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きました神作……もちもちさんのファンタジックな感じめっちゃ好きです!!!
薔薇ではないですがボディタッチの多い話です。
あまりに長いので前中後編に分けます。
余談なんですが、最近は気持ちよすぎて息できてないシチュエーションが大好きです。同志の方いませんか…
⚠幼児化、特殊設定、この世に存在しない薬品(実際の団体や商品などとは関係ないやつ)⚠
それでは本編どうぞ
「…ねぇ君……大丈夫?」
「…ぅ…?」
ある日、一人の子どもを拾った。
茶髪の、きれいな2つの快晴の瞳を持った男の子。
あまりにも弱っていそうだったから、拾ってきてしまった。でもまぁ…俺のとこ、子どもいっぱいいるしな、
まぁ、たぶん怒られないだろ。
「ただいまー」
「きぃや!おかえぃー!!!」
「お、シャークんだ、今日は調子いいのか?」
「げんき!!!」
「そか、それはよかった」
家に戻れば、よたよた、とかけてくる小さな体。
まだ、怪我が完治していないが今日はどこも痛くないし、精神面も調子がいいようだ。
腕に抱えた少年は怯えているのか、俺にぎゅぅ、とくっついて、離なさそうだ。
しっかり抱き直すと震えていた体が少し落ち着いたような気がした。
「あー、もう……しゃけ!走り回っちゃだめって言ったでしょ?」
「ぅーー!」
「はぁ、まったく……おかえりきりやん」
「ただいま、きんときも大変だね、シャークん最近やんちゃだし」
「まぁね、…その子は、」
と、俺が抱えている少年を指す。
「この子?それが帰り道の路地でかなり弱ってて、拾ってきた」
「へぇ、目立った怪我は今のところなさそうだけど………」
「うん、栄養失調とか脱水症状とかだと思う。まだ服もキレイな方だから、結構最近なんじゃないかな」
捨てられたの。
その6文字だけは声に出さなかった。
この子が、もしも自分の置かれた状況を理解していたのだとしたら、俺たちの言葉が分かるのだとしたら、きっと怯えてしまうから。
少し雑談している間に、少年は眠ってしまっているようで、幼い寝顔が、とてもかわいい。
とりあえず、今はこの子を救うことを最優先にしよう。
じゃあ、行こう、とシャークんを抱えたきんときの後ろについていき、医務室へ向かう。
中では、既にスマイルが待機していて、ベッドとかの必要なものまでしっかり揃っていた。
「準備ありがとスマイル」
「ああ、任せろ、あときりやん、おかえり」
「ん、ただいま、あれ?Broooockは?」
「寝てる」
「あぁ、」
準備を済ませてくれていたスマイルにお礼を告げ、俺は抱えていた少年をそーっとベッドに寝かす。
今は特に異常はなさそうだ。
「処置するから一旦出てて、すぐ終わらせてすぐ呼ぶから心配しないで」
と、俺たちを医務室の外へ追い出す。
でもほんの十数分した頃、扉の隙間から顔を出して、手招きをする。
スマイルに目をやると、行ってやれ、とでも言わんばかりの目で見られたので、そのまま医務室へ入った。
真っ白なベッドの上には、点滴に繋がれた少年が眠っていて、拾ってきた時よりも格段に顔色が良く、安心したような顔をしていた。
もともと着ていた服から、動きやすく、処置しやすい入院着に変わっていた。枕元には申し訳程度のペンギンのぬいぐるみがポツン、と置かれていた。たぶんぬいぐるみの蒐集癖のあるきんときのストックだろうな、子どもが来るといつもベッドの横に一匹だけペンギンのぬいぐるみをおいていくんだよな。
「この子、そんなに怪我なかったよ、3日くらい安静にしてたら良くなると思う。」
「わかった、ありがとう」
「部屋余ってたっけ?」
「Broooockもシャークんも部屋足りなかったののあの子の部屋があるわけ、」
