TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

──────Hれいまり視点──────

「あのなぁ、ガンマス。そういう突然の登場やめろっていつも言ってるだろ?」


ラテさんがため息をつきながら、呆れた表情でそういう。

『いつも』ということはこれを何回かやったことがあるらしい。しょっちゅうこの国の人口は増えていってるのだろうか?とあまり関係のない思考が広がる。


「まあまあ、いいじゃないですか〜!で、なんでこんなに集まってるんです?」

「ラテさんが神を見ておどろいてるだけですよ。」

「なーんだw神を見て驚いただけw───神!?」


綺麗な流れに思わず口角が上がる。どうやらこの世界では…というよりどの世界でも神を見ることは難しいらしい。だんだん慣れてきてしまった私からすると、その反応が初々しくて面白く感じる段階へと突入した。いや、感覚が麻痺し始めたのかもしれない。


「ふわぁ…そんな驚かれても…私ただの死神ですよ?死んだ後にまたお会いできますって…。」


めめさんが欠伸をしながらそう言う。


「まだ死んでないのに会ってるからビビってるんだよ!」


ラテさんは流れるようにツッコミを入れる。そりゃ死んだ後に見る死神を生きてる時に見るのは異常か、とようやく異常性を認識する。


「?でも金色の瞳を持つ人は全員1人はついてるのでは?」

「ついてねぇよ!?」


いえもんさんの常識がないらしい発言をラテさんが咎める。その流れが聞いていてクスッと思えるような会話だ。


「ちょっと〜!S字ヘアピン!この常識知らずを何とかしろ〜!」


ガンマスさんが私に話題を振る。S字ヘアピンってどんなネームセンスやねん、とツッコミを入れたいのを隅に置き、話を合わせる。


「私も常識には疎くて…。」

「…ま、まあ。この話は一旦置いとこっか。」

「じゃあ運んどきますねー。」

「運ぶな、置いとけ。」


ラテガンマスによるボケツッコミを見ながら談笑していると、教会が目の前に見えてくる。

それを見た最初の感想はその大きさ。

私達よりも遥かに高いその壁は白色で、それでいてガラスのような美しい透明感、壁一つ一つに彫刻が掘られており、その細かな装飾は神を迎える場として適していた。入口の門ですら私の身長を20倍したかのような高さであり、人間を迎えるために必要な高さではなかった。


