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2025.8.24
紫目線
違う拠点で活動するようになってなかなか都合の良い日ができなくなった。
会おうと思えば会えるが今までみたいに簡単にはいかない距離。週に何度も会っていたのが月に数回に減り、会えたとしても翌日に予定があるからと泊まりもせずに別れる。
身体を交わす頻度が高かったわけではないが、性に無頓着そうだと言われるこんな俺でも、行為をすることがなくなったらそれなりに欲求は溜まるわけで。
正直に言ってソワソワしていた。
今日は久しぶりにきりやんの家に泊まる。
こうして泊まれる日がいつになるか分からないため、向こうもきっとその気だとは思うが……
「誘うって言ってもどーすんだよぉ…」
小さく吐き出したつもりでも風呂場では声が反響し、波紋を描く。
きりやんの家についてからというものの、俺が誘っているつもりでやった行動は全て躱されてしまっていた。というかスルーされている。なにか反応を見せることなく柔らかい笑顔を見せられて終わり。
「…俺に飽きた、とか…」
「こっちでいい人、みつけた…とか…」
「いやいや…そんなわけ、ない…よな。」
張られたお湯にぷくぷくと気泡を浮かべる。
そうすることでこの不安な気持ちも弾けて消える気がした。
「っはぁ……」
「……やる、か…」
意を決して湯船から出る。
用意してあったバスタオルで軽く水分を拭き取ったら、持ってきていた着替えには手を伸ばさずに干してあったTシャツを取り、袖を通した。
きりやんの方が少し高いだけでそれほど身長は変わらないはずなのに、大きめのTシャツは首元が晒され、下がギリギリ隠れるくらいの丈だった。
「いや…これは…え、まじで…?」
鏡で自身の姿を見て絶句する。
流石に下品ではないか?
微かに身体が触れるくらい近くに座ったり、身体に触れる回数を増やしたりするのはまだできた。だが、この行動は抱いてくれと言っているのと変わりない気がする。
しかし、今日の反応を振り返ればこれくらいしないと言ってきてくれないかもしれない。
滴り落ちない程度に髪を拭いて、火照った身体のままきりやんが待っているリビングへ出た。
「おー、おかえ、り…」
「…ん。」
「ねぇ、スマイル…それ俺のだけど。」
「……知ってる。」
「そっか。え、じゃあなんで尚更?」
「…わりぃかよ。」
「いや、いいんだけど……それさぁ…流石に下履いてるよね?」
「まぁ……」
Tシャツの裾を掴み、たくし上げようとした。
どっと羞恥心が湧いてくる。
裾を掴んだ手に力が入る。
いやいやいや、流石にこれは無理…
「…見せてよ。」
「っぇ…ぁ、いやっ、むり…」
「……スマイルから言ってくんなきゃ抱かないよ?」
「……は、?」
「今日一日頑張ってくれたけどさ、行動ばっかで言葉はないし。流石の俺でも言ってくんなきゃ分かんないよ?」
「ふざけんなよ…分かってるだろっ//」
「えぇ?なんのこと?w」
またあの柔らかい笑顔。
俺のことを愛しい者として見る目。
やめてくれ。
その目で見つめるな。
「ちゃんと俺のために準備してくれたんでしょ?……抱かれるの期待してた?」
ソファから立ち上がり、どんどんこちらへ近づいてくる。逃げたいのに、足が動かない。
ふわりときりやんの匂いに包まれる。
濡れた髪を弄ぶ手が耳蓋へ触れ、ざりざりとした音が鼓膜を震わせる。
「ちょっ、きりやっ…」
「んー?」
「…くすぐったいって。」
「ふーん…」
優しい手が焦らすように布一枚越しの背骨をなぞりながら落ち、腰で止まる。
そのままぐっと引き寄せられ、熱を帯びたソレを押し付けられた。
「あえ…あっ……///」
「ねぇ…スマイル、言って…?」
甘い蜂蜜みたいに蕩けた声。
情事を思い出してしまう低音。
「な、なんで勃って…///」
「全部スマイルのせいだけど?」
「っはぁ!?」
「えろいスマイルが悪い。」
「いやいやいや、そんなこと…」
「……こんなことしておいて否定するの?」
「っあ//…まって、きいやっ///」
急に臀部を掴まれ、きりやんの指が埋まる。
そのままゆっくりと動かされる度にほぐした後穴がくちりと音を立てる。
「ねぇ、なにがしたいの。」
「ぁ、あっ//」
「俺にどうされたいか教えて?」
ぎゅっと絞られた目。
鋭い視線。
余裕のない表情で見下ろされる。
脳が麻痺してゆく。
徐に開いた口から想いが溢れた。
コメント
2件
読むの遅くなってしまった……今回も今回とて口角のニタニタが止まらん最高すぎる神作ありがとうございます( ߹꒳߹ )栄養素ありがてぇよぉ……