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いつか来ると思っていた。
その日は、突然にやってくる。
それは、放課後の事だった。
奏斗が俺の家に来る日。
下校しながら他愛もない話をして、笑い合って。俺の家に向かっている時だった。
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「なぁ奏斗、ほんとにいいん…..?」
「いいって言ってんじゃん!」
「ほんとのほんとに?」
「もー!ぐずぐずしない!腹くくれ!」
「でも俺、あんま余裕無いかもしんない…」
「いいんじゃないの!ほーら!」
どうしてこうなったのか。
ベッドに座る奏斗が、こっち来いよとベッドをポンポン叩いている。
奏斗の仰せのままに、ドアの前で突っ立っていた俺は、ベッドにゆっくり近付いた。奏斗は、早くしろよと言わんばかりの顔をしている。
ここは、俺の部屋。
下校中、何がきっかけだったか、そーゆー話になって、今に至る。
正直、部屋に二人きりの時点で今すぐにでも手を出してしまいそう。
だって、こんなの夢にまで見た光景だ。
部屋で二人きり、は何度かあった。付き合う前もよく遊んでいたし。付き合ってからも変わらない頻度で遊んだ。幼い頃からの仲だから、距離感は全然変わらなかった。
そして、付き合って何ヶ月か経った今。奏斗からの急なお誘い。まさか、奏斗から誘われるなんて、思ってもみなかったけど。
ベッドに、ベターっと足を伸ばして座る奏斗の前に、正座して座る。
「ほら、脱がしてー」
手を広げ、無防備で隙のない、風楽奏斗。多分ここまで無防備な姿は、俺にしか見せない。
「俺が脱がすんかよ?!」
「当たり前でしょーがっ!醍醐味だろ!」
「知らんよそんな醍醐味!」
そう言いつつ、奏斗に近付く。
制服のシャツを丁寧に、一つ一つ外していく。
微かに震える手がたまにもたついて、かっこ悪いなと思いながら。
「緊張してんの〜?」
ニヤけた顔で、からかうように言う。
「するだろ」
そのからかいに、ふざけて返す余裕も俺には無かった。
「…..奏斗は余裕そうやな」
「…….んなわけないだろ」
「そうなん?」
「だーって、ケツ使うんだぞ?!」
「…ごめんな」
「だーかーらー!そうじゃなくて!お前は優しすぎ!確かにケツなんて使ったことないから不安だけど!もっと強引にしてくんないと!」
「そんなこと言われてもな…..。負担かけさせるのは分かってるし」
「だーっ!!!俺はもう腹くくってんの!だから誘ってんだ!もっとこう、ガッ、と来い!ガッッ、と!」
「んー、むずいなぁ」
会話をしながら、なんとかボタンを外し終える。
顔を上げ、奏斗の方を見ると、キラキラな瞳と目が合った。 そこで、頬が少し赤くなっている事に気付く。
「な、なんだよ」
「いや、奏斗顔赤くなってんなーと思って」
「ううぅうるさい!はよせい!」
あ、かわいい。
そう思うのと同時に、俺の中のスイッチが入った気がした。
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