服を着替えて、テキトーに髪を乾かして。また編集を進めようかな、なんて考えながら部屋へと向かう。
「まちこ?」
「ニキニキ〜遅くない?」
「まちこよりは早いし。…てか、それ俺のベッドなんだけど。」
「だってニキニキの部屋ここぐらいしか綺麗なとこないし……」
「めちゃくちゃ失礼だな」
「まぁまぁ…ニキニキもおいでよ」
俺も編集残ってるんだけどな…そう思いながらもまちこの言葉に従う。
「なんできゅう…に、」
そう問おうとした所でいきなり変な感触がしたかと思ったら、まちこが覆いかぶさってきてキスをされた。
「…なんもしないって言ったよな?」
唐突な出来事に照れながらも少し挑発的に返すと、
「…ごめんね。でも…多分、最後だから」
そう悲しげな顔で言われた。
…”最後”。その言葉に思わず息を飲む。ついさっき意気込んだばかりなのに、目元がだんだんと熱くなってくる。
まちこも、分かってるんだ。きっと明るく接してただけで。
「…あはは、もう。そんな顔しないでよ。」
「……」
「っ私まで、悲しく…なってきちゃったじゃん。ねぇ、笑ってよ…ツ」
…笑って?そんなの、
(笑えるわけないだろ…馬鹿…)
ぽつ、そう頬へと落ちてきた雫の感触で気づく。
ああ、まちこが泣いてる。
そこまで認識できたものの。悲しい、恥ずかしい、いろんな感情がぐちゃぐちゃになってしまった俺の頭では慰めるような言葉なんて浮かぶはずも無く。
ただただ自分の欲望に従った言葉しか言うことができなかった。
「…まちこ。やるなら、はやくしろ、よ…」
「…うん、ありがと」
あまりにも美しすぎた思い出も、いつかは終わってしまうのだろうか。
…まだ、終わらないでほしい。そんな感情にリンクするかのようにまちこはもう一度唇へキスを落とした。
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