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…君は桜のような人だった。また、春になれば君に会えますか…」
第零話
肌寒く冷たい風が頬を撫でる春、四月。
桜が吹雪みたいに降る正門を潜り抜け、今日僕は桐崎高校に入学した。
「新入生の皆さんは、前の掲示板に貼ってあるクラス分けを見て自分のクラスの列に並んでください」
大きな声でみんなに聞こえるようにスーツを着た先生が言う。
僕は自分のクラスを確認するために、掲示板へ向かう。
“八神瑠衣《やがみるい》…あった。僕は一組か”
周りを見渡すと、列に並んでいる人や友達と同じクラスになれたのかはしゃいでいる人など、そんな人達が沢山いた。
「自分の組がわかった人はこちらに来てください」
僕はその指示に従い、声のする方へ向かう。
そこには先輩が新入生一人一人にコサージュを付けていた。
「次は、君の番だね。」
明るく微笑みながらそう先輩は言った。
「あの、これ自分でつけちゃだめですか?」
僕は先輩に質問した。
先輩は少し固まって戸惑った顔をしながら”全然いいよ”そういってコサージュを渡した。
後ろにいた女子が友達に”先輩からの心遣いなのにね”なんて小声で話していたけど、僕はそんなことどうでも良かった。
自分でコサージュを左胸の方につけ列に並んでいるとさっきの女子が僕の後ろに並んできた。
後ろではコソコソとなにか話をしているようだった。
“居心地悪”
そう思っていると
「トイレなどは今のうちに済ましておいてください」
男の先輩が言っているのを聞き、僕は列から出てトイレのある方へと向かった。
トイレに行く途中、人気のない場所を見つけ
“少しだけなら一人になってもいいよな”
なんて思ってそこに足を踏み入れた。
「へぇー。こんな場所があるんだ。昼ご飯とかここに来よう」
なんて呟きながらあたりを見渡していると、一本の桜の木の下で倒れている人がいた。
僕はその人に駆け寄り
「大丈夫ですか?」
と聞いた。
その人は起き上がり、少し先にあるかばんを指でさし「とって」そう小さく呟いた。
僕は彼女の言った通り、かばんを取り渡した。
すると、かばんから小さい小瓶とペットボトルを取り出し、2粒手に取り、水と一緒に勢いよく飲むとそのまま倒れてしまった。
「えっ。あの、大丈夫ですか?」
いきなり倒れた彼女を見て僕は顔から血の気が引くのを感じた。
僕はすぐに彼女の顔に近づき、呼吸をしているか確認した。
「スー…スー…」
どうやら彼女は眠ってしまったようだった。
「はぁー。まったく何なんだこの人は」
僕は一気に緊張がほぐれ、尻もちをついた。
「もうそろそろ入学式がはじまります。新入生の皆さんは集合してください」
まだ戻ってきていない生徒を呼ぶためにきた先生に今起きたことを説明し、彼女のところへ連れて行った。
「君ありがとう。あとは先生に任せて君は並んできなさい」
「わかりました。じゃよろしくお願いします。あと、僕が助けったてことは秘密にしといてください。お願いします」
先生は疑問に思いつつも”わかった”と頷いてくれた。
“お礼とか言って探されても迷惑だし”
「ありがとうございます」
そう言って僕は無事入学式を終え、自分たちの教室へと向かった。
これが僕と彼女が初めて出会った日だった。