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ごめん、、でも、こうするしかない。あの日々をまた、手に入れる為にこうするしかないんだ。
大丈夫、俺もすぐそっちに行く。
だから、今は我慢してくれ
『脱落者が発生しました。現在の参加者残り3名』
『脱落者が発生しました。現在の参加者残り2名』
『脱落者が発生しました。現在の参加者残り1名』
『脱落者が発生しました。現在の参加者残り0名』
頭が痛い。起き上がり、周りを見ると辺りはコンクリートで俺は床に寝かされていた。ここだけでどうなっているのか分からないが、更に分からないことがある。足首に鎖が巻き付けられている。
これは、監禁というものだろうか。まさかこんな歳になって監禁なんてされるとは思わなかった。
ガンッガンッ『●●●●●!!!!!』
目の前の扉に誰かが体当たりをしている。声が聞こえるが頭が何故か曇ってて男か女すら分からない。聞き覚えのある声な気がする。果たして体当たりしている彼?彼女?は犯人だろうか?いや、、違うか。犯人ならばさっさと鍵を開けて入ってくるだろう
立ち上がり扉に近づくが、ギリギリのところで鎖が張り、ドアノブに手が届かない。
仕方ないので声をかける。
「誰かいるのか?」
『!?●●●●●!!』
また曇る。こちらの声が聞こえてるのか知らないが驚いていた気もする。知ってる、、知ってるはずなんだ誰だ、、
ピッ
『被験者の起床を確認しました。仕掛けを作動します。研究者は直ちに避難してください。』機械的な女性の声がしたかと思えば上から轟音が聞こえる。咄嗟に上を見上げると、ゲームでしか見たことの無い巨大な丸鋸が徐々に下がってくる。それに加えて雨粒なんて生易しいものではなく水が大量に降り注いでいる。水があちら側に行かないように壁が床から出現し、水が溜まり始めた。
咄嗟に理解してしまった。理解したくもないがしてしまったのだ。こういうことだけばゲームで大量にやってきたのだから仕方ないだろう。これは、、俺を殺す機械だ。このままでは下がってきた丸鋸に原型が無くなるまですり潰されてしまうか水による溺死だ。
「くそ!どうする、、」
天井から迫る丸鋸は、一定の速度で、感情も迷いもなく下がってくる。
水が髪を濡らし、頬に伝う
耳を裂くような回転音が、雨音が思考を削っていく。
鎖を引っ張る。
無駄だ。床に固定されている感触がはっきり伝わってくる。
……いや、待て。
俺はゲーム実況者だ。
何度も“こういう状況”を見てきた。
そして、こういう装置には――必ず何かある。
視線を走らせる。水で視界が悪いが壁、床、扉。コンクリート一色の中で、不自然なものを探す。
「……あった」
扉の横、顔の高さ。
壁に埋め込まれた小さなパネル。明らかに何桁かの数字を入力するものだろう。表示は消えているが、きっと起動するだろう。ふぅ、、落ち着け、、俺ならできる。
深呼吸を一つ。
肺に空気を入れるだけで、少しだけ思考が整う。
丸鋸は、もう頭一つ分ほど上だ。
既に水も胸の高さまで来ている。このままでは浮いてしまい、丸鋸に一直線に進んでしまう。
このまま何もしなければ、確実に終わる。
「……起動条件があるはずだ」
パネルに触れる。
指先が触れた瞬間、ピッという軽い電子音とともに画面が点灯した。
【入力待機中】
【制限時間:60】
数字が、赤く点滅している。
「60秒……」
短い。
だが、ゼロではない。
扉の向こうから、また鈍い音がした。
ガンッ、ガンッ。
『……ガッチさん!!ねぇ!いるんでしょ!』
今度は、はっきり聞こえた。
曇ってはいるが、声質で分かる。
……知っている声だ。
「……キヨ?」
一瞬、音が止まる。
『やっぱり!ねぇ!なんでここにいるの!?』
やっぱり、か、、キヨは俺のことを認識してた。なんで俺は分からなかった?
