さな声で聞いてきたのは、靴を履きながらだった。

俺はしゃがんで目線を合わせる。




「うん、今日からちょっとだけ、おしごとで遠くに行ってくるんだ。すぐ戻るからね」




「……なーくんち?」




「そう。なーくんが待っててくれるよ」




「……わかった」




少しうつむいたけど、それ以上ぐずることはなかった。







玄関から、なーくんが出迎えてくれる。

莉犬は手を繋いで、ぎゅっと強く握り返してくる。




「いってらっしゃい、さとみくん。莉犬くん、今日からよろしくね」




俺は莉犬の頭をそっとなでて、「がんばれ」とだけ言って家を後にした。



そのあと、なーくんから送られてきた写真には――



涙目になりながらも、自分の足でソファに向かって歩いていく莉犬の姿があった。







夜。


俺のスマホに、なーくんからメッセージが届いた。



「夜泣きがすごくて、今は少し落ち着いたところ」



莉犬の泣き声は、音声越しでも胸に刺さった。


息を詰めて泣く声、嗚咽、震える声――


きっと、疲れやストレスが限界だったんだと思う。




「……わかんない、なんでないてるのかわかんないの……」




そんなことを言いながら泣いていたと、なーくんが教えてくれた。


だけどそのあと、


なーくんがそっと手を握って、


「おてて、ぎゅってしようか」と声をかけたら――



莉犬は小さくうなずいて、おててのマッサージを受け入れてくれたらしい。





「……なーくんのこえ、すき」




泣き疲れたあとに、ぽつんとそう呟いたらしい。


安心したように、何度も瞬きをしながら、莉犬は少しずつ目を閉じていった。


画面越しでも、安心してるのが伝わってきた。







ひとりでも、ちゃんとソファまで行けて。


ひとりでも、遊ぶことができて。


泣いちゃっても、自分の気持ちを言葉にしようとしてくれて――


莉犬は、すごくがんばった。


「あと少しだけ、がんばれ。ちゃんと迎えに行くからな」


そうつぶやいて、俺はスマホを胸に抱きしめた。









発達障害の弟 赤桃 少し紫

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

302

コメント

6

ユーザー

初コメ失礼します!一気見させていただきました!今まで小説のノベルが好きじゃなくて見てこなかったんですけどこれは言葉遣いが好きすぎて小説のノベルも好きになりました✨これからも頑張ってください!続き待ってます!

ユーザー

コメント失礼します ここまで一気見させていただきました 親とかでもないけど、感動しました! このも涙目になっちゃいました、笑 続き楽しみに待ってます!

ユーザー

莉犬くん…頑張ったね…あと少しだけ頑張れぇ もうなんかウルッと来ちゃった…けど莉犬くんがさとみくんがいない中でも頑張ろうとしてるのがすごく伝わってきてとても感動しました! とっても素敵な作品ありがとうございました!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