「…デカすぎません?」

「綺麗…。」

「最初に来る人はみんなそんな反応するんだよなぁ。やっぱりこの教会───もとより大聖堂ってすごいでしょー?」


私達2人が語彙力のない感想をいえばラテさんはまるで自身のものかのように自慢してくる。しかし、それが耳に入らないほど私はその光景に魅入っていた。


「───じゃ、謁見は両目持ちにお願いして、S字ヘアピンの人は私と一緒に買い物行きましょ〜!」

「えぇ!?ここまで来て私中に入れないんですか!?!?」


ガンマスさんが突然私の手を引っ張ってくる。思わず意見を口にする。だが、止まる気配はなく、私の手首を握る強さはますます強くなる。


「これ1人ずつじゃないと行けないので、また後できましょー!ラテさん!あとでテレパシー送るんで!よろしく!」

「ちょ!厄介事押し付けてくんなよ!!」

「じゃ!行きますよ!S字ヘアピンさん!」

「私はれいまりですよ〜!?」


ガンマスさんに連れられ私はいえもんさんと行動が別になる。









「───ここまで来れば大丈夫ですかね?」


私たちは商店街が集まる店を通り過ぎ、人通りが少ない所を2転3転曲がったところでガンマスさんが足を止めた。

買い物に行く、と言っていたのにそれとは正反対の場所に来ている。

木と木の狭間、視界が昼間にしては暗く、叫んでも誰にも届いてはくれなさそうだ。

───どういった要件で呼び出されたのか。

ガンマスさんがなんの意図があってここまでわたしを呼び寄せたのか。まだこのルートでは初めて会うはず。おそらく勘づかれたのだろう。私の金色の瞳が偽物なことを。

私はそれに対する言い訳を考える。

だが、ガンマスさんの発言は私の予想を遥かに上回ることだった。



「今回は私たち二人みたいだね。よろしく。私は今Gの258回目。あなたは?」


言葉の意味がすぐには理解できなかった。

しかし、私は分かってしまった。その言葉の意味を。


「え、あなたも繰り返してるの?」

「あ〜このパターン初めてな感じですか?別の繰り返す人と会うの。」


そう、このガンマスさんの話が正しければガンマスさんも私と同じようにハッピーエンドを求めて別世界に行って繰り返している、ということだ。

しかも、私より遥かに多い数を。

しかも、この口ぶりから見るにこのガンマスさんの他にも繰り返す人達が沢山いることになる。信じられない真実を前に私の心臓は大きく脈打つ。


「あ〜…初心者かぁ…。ま、このルートはどうせ無理だろうしさっさと捨てた方がいいよ。あ、今何回目?」

「えっと、8回目です。」

「なーるほど?だから倫理観ありそうな目してるのかw懐かしいな〜。初々しいね〜。」

「あなたは馴れ馴れしいですね。」

「あ、ごめんごめん。たしかに、私達同士は初めて会うもんね〜。いやー53、4回ぶりに繰り返す人見てさ〜なんか舞い上がっちゃいましたw」


陽気な感じを醸し出しているが、私は恐れを感じる。

258回。そんなにやってもなお、これを繰り返しているのか。そして、そんなに繰り返してなおハッピーエンドを迎えることが出来ないのか。

なら、私は何回繰り返せばハッピーエンドになるのか。疑問が耐えず脳内に溢れる。

ガンマスさんはそれを見透かすように言葉を話す。


「ああ、A〜Zまでのルートが終わると契約取り消せなくなるんですよ。だから、その後にいくらハッピーエンドになろうと終われないんですよwなんで、もう諦めてまーす。はっはっはっ!安心してください!まだ笑えてるから平気ですよ!!」

「…ッ」


私は恐怖で足をすくめる。その言葉は私にとって死刑宣告に等しかった。ハッピーエンドヲタ迎えてもタイミングによっては一生この世界から終われない。

───言われてみれば、私はハッピーエンドを迎えた後、どうなるのだろう。終わった瞬間、はたして私はそのまま幸せに暮らして寿命で死ねるのだろうか。それとも、迎えた瞬間寿命を迎えるのだろうか?───もう本当の意味で死ぬことは無いのだろうか。

曖昧な契約内容を思い出し、今、自身がどれほど危険な立場にいるのかを自覚する。

私はちらりとガンマスさんを見る。私の記憶の中にある明るいけれど、聡明で、元気なガンマスさん。それが今、狂ったように笑い、息を吐くように嘘をつく。私も、いつかそうなるのだろうか?それとも既に片足を踏み入れてしまっているのだろうか。

答えのない疑問が絶え間なく心を掻き乱し、呼吸が荒くなる。

そんな様子を見たベテランのガンマスさんはぽんと頭を撫でる。


「安心しなさいな。私達はどちらもifルート。こっちは理不尽な創造神だっただけ。私が知ってる中では実際にハッピーエンドを迎えてその世界で幸せに暮らした人たちもいる。」


それに、とガンマスさんがちらりと空を見る。私もつられて空を見上げる。

どこまでも生い茂る枝や葉によって青空は隠されてしまっている。

だが、突然空にノイズが走り、ある日見たあのスクリーンが表示される。


「今回の世界は傍観者もついているしねー。たまにアピールしてみるといいよ。この世界を始めてみる人達は驚くから、その分面白いって判断される。簡単なポイント稼ぎしやすいよ。」


ガンマスさんが【あなた】を見ながら手を振る。その表情は仮面で隠されていたが、声のトーン的に笑顔なのだろう。私も真似をして手を振る。


「たまーにでいいんだけど意味深なこと言ってあげな。そっちの方が反応いいよ。」


本当に何回も繰り返してるだけあって対応が手馴れていた。


「んーまあ、この傍観者はこっちの世界の傍観者じゃないね。れいまりがアピールした方がいいよ。」

「え、あ、はい!」


私は初めてこの業界な先輩後輩の関係があることを知った。

それと、この苦しみを味わっているのは私だけじゃないらしい。それに対してホッとした安堵感と、言葉にできない感情が蠢くのを感じた。

























ここで切ります!ここに来て3000文字!!頭おかしい!!どうしてここまで書いてしまったのか…。というより、れいまりさん編が死ぬほど長い。他のルートも書こうと思ってましたが削りに削ります!!本編の時のやつも書こうと思ってたんですけどねぇ…。

それと今回は別世界の存在を明確なものにするためにガンマスさんが登場しました!

「別世界でもここに干渉できるんですねー。」

はい、このように何回も繰り返せばあとがきに侵入できるようになるんですねぇ。

「私もこっちの世界に行きたいですよ〜!こっちのルートの読者、過激なんですもん!」

らしいです。まあ、ifルート的なガンマスさんですね。契約したのがガンマスさんだったバージョン。ガンマスさんから見たらこっちの世界がifルートであり、別世界ですけどね。

ややこしくなりましたが、頑張って理解するんだ!ファイト!

それでは!おつはる!

『ー昨日の記憶ー』

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

539

コメント

55

ユーザー

ガンマスさん…

ユーザー

…このルートのれいまりんに財布の中身全額あけていい?

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