「それもそうだねw」
くすくすとわらうきんときを見て、いつもよりもふわふわとした柔らかい空気を感じて、やっぱり新しい子が来るって言うのは嬉しいんだなと思った。
ふと、後ろでドアが開く音がする
引き戸を開けたのはスマイルで、開けたドアを押さえたまま、後ろを見ている。
すると、とたとた、とシャークんが医務室に入ってくる。
「きとき!」
「ん、しゃけぇ〜!」
きんときは、駆け寄ってくるシャークんをしゃがんで受け止め、そのまま抱えあげ、ぽーんと高い高いをする。
そこそこ危ないような気もするが、シャークんが楽しそうだからいいとしよう。
そんな2人のじゃれ合いを見ているともう一度ドアが開き、Broooockを抱えたスマイルも来た。
「あ、もうそんな時間か」
そう呟くきんときを見て俺も時計に目を向けると時計の長針は4を指していて、毎日ある子供たちの検査の時間だった。
きんときは、バタバタと裏に回り、空の注射器を2本手にとって戻ってきた。
今日は週一の採血の日だったか。
きんときの手にある空の注射器を見た途端、シャークんの顔が青ざめた。痛いことされるってわかってるみたいだ。
一方のBroooockはまだスマイルに抱えられ、眠そうに目を擦っている。なんなら二度寝した。
「しゃけ、こっちおいで」
「っ…や……!」
「や、かぁ〜…」
「じゃ、ぶるーく先にやるか」
「そうだね、眠そうなうちにやっちゃおう。」
と、嫌がったシャークんよりも先にまだ注射器を認識していないBroooockの採血をするようで、Broooockがぐずり始める前にスマイルがサッと袖をまくり、暴れないように押さえ、さっさと採血を終わらせた。
「よし、終わり!」
「……ふぇ…」
「よしよし、怖かったな」
「Broooock〜、大丈夫だよ〜」
泣き叫んで、暴れることはなかったが、今にも泣きそうな顔をしているBroooockをいい大人が2人してあやしているのはなかなかシュールで面白い。ちなみにシャークんは俺の黒衣の中に隠れた。
怖がりだからなぁ、
「しゃけ、おいで、こわくないよ」
「ほん、と……?」
きんとき自身もいつも採血が終わったあと、本当はさっさと終わらせてあげたいって愚痴ってるから、さっさとやって遊ばせてあげたいんだろうけど、こうも怖がりだとね~…
きんときは、視界に映る場所から注射器を隠し、シャークんを手招く。
まんまときんときの元まで歩いていったシャークんを膝の上に乗せ、軽く揺らしたり、ぬいぐるみを使ったりして気をそらしながら、俺に目で合図してくる。
俺がやるの……?
シャークんの気が俺に向かないように、きんときから注射器を受け取って、サッと消毒して、注射器を刺そうとしたとき、違和感に気がついたのか、くる、とこっちを見た。
自分に注射器が向けられていると気がついたのか、みるみるうちに目に涙をため、静かに泣き出してしまった。
「……ぅ”〜〜、」
「大丈夫だよー、すぐ終わらせるよからねー」
「…………はい、終わり!頑張ったね!」
大泣きし始めてしまう前にきんときに目を塞いでもらい、さっさと刺してさっさと採血して注射器を机の上に置き、検査に回す。
その間に落ち着いたのか、大人しくきんときの膝の上で座っていた。
「シャークん落ち着いた?」
「うん、とりあえず、スマイルと合流してくるからきりやんそこの子見といてくれる?」
「もちろん、元はといえば俺が拾ってきた子だし、俺が面倒見るよ」
「わかった、すぐ戻るね」
そう残して、なるべく静かに急いで、医務室をでていったきんときを見送って、俺は横のカーテンの中を覗く。
「あ、起きてた、おはよー」
「……」ペコ
声が出ないのか、言葉を知らないのかはわからないが、声を掛けると軽く会釈をする。
