【嫉妬のメロディー】
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 カランカラン…
 俺は店に仕事に来る。
 「こんばんは、今日もよろしくです」
 jp『はい、お願いします』
 地下街に向かう階段横の、狭い道にあるしゃがれたバー。俺はそこへ音楽を奏でるため、毎日足を運ぶのだ。
 jp『…今日の立ち位置は…』
 「あぁ~……昨日と一緒で良いよ」
 jp『分かりました…』
 俺はサックス吹き。店に来る客の為に吹く音楽屋だ。否、俺は回し者。そう考えるのも嫌になってきたくらいだ。俺は音楽が好きだし、今までだってサックス一筋で金をもらってきた。この仕事が嫌とも別に思っていない。
 カランカラン…
 ほら。そうこうしている内に客は来る。
楽器を手に取り、軽く布巾で汚れを拭く。
今からは相手のターンだ。
 
 
 
 
 
 …俺は注目されない。
 jp『〜〜〜♪』
 「ー〜でしょ〜、それでー〜」
 あの人も見ない。
 「ねぇあのお兄さんカッコいいよ… 」
「え!ホントじゃん!」
あの人達もだ。
 
 皆、『俺』しか見ない…。
俺が全てを注ぎ込んだ努力の楽器も、誰も見てくれはしない。ただ…会話の中の混じる雑音としか、聞いてくれない。
 ……………嫌だな。
 でも、彼は違う。
彼だけは違うのだ。
 彼は『俺だけ』を見る。あの真っ直ぐな瞳に俺の欲しい欲求を全て輝かせてくれる。彼なんだ。彼しかいない。
jp『……………♡』
好きになる…。同仕様もなく。あの瞳に吸い込まれたい…。俺しか映っていないあの瞳に。
あんなに聞き惚れた顔をして…。狙わないがおかしいだろう。
jp『……もっと近づきたいなぁ…♡』
カチャン…
俺はわざと、リガチャーを外した。
続く…
↑♡100
コメント
6件
たこもどきさんの書き方がタイプすぎて、続きまってます🥺
あぁ………本当好きです…。どうしてこんなにも文才があるのですか…??LOVEコール送りたいです。
わざとだと・・・なかなか策士のようで・・・😚٩( ᐛ )و