いや、それを考えるのは後にしよう。今は生き残ることが優先だ
状況は最悪だが、独りじゃないと分かっただけで、心臓の音が少し落ち着く。
「説明は後だ!今、俺の部屋に丸鋸が降りてきてる!水ももう肩まである!」
『はぁ!?ちょ、待て待て待て!?』
その焦った声と同時に、パネルの表示が変わった。
【外部音声を検知】
……来た。
「キヨ、そっちの扉に何か付いてないか!数字とか、記号とか!」
『え、あ、ある!タッチパネルっぽいやつ!
数字が……バラバラに表示されてる!』
バラバラ。
つまり、順番が必要だ。そんなことを話してるうちに丸鋸が、また数センチ下がる。首筋に、冷たい空気を感じる。
「いい?落ち着いて聞いて。
表示されてる数字、全部読んでくれる?」
『ぇ、う、うん……
3、7、1、……で、横に変な記号が……』
早くしなければ水がこの電気版を水没させてしまうだろう
記号。
俺の画面にも、同じ記号が薄く浮かび上がっている。
……パズルだ。
完全に、“見せ物”として作られた。
なんでこんな目に。ダメだ、手の震えが止まらない、冷静に落ち着いてミスをしたら死ぬ。落ち着け落ち着け。大丈夫。俺ならできる
「キヨ、その記号、形を言葉で説明できるか?」
『えっと……三角に線が一本、丸が二つ……』
一致する。
間違いない。
残り時間、38秒。その秒数を見るだけで吐き気がする。
「いいか、俺が言う順番で入力してくれ。
間違えたら……多分、アウトだ」
『っ……分かった』
キヨの声が、真剣になる。
いつもの軽口が消えた声だ。
俺は、これまで解いてきた無数のゲームの記憶を引きずり出す。
罠、協力、制限時間、選択。
「最初は“1”だ。次に“3”、その次が――」
指が震える。
残り時間、12秒。
『……入れた!』
一拍遅れて、ガコンという重い音が響いた。
丸鋸の動きが、止まる。
そして、ゆっくりと天井へ引き上げられていく。
水が凄い勢いで床に吸い込まれていく。そして、ほんの少し濡れている床になる。あれだけ焦ったのに元に戻るのは早いものだ
膝の力が抜け、その場に座り込んだ。
「……助かった」
だが、安堵は長く続かない。また次の絶望が襲いかかる。
『ゲームの参加者が決まりました。只今の人数16人。次の会場に集合してください。制限時間は20分です。』
スピーカーの声が消えたあと、部屋には不気味な静寂が落ちた。
さっきまで耳を支配していた回転音が嘘みたいに、何も聞こえない。聞こえるのは
……16人?
「参加者……?」
思わず呟く。
背中に、じわりと嫌な汗がにじんだ。
その直後、ガチャンという金属音。
足首に食い込んでいた鎖が、突然ゆるんだ。
「……っ!」
反射的に足を引く。
完全に外れた鎖が、床に重たい音を立てて落ちた。
同時に、目の前の扉がゆっくりと開く。
外は、同じようなコンクリートの通路。
白い非常灯が、一定間隔で点滅している。
「ガッチさん!!」
駆け寄ってきた影が、俺の腕を掴んだ。
息が荒い。目がやたらと大きく見開かれている。
「……キヨ」
画面越しじゃない、現実のキヨ。
こんな状況なのに、それだけで少しだけ現実感が戻ってくる。
「大丈夫!?怪我は!?さっきの音、マジでヤバかったんだけど!」
「……生きてる。今のところはな」
自分の声が、思ったより落ち着いていて驚いた。
さっきまで死を目前にしていたはずなのに、人間って不思議だ。
キヨは一瞬、安堵したように息を吐き、すぐに周囲を見回した。
「“次の会場”って言ってたよね……絶対ロクなことじゃない」
「ああ。しかも参加者16人だ」
キヨの動きが止まる。
「……俺たち以外にも、そんなに?」
「だろうな」
疲れた。身体的なものは勿論のこと精神的にも疲れた。何故こんな目に合うのだろう、、
「ガッチさん立てる?早くあの会場って場所に行かないと」
1呼吸置き、覚悟を決めて言う。何がなんでも生きてこの地獄から抜け出さなければ
「そうだね、行こう」