テラーノベル
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「ガッチさん、どっちだと思う?」「うーん、こっちじゃない?こっちに足跡あるし」
コンクリートの床を俺とキヨが歩く。先程あったことが脳裏に焼き付いてフラッシュバックしそうになる。後、何分までに着かないといけないのか分からないが、急がないといけない。
「ねぇ、、もしかしたらさ」
俺の後ろを歩いていたキヨが口を開いた
「なに?」
「レトさんたちもいたりする?」
「、、、」
もしかしたらとは思ってた、でも思い違いだと思いたかった。だって、キヨがいることにも最悪だったのにうっしー達もいるとなるともっと最悪だ。
「わかってる。確信なんてないってことは、でも、レトさん達もこんな目にあってるなんて考えたら怖くて、」
「俺も、怖い。でも向こうもきっと怖いから、俺たちが行って元気付けしないと」
それを言ったらキヨはほんの少し緊張が解れたように見えた。良かった。キヨは大人だと言っても寂しがり屋だし、最年少だからね。俺が守らないと
暫く歩いたら扉が見えた。警戒をしながら扉を開けるとそこにはレトさんとうっしーがいた。レトさんは服はびしょ濡れだし、うっしーは目元が赤い。
「キヨくん!ガッチさん!!」
「レトさん!良かった…」
「ガッチさん、キヨ。無事なようでよかった…」
「レトさんもあれが?」
「うん、、急に丸鋸と水が」
「外には俺がいて、俺何も出来なかった…手伝うこともできなかったよ」
暫く話していると誰かに話しかけられた。振り返り、見ると三十代中半の男性が俺らをじっくり見ていた。
『アンタらは知り合いか?親しそうに話してたが』
低い声だった。壁にもたれていた男がこちらを見ている。腕を組み、周囲を警戒するような目つきだ。
「はい、まあ……仲間です」 俺が代表して答える。キヨ達はコミュ障だし、あんなことがあったあとだから信用してない人には怖いだろう。
『なるほどな。だったら話は早い。ここ、どう見ても普通の建物じゃない。さっきから変な音もしてる。協力できるならしたい』
その言葉に、うっしーが小さく頷いた。
「俺も賛成。単独行動は危ない気がする」
あ、そんなこともないみたいだ。信用はしないけど大人な対応はするのか。流石はうっしーイケてる。まぁ、そんなことはどうでもいいか
部屋を見渡すと、他にも数十人ほど人がいる。皆、濡れていたり、服が汚れていたり、顔色が悪い。突然ここへ連れてこられたのは間違いなさそうだった。
その時。
ブツン、と天井のスピーカーが鳴った。
全員の肩が同時に跳ねる。
『――参加者の皆様、合流おめでとうございます。突然ですが残念なお知らせがあります。時間内に到達できなかった脱落者がいます。残りの参加者は14名です。』
無機質な音声。男女の区別もつかない加工された声だ。
レトルトが顔をしかめる。 「うわ、絶対ロクなやつじゃない」
『早速ですが次のエリアに進んでいただきます。次のエリアへ進むには、四人一組で行動してください。扉は三分後に施錠されます』
「三分!?」キヨが声を上げた。
部屋の奥を見ると、今まで閉じていたはずの鉄扉のランプが緑に変わっている。
『なお、人数が足りないチームは通過できませんのでお気をつけて』
ざわっと空気が揺れた。
どうすんだ。等と動揺する声が聞こえる
「分断させたいってことかよ……」うっしーが吐き捨てるように言う。
「俺たちは四人で行こう。他の人も、できるだけ固まって」
「でも、その先にまた同じ様なことが起きるかも……ここにいた方が安全じゃない?」レトさんが不安そうに言う。
「レトさんってこんな感じのゲームやったことない?残った方が脱落者側になるかも、、」 キヨが珍しく真面目な声で言った。 「それにさ、四人一緒ならまだマシ」
その言葉に、三人とも少しだけ笑った。「確かに」「言えてる」「分かる」
残り時間を示すように、スピーカーから電子音が鳴り始める。
ピッ、ピッ、ピッ――
「急ごう」 俺がが先頭に立つ。何かあっても俺だけで済む
扉の前に並んだ瞬間、床に光る表示が浮かび上がった。
【認証:4名】
「ほんとに人数チェックあるんだな……」うっしーが苦笑する。
レトさんが小声で言う。「ねえ、誰も離れないでね」
キヨが即答した。 「当たり前じゃん」ツンデレの彼にしては珍しい気がする。
重い音を立てて、扉がゆっくりと開き始めた――。
『おめでとうございます。次のエリアへお進み下さい』
めでたく無い言葉だが一安心するべきだろうか。
部屋で待っていると次々と4人組が入ってくる。気まづそうにしている人もいればオドオドしている人もいる。
『終了です。脱落者が発生しました。参加者は残り12名です』
ザワザワする。そして、残りの参加者とやらは最後に入ってきた4人組を批難し始めた。それに耐えかねた1人が言い返す
『テメェらも同じだろうが!さっさと組みやがって、残ったヤツらはどうでもいいのか?自分さえ無事だったらいいって思ってんだろ!』
何も言えなかった。キヨたちが無事だったらどうでもよかった。俺は最年長だから守る義務があった、その為なら何でもした。でも自分さえという訳では無い
