テラーノベル
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朝起きて真っ先にスマホを開き、通知のないメッセージアプリにがっかりしてまたもとに戻す。
君がマイペースなのは知っているけど、 文面が重かったのか、何か気を悪くさせたんではないか。そんな自責ばかりが積み上がっていく。もう何度同じ事を繰り返しているだろう。
君には入ってこられたくない境界が明確にあって、あまり自分の事を教えてくれない。
こっちは1から10まで全部知りたくて、その全てを好きになりたくて仕方がないっていうのに。少し踏み込むとたちまち迷惑そうにはぐらかす君を見ていると、俺は踏み込んでほしくない人間なのかなと思わされて淡いこの恋心がひどく痛む。
🤍「はぁ」
ため息をついて起き上がる、食べる気は起きないけど朝食は摂らないと。
シリアルにヨーグルトとドライフルーツ、ナッツをぼんやりしたまま盛り付け、混ぜ合わせて口に運ぶ。
彼氏、いるのかなぁ。
素敵な人だもんな、モテるしな、なんて考える。もしかしたらメンバーにいるんじゃないか、とか。
俺が一番君のことを好きな自信はあるのに。華やかな恋愛は望んでない、ただ君と2人静かに愛を育む事ができればそれでいいのに。
今日の楽屋は蛍を見に行ったというメンバーの話から、夏の風物詩の話題で盛り上がっていた。
君がふと、『花火ってなんであんなに綺麗なんだろうな』と呟く。
あぁ、花火か。いいなぁ。
君と見たい。こっそり待ち合わせして、人ごみの中をはぐれないように手を繋いで歩いて、穴場のはずの神社に続く階段にたくさん人がいて『穴場じゃなくなってる』って笑いながらどうにか場所を陣取りたい。
狭かったら君を膝に乗せて、後ろからしっかり抱きしめて、打ち上がった大きな花火に目を輝かせる君を俺はきっと花火より綺麗だと思うんだろう。
くっつきすぎてたまに我に返る君に暑いと怒られたっていいし、汗をかいたうなじにドキドキするのも良い。
🧡「しょっぴー、今年花火行こや。写真撮ったる」
💙「えー。いいけど」
妄想している間に先約を取られてしまった。
ほんの一言二言のやりとりとぶっきらぼうな返事。それなのにお互いを見るその優しくて甘い視線は、2人の関係に説明なんていらないと言わんばかりのものだった。
家に帰って、シャワーで恋心も洗い流したかったけどそれでも心にこびりついて離れない。
グループのメンバーになった時まだ子どもだった俺を、声を上げ、矢面に立って守ってくれた君のこと。
スキンシップは好きじゃないけど、甘えさせてくれる君のこと。
初めて2人で飲んだ日に、寝てしまった君にこっそりキスをしたこと。
既に相手がいて叶わない恋と知って、それでも君が好きだと思う。
あぁ、俺が君の恋人になれるなら。
せめて夢の中だけでも、君と手を繋いで好きだと伝えて抱き合えたら。
そんな事を思いながら、今日も一人眠りにつく。
あなたの恋人になりたいのです/阿部真央
コメント
6件
最初、ん?こーじが好きなの?と読み進めてきゅん。 こういうのもいいですね💙 音楽あんり知らないので、歌詞引用とかは楽しませてもらうことに専念します。
RAYSの星のうたがあんまりに良すぎて、🧡💙っていいな…ってなっている今。 歌詞引用のお話ずっとやりたかったので挑戦してみました。ちょっとそのまますぎたし解釈もずれてしまったので精進します。 書きながら、🤍にいい人が現れますようにって願ってしまいました。笑