言ったことが伝わってはいるので、言葉はわかっているのだろう。
「痛いところとか、なんか変だなって思うところはある?」
「……ぃ、た……ぃ」
「…?ごめん、もう一回言ってもらってもいいかな?」
「…め、が……ぃたい…」
声は小さいが、はっきりと自分の気持ちを言葉にした
目が痛い、といったので、前髪を分け、軽く診ると、右目が赤黒く変色していた。
「…っ…!?」
「……?、」
不思議そうな顔をする少年を怖がらせないよう、今起こっていることを軽く伝えると、泣くことも、驚くことも、怯えることもなく、ただ、ぼーっと話を聞いていた。
「きりやーん、お待たせ、あれ起きて……た……」
「ちょうどいいとこに、これなにk」
「きりやん!!裏のとこから258Bと3248Iの薬品と、あと、摘出具、それと…麻酔持ってきて!!E88!!!!早く!!!」
カーテンを分け、入ってきたきんときは、彼の右目を見るや否や血相を変えて俺に指示を飛ばす。
まるで詳細はあとだというような青い瞳に急かされ、言われた通りのものを持ってくる。
その流れでさっさと、医務室から追い出され、1時間20分。
疲れた様子できんときが医務室からでてきて、俺を呼んだ。
呼ばれるまでの間は、図書館に行ったスマイルの代わりにBroooockとシャークんのお守りをしていた。ちなみに呼ばれる数分前に3冊くらい本を買って帰ってきた、ちゃっかり本屋にも寄ったらしい。
中に入ると、少年の右目にはガーゼが張られていて、まだ麻酔が効いているのか、ゆったりとした呼吸で眠っていた。
「それで、説明してもらおうか」
「あ、そうだったね、ごめんね色々頼んじゃって」
「別にいいよ、顔見りゃわかる、一刻を争う事態だったんだろ?」
「そうそう、詳しくは言えないけど、何か良くないもの…そうだな、ちょっとファンタジー的だけど、ここから少し遠いところにある国の王族に伝わる呪い?的なものと症状とかがヒットしたんだよ」
「初期症状は声を出すのが難しくなる、右目に痛みを感じる、そして感情の抑制、この3つ」
「ほっとけば体に症状が回りきって、結論を言えばもがき苦しんで死ぬ。」
「王族の中の、一番最初に生まれた男児が呪いを請け負う、もしも男児が生まれなければそれは先代の主へと戻っていく」
「伝わっていた伝承はこれ、結構最近にもらった本に書いてあったんだよ、」
「え、でも、見ただけであんな慌てて…」
「あぁ、そうそれなんだけど、あの赤黒く変色する目、症状が出始めた証拠なんだよ、きりやんが連れて帰ってきたときにも軽く見たけどその時はまだきれいな水色だった。」
「さっきは、早いうちに元凶潰して広がるのを止めようと思ったの、ごめん、広がったらそこからさらに広がるから一刻を争うと思って…」
「…いや、いいよ、あの子が元気なら、俺はそれでいい、もしもその呪いってやつが原因で捨てられたなら俺が責任持って面倒見るよ。」
「そう言ってくれると思ってた…ありがと」
きんときはふにゃ、と笑みを浮かべた。きんとき、まだ16とかなのに医者として働ける技術と知識があって、十歳くらい年下の面倒見てて偉いと思う。まぁ、俺も16だけど。
俺よりも優れてる、今まで子どもに懐かれなかったから買い物とかでみんなの手伝いをしてたけど、これからは、俺があいつを幸せにしてあげないと。
疲れたのかきんときは立ち上がり体を伸ばして、医務室から見える中庭に目を向けた。
外では、日陰で本を読んでるスマイルと、ボール遊びをしているBroooockとシャークんがいた。
スマイル、あれ本読んでるように見えて、本当は怪我をしないか気が気じゃないから、実際本を読むては進んでいない。
ああ見えてかなり心配性なんだよなあいつ。
そう思いながら、そろそろ夕飯の準備をし始めないとな考えて、キッチンへ向かった。
続きます