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樋口さんが長い黒髪を揺らし、班の席に戻ってきた。
その手にはプリントを人数分持っていた。
楓「これ、私たちの班がお世話になるお家の方たちの資料です」
樋口さんはみんなにプリントを配ると 席に座り、再び口を開いた。
楓「みなさんプリントをご覧ください。私たちがお世話になるのは、伊藤さんという方です。この間も伝えましたが、ぶどう園を営んでいらっしゃいます。」
そこには伊藤さんと思われる人物、電話番号や住所、ぶどう園での作業の様子、ぶどうの紹介などが記されていた。
みんなでプリントに目を落として確認する。
涼風くんは寝てるけど。
へー。伊藤さん…か。
…ぶどう、食べられたりするのかな。
雪「ぶどう食べれんのかな!?」
は「おや奇遇だね私もそう思っていた」
夕「ぜひ食べてみたいね」
蒼「時期じゃねえだろ」
楓「ですね」
蒼氏の鋭いツッコミが炸裂する。
確かにそうだわ、うん。
みんなで雑談をしていると、1限目の終わる鐘が鳴った。
先「んじゃ、今から緑風館なー。しおり持ってけよー」
先生の言葉を合図に、班を作っていた机を崩し、元に戻す。
楓「では皆さん、私はお手洗いに寄るので、先に行っててください」
樋口さんが私たちに声をかける。
わー、雪くん。顔、顔。お前なんて待ってねーよって出てますよ、心の声が顔に。
そんな雪くんに気付いてか、夕海が自分に注意を引くように樋口さんに話しかける。
夕「わかったよ、楓ちゃん。先行ってるね。はるちゃん、いこ」
ぞろぞろとクラスメイトが教室から出て行っている。
雪くんと蒼くん、それに涼風くんは3人で行った。
私たちも行こう。
夕海と一緒に緑風館へ向かった。