「マジカルシークレット、俊足のローデントといえばこの私!如月千代子ー!!」
1人、別行動をとっていた千代子は、敵を勢いよく倒していた。
どうやら、ここに潜んでいた敵は全滅…千代子はさらなる敵を探すため、船内を走り回る。
と、その時電話が。
『もしもーし、そろそろ舞踏会の準備するよー!』
「あ、はーい!!」
はたしてこんなお転婆な少女が、大人しく舞踏会で過ごせるのだろうか。
「あーあ…ちょっと血に染まっちゃった…」
拷問科教官鶫も、そろそろ着替えをしようとしていた。だが、拷問中に羽織っていた白衣に血がべっとりとついてしまったため、困っていた。
「洗濯したら取れるでしょうか…?」
「頑張ればいけるんじゃないんですかー?」
「そう…?」
「みんなー!素敵なドレスたくさん持ってきたわよー!!じゃんじゃん誘惑して殺してね❤︎」
「はい…」
「水梨ちゃんとかほら、この水色のドレスとかいいんじゃない?絶対似合うわよー!!」
「そうですか…?」
「でも殺人もするから、あんまり汚れが目立たないのがいいわね…じゃあ私はこの黒と赤のー…」
「まだ舞踏会開始まで4時間近くあるんですが…」
「大丈夫よ!着替えには時間がかかるでしょう?」
「た、確かにそうかもしれませんが…」
水梨、少し困惑。
一歩普通科。電話片手にひらりは着替えをしていた。
「ヘイもしもしー?みんな準備進んでる?」
『はい、まぁ大丈夫だと思います。俺は、着替え終わりました。あと、凪野も…』
「そ、よかった。じゃあまだ時間あるし…部屋でちょっと休んでて」
『はい』
部屋で待機をしている蒼と遥人。2人は今回の任務でさらに仲が深まったらしく、友好な関係を築いている。
電話の奥から聞こえる仲の良さそうな声に、ひらりは安心する。
そっと電話を切り、身支度に集中した。
「…私あんまりこういうのは得意じゃないんだけど」
「ダメです教官ちゃんとドレスは着てください。その格好で舞踏会はさすがに駄目です」
「スティエ…お前はメイドとして参加しても違和感ないんじゃないのか?」
「駄目です。都月様から岸さんちゃんとドレス着用と言われていますので」
「じゃあ、この丈が短いの…動きやすそうだし…」
駄々をこねる教官に、スティエはすこし困っていた。
「お兄様。準備は整っております?」
「勿論だリリー。お前も、教官として恥のないよう…」
「ここまできてお小言とは…お兄様も相変わらずですわね。けれど私、もう子供じゃなくってよ」
「ほんとにか…?」
相変わらず妹のことが心配すぎる有栖院相馬は、ため息をついた。
「ねぇ蒼くん。ちょっといい?」
「え?あ…なんですか?ひらりさん」
身支度が整った蒼をひらりが引き留め、話を始め出す。
「あのさ…蒼くんは、もしこの仕事で命を落としてしまったら…そう考えたら、怖くないの?」
「えっ?」
予想外の質問に、蒼は困惑する。
「元はと言えば私が無理やり勧誘したことだし…それに、なにより蒼くんは本来こっち側にいちゃいけない人間なの。でもね、蒼くんは…いや、なんでもない」
「どうしていきなり、そんな話を…?」
「ハロウィーンにイポクリジーアが攻めてきて、隊員全員でマジカルシークレットを守る…でもね、都月さんが、これはすごく壮絶な戦いになるって言ってた。私は勿論、そんな戦いに蒼くんを巻き込みたくないと思っていて、すこし不安になって。もし蒼くんが嫌なら、今組織を抜けても、私は何も言わない…」
「…」
ひらりの真剣な表情に、蒼は一歩後ずさる。
「俺は…正直言えば、死ぬのは怖いです。死にたくないし…最初はこんな仕事、って思ってましたけど、みなさんと関わっていく中で、俺にとってこの組織が大切な存在になっていって…イポクリジーアに壊滅させられるのは嫌だし…」
「…!そっか」
「だから今は、辞めるつもりはありません」
「そっか、わかった。じゃあ、行こっか!!」
「はい!」
「いざ、舞踏会場へ!!」
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