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『パラレル』― One Way ―

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『パラレル』― One Way ―

6 - 第6話 14 ◇   15 ◇    16 ◇

2024年12月07日

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出演していた妻たちは大人しくて控えめで健気に見えた。

何年も誘ってはこない夫を身奇麗にして待ち続けていた。


そこから見えるモノ。


恐らく家庭でのいろいろなことに気配りし振り向いてもらう為に

頑張っているのだろうことが伺い知れた。


それを見ていた頃は、まさか我が身にそんなことが降りかかろうとは

露ほども思ってなくて。



見ていてやりきれなくなったのを覚えている。



そんなヤツ旦那身奇麗にして待つ必要なし。


捨ててやれっ……なんて思いながら見てたったけ。


同じ身の上になってしまったけれど、……考えは変わらない。



そんなやばいヤツ旦那……以下同文。 フフン!

もう捨てていい物件だよなぁ~! はぁ~!




それにしても時代は変わりつつあるなぁ~と実感したことがある。


臆することなく相手のレスを理由に離婚した女優がいる。

あっぱれだね。


勇者だよ。

普通なかなか言えないと思う。

だからそう思うのだ。



その女優は今は再婚して幸せそうだ。



待つということも大事かもしれないけれど、決別する勇気も

大事なんじゃないかなぁ。


この女優の件で、美人でグラマラスなNice Bodyを持つ女性を

妻にしてもレスする男はいるっていうことに気がついた。



えっ?

不思議よ。


Nice Bodyなのよ、なのに何でなの?

もちろん、女優やってるくらいだからお顔だって美人さんだ。



かと思えば、100kg以上の体重があって病気のリスクが

あるからとバキュームで脂肪を取り出した女性がいたのだけれど

脂肪を吸引した後の、お腹の伸びきった皮膚は元に戻らず、下に

垂れ下がり酷い身体になっていて。



だけどその後愛する夫との間に子供ができた。

妊娠して出産したのだ。



詳しくまでは語るまい。

だがいわずもがなだ。


びっくりだわ、まったくぅ。

いろいろ考えるとレスの根は深いと感じる。






子持ちの女性は特につらいよね。

やっぱり欲だけの為に割り切ってと、誰とでも行為は出来ないもの。



死ぬほど好きな相手ならともかく、普通は婚姻関係のない男性ひととの行為には、なかなか踏み切れないと思う。



リスクもあるだろうし。

悪い人間は世の中星の数ほどいるから。



しかし、こんなに若くして自分がレスられる身になろうとは

結婚生活灰色どころか、真っ黒だよ。



私の両親は少なくとも私が20代で実家にいた頃は確実に夫婦生活が

あったと思う。


両親は1階で寝てて、私の部屋は2階にあった。


深夜まで起きてて受験勉強してた折に、夜食を作る為に階下に

降りることがあって……

たまたまの偶然が何度か重なり、それと思われる場面に

遭遇したことがあったから。


夫婦とは、そういうものっていう刷り込みがわたしの中で

出来上がっていた。


だから、よもや夢にも若くしてレスの生活に突入するなんて……

そんな男性が存在することすら、最近まで想像だにしなかった。


15-2



急いで彼らは両親いつも布団に潜り込んで寝た振りしてた。


私の足音でなんとか間に合ってたみたいで、お陰さまで?

直截的なシーンには出くわさず済んだ。


両親とのことは狭い日本の住宅事情と私の察する能力のなさが

招いたことで、まぁ、後から考えたらっていう話なんだけど。


流石に思い至ってからは、喉が渇いても深夜に台所へ行くことは

しなくなったっていうか、出来なくなった。


流石に真っ裸で……っていうシーンを見たくはなかったので。



そういう昼も夜も仲の良い両親を見て育ち、夫婦っていうのは

そういうものって思ってきていたから、夫の言動と本心を知った時の

私のShockは大きかった。



◇ ◇ ◇ ◇



夫には冬が来る前に


『正月は無理して帰って来なくていいよ』と連絡をした。



そして今回だけじゃなくて毎年、盆と正月は気にしなくていいよとも。


折角思い切り仕事をする為に単身で行ったのだから、仕事に

邁進してくださいと。



夫婦生活もない枯れた夫婦が半年に1度心ここにあらずで

単に顔を合わせたとて何になろう、そういう思いがあったから。



案の定、夫は


『そう? 申し訳ないね』……と返してきた。






嬉々として張り切って新しい仕事に目を輝かせて我が家を旅立って

行った夫を見送った私は、その後一度も夫の赴任先には行かなかった。



心が離れつつあった中での遠距離の生活に、離れているからという

寂しさはなかった。



私にあったのは、夫の放った言葉を知らず素直に夫を愛してた頃の自分に

戻れないという、別の寂しさがあった。



言ってはならないことを吐露した本人はもうすでにいつ誰に

その言葉を言ったのかさえ、おぼろげにしか思い出せないみたいで

大したこととも捉えてないのだろう。



私が返した言葉に対するあの時の夫の様子でそんなことが垣間見えた。

その言葉が私の心臓を一突きにしたことなど、永遠に理解できまい。



◇ ◇ ◇ ◇



夫が単身赴任に向けていろいろと準備していた頃、消印の押されていない……

そうあきらかに直に我が家のポストへ投函されたとわかる手紙が

1通届けられた。



宛名は大倉由宇子様。

私宛だった。


16-2


以前夫の勤め先の女子社員水谷あかねから話しとして馬場真莉愛のこと

を聞いていたので私は思うほど動揺せずに済んだ。


どうも水谷さんから聞かされていた話とは別件のようだったけれど

相手は同じ女だろうと思われた。


夫との展開がほぼほぼ水谷さんから聞いた時のものと同じようなもの

だったので他の女性は考えられない。


あんなやこんな、信じられない行動に出る人間が2人もいたとしたら

世も末だ。



これから単身赴任に行く男とのことを、その妻にわざわざ知らせてくる

なんてオツムが軽くて性格の悪い女なのだと思った。


ヤレヤレだ。


女がこんなことがあった……

あんなことがあった……と


夫との間に起きたことをつまびらかに書きなぐってあった。


だから何? そう女に聞いてみたかった。



私たち夫婦を揉めさせて別れさすのが目的でしかないような手紙の内容だ。


まぁ折角貰った手紙だ、夫を問い詰めてあげるわン。

私はご期待通り夫にどういうことなのか? と問い詰めた。



女が女なら、のらりくらり相手している夫も夫だった。


笑いながら愉快そうに『何もないに決まってるだろ』で

説明という名の言い訳が終わった。


はぁ~?

取りあえず言いたいことは全部言った。


夫に反省の色は……全く見られなかった。

ヤレヤレだ。


心の中では予め決意していたものの……

馬場真莉愛からのくだらない

手紙のことなどもあったりもしたものの……


この時点ではまだ別れを躊躇する気持ちが私の中には

あったのだと思う。


『パラレル』― One Way ―

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