『次のエリアに進んでください。その為には代償が必要です。代償は進む者が遅いほど重くなります。』
話が終わると1人が重い口を開いた
『1番早く行けば代償が髪の毛1本レベルってことか…』
『じゃあ俺が1番先に行く!!』『は!?私が先よ!』
その代償ってものが何かわからないからか我先にと扉に近寄ろうとする。
人を振り切りドアノブを握った若い女性が突然ブルブルと震え始め、やがて倒れ込んだ。体の穴という穴から血が吹き出し、肌から湯気が立っていた。
悲鳴が一斉に上がった。
『脱落者が発生しました。参加者は残り11人です』
倒れた女性のそばにいた人たちが後ずさる。誰も触れられない。異常なのは一目で分かった。まるで見えない力に弾かれたように、その場に崩れ落ちて動かない。誰かが泣き叫ぶ、冗談じゃないと誰かが叫ぶ。
代償とはこういうことか、誰かが実験台として先頭を歩く、、先程まで我先にと進んでいた者は既に進みたがらなくなってしまった。当たり前だろう、目の前で亡くなったのだから、次は自分とは言いたくはないだろう。
キヨが息を呑む音が聞こえた。
「……今の、ドア触っただけだよな」
『何がどうなってんだよ!』『これじゃ進めない!』
『時間制限とかねぇよな…』
もう、何が何だか分からない。このままでは時間制限があった場合この場で全員亡くなるだろう。ならば危険を覚悟で扉に近寄りドアノブを確認するしかない。
ゆっくり近寄る。足が重い、怖い、だけど誰かがやらなければいけない。
「ガッチさん!危ないよ!」
「もう、、」
彼らの為ならばなんだってする、何故ならば彼らは生きて実況を、笑顔を届けないといけないから
『こいつがやりたくてやってんだろ、俺は知らねぇ』
男が顔を伏せて言う。彼も怖いのだろう、目の前で1人の女性が亡くなったのだから
ドアノブの下の部分を確認すると電気部品が着いているのを見つけた。これのせいで彼女は感電してしまったんだろう。恐らくだがこれを直接触らなくてもドアノブは鉄だから感電してしまう。しかしこれを取れば恐らくだが先に進めるだろう。自信はないが…
「キヨ、レトさん、うっしー来て」
「え、?」
「わかった」
「大丈夫なんだよね?」
『おい、なんでこいつらは呼んで他の奴らは呼ばねぇんだよ』
やはりと言うべきか反感を買ってしまった。
「申し訳ないけど、同じ状況だとしても君たちは信用出来ない」
『はぁ?!ッざけんな!てめーらが先に行ったとしたら俺たちが先に行った頃には代償がデカくなるだろ!』
「君が言いたいことは分かる、だけどこっちに来たとしてあなたは安全だと思う?もしこれも罠だったら?犠牲はこの4人のみで済むでしょ。こっちも代償がある」
『、、クソ、わーったよさっさと確認しやがれ』
ガッチマンは短く息を吐いた。
「ありがと。すぐ終わらせる」
みんなが集まり、ドアノブを覗く。
キヨが顔をしかめる。やっぱりヤバそうだ
「触ったらダメなやつ?」
「そのままはダメ。でも仕組みは単純そうで良かった」
レトルトが不安そうに周囲を見る。
「時間の話してたよね。まだ大丈夫かな」
そのタイミングで、スピーカーが鳴った。
【代償レベル:上昇中】
全員がびくっとする。
うっしーが舌打ちした。
「急かしてくるな……!」
時間制限はあるようだ
周りを確認すると足元の壁にパネルを見つける。
恐らくだが電流をそこから送っているのだろう。試しに片足を近づける。
耳を済ませるとピッと音が鳴る。先程は声が沢山あったので聞こえなかったのだろう
「連動してるみたいだね。でもノブ側だけ一時的に無効化すればいけるはず」
「できるの?」キヨが聞く。
「やるしかないでしょ」と苦笑いをする。
レトさんはポケットから小さな金属クリップを取り出し、俺に渡す
「これ、返してよ?」俺は生きてたらねと小さく返す
レトさんは暗い顔をする。しかし失敗したら死ぬのだから仕方ない、保証ができないのなら約束はしない。悲しませるだけだから
「さらっと言ってるけど、やってること器用すぎるだろ」うっしーがいつもののように言う。
「実況者は機材トラブル慣れてるからね」
一瞬だけ空気がゆるんだ。
背後から別の参加者が叫ぶ。
『まだかよ!さっさとしろ!』
うっしーが振り返らずにイラついたように言った。
「今やってるだろ。見てるだけなんだから黙ってろ!」
怒鳴られた人は苦虫を噛み潰したように目を逸らした。俺はユニットの端子にクリップを当て、角度を調整する。点滅ランプが赤から橙に変わった。
「よし……ノブの通電が弱まった」
「“弱まった”って言い方やめて!?」キヨが不安がる
「ゼロじゃないん?」レトルトも乗る。
「だから順番にいく。俺が先に触る。異常なかったら回す。止めても無駄だからね」
「…俺が1番先に行くよ?」うっしーが静かに言う。
俺はは苦笑した。犠牲になるのは俺だけでいい
ゆっくりとドアノブに手を伸ばす。
一瞬、空気が張り詰める。
触れる。
……何も起きない。
「ふぅ、、」
俺は急ぎ、全員を先にお仕込み最後に入る。
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