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華やかな都心を離れ、電車を三回乗り継ぐ。
乗客の層が少しずつ変わり、私のハイヒールは次第に浮き始める。
急行も止まらない寂れた駅に降り立ち、街灯の少ない夜道を歩くこと十五分。
たどり着いたのは、築四十年のボロアパート。
「……ただいま」
ギイ、と建付けの悪いドアを開ける。
三畳一間のワンルーム。
かつて住んでいたタワーマンションの、十分の一にも満たない広さ。
(今日のご飯は……これだけ)
バッグから取り出したのは、コンビニで買った「見切り品」のパン。
元彼に貢ぎ尽くし、私の貯金残高は今や、三桁を切ろうとしていた。
「……情けないな」
完璧な女の、これが正体。
誰にも見せられない、私の「嘘」。
せめて、この狭い部屋にいる時だけは、仮面を脱いで呼吸をしていたかった。