【音色の中】
俺とjpの関係は、悪くなかった。
カランカラン…
tt『ありがとうございました〜』
『よし、今日の仕事も終わり!』
『楽器の人も今日はお疲れ様〜』
jp『……tt』
スッ…
jp『…いつものとこね』
tt『ッ//…うん』
バーの仕事が終わると、俺はjpがいる路地へ真っ直ぐ歩いていく。そこでは特に花もない世間話やお互いの仕事の愚痴、強いて特別と言えばやはり俺にだけに吹いてくれるサックスだろう。
タッタッタッ……
tt『jp!』
jp『…(笑)お疲れ様』
ふんわりと優しく微笑む彼は、なんとも魅力的に見える。
jp『…うさ耳はつけてくんないの?』
tt『?!ッあれは焦ってて///』
jp『冗談だよ(笑)』
意地悪い顔で笑う彼の手元をみてみると、何やらいつもと違う形のサックスを手に持っていた。
tt『?…いつもの楽器とちゃうねんな』
俺は彼の隣に静かに座った。
jp『そう、ttに見てほしくてね』
どこか憂いのある瞼をゆっくりと動かし、jpは俺の近くに楽器を寄せてくれた。
jp『同じサックスなんだけど音色は全然違うんだよ』
tt『なんか長い…』
jp『そう、バリトンサックスっていうの』
jp『俺がいつも吹いてるのはテナーサックスなんだけど、こっちの方が音色に深みがあるんだ』
jp『………………聞きたい?(笑)』
tt『……ッへ//』
顔に出ていたのだろうか。不意に図星を突かれ声が出る。
tt『きッ聞きたいけど、別に無理にとは…』
カチャ…
jp『…………聞いててね』
〜〜♪
tt『…わぁ……』
低い。凄く。普段の音色も低くて綺麗だけど、更に低い、穏やかな音色で圧倒される。
…………好きだな……。やっぱり…。
話をする彼も、楽器を吹く彼も、彼のレパートリーの広い笑顔も、…全部。
tt『………好きやで』
〜♪ッ……
jp『…………へ?』
jp『……今…なんて…………』
tt『………サックス!やっぱ好きやわ!!』
tt『その楽器もええな!めっちゃ綺麗!』
jp『…………でしょ?(笑)』
あぁ…やっぱり素敵だ。
彼の笑顔は…。
サックスか………。
俺だと思ったのに……。
続く…
↑♡100