乾いた音が、辺りに響いた。
宗次郎(そうじろう)は 唖然(あぜん)として口が開いている。
透子(とおこ)は、叩かれた左頬に手を当て、顔を正面に戻して 杏葉(あずは)をにらみつけた。
背を向けている杏葉は、わからない。
ただ、ゆっくりと叩いた手を引いたのを見て、胸の前で、もう一方の手で握ったのは想像できた。
相手にだけではなく、自分のことも痛めつける行為をしたのだから。
空太(くうた)は、杏葉が自分の思っていることも、すべて伝えてくれると知っていたから、そのまま見守ることにした。
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第71話 大切だから
「なにをするんだ?」
透子の声は、まるで別人のように重く、胸を震え上がらせてくるようだった。
「それは私のセリフ。透子こそ、なにをしているの?」
「なにがだ?」
「明後日、最終オーディションなんでしょ? こ*************************
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