蓮くん

渡辺は、大事なお婆ちゃんが逝き、友人のケインも逝き、弱った目黒を見るのが辛い。本人は大丈夫と言うが、時々、弱ったところを見せる。

目黒には、「しっかり食べろ」「ちゃんと寝て」と、ちょっと怒り気味に言う。が、家に帰って怖くて1人泣くのだ。

目黒ー翔太くん、前みたいに、俺の家にいて？そのために、部屋借りたでしょ？

渡辺ーん、うん。

目黒ー何度でも言うけど、俺は大丈夫。

渡辺ー分かんないじゃないか、ケインだって、3か月って言われてたのに、1か月持たなかった。

目黒ー家に帰って、何してる？

渡辺ー・・。

目黒ー泣いてるでしょ？

渡辺ーだって・・。

目黒ー今日から、仕事終わったら、家に帰って来て。

渡辺ー・・ん。

だが、渡辺は外で食べる。そして、サウナに行く。目黒が真っ直ぐ帰って来てと言う。

そしたら、ラウールを誘って帰って来る。目黒やラウールはしっかり食べる。けれど、渡辺が食べないことに気がついた。

また、悩んでいる。目黒のことで。

目黒ーちゃんと食べてる？

渡辺ー・・。

目黒ー俺に食べろって言う前に、自分がしっかり食べないと。

渡辺ーんっんっ〜んっんっ。

目黒ーラウ、ごめん、翔太くんと2人にして？

ラウーん、帰る。しょっぴーまたね。

ソファに渡辺を連れてきた。ポロポロ泣いている。向かい合って目黒の膝に乗せる。しがみついてくる。もう、食べれないのだ。

目黒ー翔太くんは、そんなに弱くないでしょ？

渡辺ー怖いんだ。

目黒ーお婆ちゃんとケインが亡くなったから？俺が弱ってるから？

渡辺ーんっんっ〜。

目黒ー翔太くん？

渡辺ー目黒は弱くない。だけど、思い出すんだ、弱ってたころを。怖かった、お婆ちゃんも熱中症にかかってたし。

目黒ー今を見なきゃ。俺は、元気になってるし。

渡辺ーんっ〜んっ。

目黒ー翔太くん・・。

渡辺ー太れなくなったじゃないか。

目黒ー俺、何も困ってないから、受け入れて？

渡辺ーが、頑張る。

コアラみたいに、目黒に抱きついている。たくさん食べるところも見た。痩せてしまったのは仕方ない。受け入れられるように頑張る。

それから、渡辺も少しずつだけど食べれるようになった。

目黒ー今日、早く帰って来て？

渡辺ー何で？

目黒ー梨花さん来てるんだ。

渡辺ー何かあった？

目黒ー俺たち2人が落ち込んでないか気になってだって。俺はいいけど、翔太くん、落ち込み半端ないから。

渡辺ー大丈夫だ。

目黒ー嘘ばっかり。頭痛するでしょ？でも、あんまり薬飲んでないね。

渡辺ー大丈夫だから。

目黒ー同じ薬を飲んでたってことが引っかかるんでしょ。

渡辺ー・・同じの飲んでる人、いっぱいいるし。

目黒ーでも、気になるんでしょ？

渡辺ー検査したし。

目黒ーじゃあ、何で薬飲まないの？

渡辺ーんっんっ〜んっんっ。

目黒ー泣かない。

渡辺ー分かんないっ・・。

寝室へ逃げて行った。ゆっくり追いかける目黒。

渡辺はシーツに潜って塊になっている。そっと撫でても顔を出さない。何故？何が？渡辺をこんなに不安にさせる？

目黒ーケインに何か言われた？

渡辺ー・・。

目黒ー何を言われた？

渡辺ー仲良くなったのに、こんなこと言って、嫌なやつって思っていい。あの薬飲んでる人、皆んな病気になればいい。自分はいなくなる。翔太も蓮を残して逝く気持ち味わうといい。

目黒ーケインが？あの薬、そんな危険じゃないよ？

渡辺ーただ、マイケルを残して逝くのが悔しいんだと思う。ポロポロ泣いていたから。

目黒ーそれでも、翔太くん・・

渡辺ーあの薬飲んでも何ともない。だけど、大事な人を残して逝く気持ち分かりたいと思った。

目黒ーそしたら？

渡辺ー怖くて、いっぱい泣いて、そしたら食べれなくなった。

目黒は、シーツごと、膝に乗せる。

笑ってる、声には出さないけど、目黒は笑ってる。

仮の話。ありえない話。怖くて泣いて食べれない。渡辺が可愛くてたまらない。シーツを剥いでいく。

泣きながらキス。

目黒ー翔太くん、凄い告白ありがと。

渡辺ーしてない。何言ってる。

目黒ーだって、俺を残して逝くの考えたら、怖くて泣いて食べれないでしょ？

渡辺ーそれは！

目黒ー残して逝くの悔しくて、薬飲まないの？

渡辺ーあの薬飲んでも何ともない。だけど、ケインみたいになったら、あんな薬何の役にも立たない。

目黒ーだから、飲まないの？

渡辺ー今、ケインの思いを体験中。

目黒ー可愛すぎる。翔太くん！

渡辺ー残すのも嫌、残されるのも嫌。

目黒ーマイケルに、ケインの話してあげて？

渡辺ーん。

目黒ー愛していい？

渡辺ーだめ・・って言ったら？

目黒ーそんなこと言わないの知ってるし。

渡辺ーじゃあ聞くな。

渡辺ーケインは幸せだった？

目黒ーきっとね。

渡辺ーんっんっ〜。

目黒ー翔太くん、幸せ？

渡辺ーんっ。

目黒ーなら泣かない。

渡辺ーいいんだ、幸せだから。

目黒ー翔太・・。

渡辺ーいっぱい愛して？

目黒ー可愛いから、言われなくても愛してあげる。

渡辺ーんっ・・はぁ・・やだ・・舐めたら。

目黒ー黙って、愛されなさい。

渡辺ーはぁ・・んっ・・欲しい・・早く・・挿れて・・。

目黒ー凄く締まるんだけど。

渡辺ー奥・・突いて・・はぁはぁ・・いい・・回して・・突いて・・。

目黒ーどこで覚えた？

渡辺ーケイン・・気持ちいいって。

目黒ーこう？

渡辺ーはぁはぁ・・痺れる・・たまんない・・突いて・・もっと。

渡辺ーだめ・・まだ・・はぁはぁ・・だめ・・んっんっ・・れん・・だめ・・でる・・でる・・。

渡辺ー置いて逝くの・・許さないから・・はぁはぁ・・もう・・だめ・・はぁはぁ・・はっ・・はっ・・。

目黒ー飛んじゃった。いつの話してる？まだまだ、2人で、グループで夢見るんだから。

愛してる、翔太。

梨花は、ケインのために、泣いて食べれないなんてだめ。マイケルは、2人の家で、静かに幸せに暮らしてる。

友達がいつも来て、ケインの話をしてる。寂しくない。だから、泣かないでねって。

渡辺は唇を噛み、泣くまいとしてる。それでも、目黒に抱きしめられるとポロリと涙をこぼすのだ。