テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
41
1,303
1.復習心
「その言葉、そっくりそのまテメェに返してやるよ」
「!」
リヅとイサナが声のした方を振り返る。
なんとそこには、先程悪魔の技でこの場から消えたはずの院瀬見が立っていた。
「院瀬見先輩…!?」
リヅが驚く。院瀬見のスーツはボロボロで、体の至るところが傷だらけだった。
「な…なんであんたがここにいるのよ…!!殺したはずなのに…!!あ゙ぁぁもう…!!」
悪魔が自身の顔を掻きむしる。できた傷から血がだらだらと流れた。
院瀬見はその悪魔に鋭い睨みをぶつけた。
「お前、そのしょーもねぇクソみてぇな性格今すぐやめろ」
「えぇ…?」
悪魔が泣きながらこちらを見た。
「キッショいんだよ、どうせ全部嘘を垂れ流してるだけなのにギャーギャーと騒がしい」
「ひどい!!どうしてそんな酷いこと言うのよ!?」
「黙れ殺すぞ。テメェはただ悲しみの感情から生まれただけの悪魔。自分自身に悲しみなんて1つもねぇんだろどうせ。そうやって騒いで、今まで色んな奴らをイラつかせてきたんだろうな」
院瀬見の言葉を聞いていたリヅは静かに立ち上がった。
2.私の気持ち
「お前は長い間悪魔として生きてるから知らねぇんだろうが、この世界にはお前よりも何かを失って悲しんでる奴がうじゃうじゃいんだよ」
「……」
「私も家族を失った。お前ら悪魔のせいでな。お前らみてぇな悪魔なんて奴がいなければ私は今でも幸せに暮らしてた」
院瀬見は啖呵を切った。
「テメェには分かんねぇだろうな…誰かを失うことの気持ちなんてなァ!!」
スーツの内ポケットからメスを取り出してぶん投げる。その動きに合わせてイサナが再び片手を上げた。
「ウツボ」
イサナの背後からウツボがわっと飛び出す。悪魔はメスとウツボを両方とも器用に避けた。
イサナと院瀬見、両者の息が少し荒ぶっている。
「よくも思い出させてくれたな。テメェはどの悪魔よりもズタズタにして殺してやる」
そう言って悪魔を睨みつける その目には、誰よりも悪魔を憎む院瀬見の復讐心が籠っていた。
そして、何を思ったか突然に院瀬見が悪魔の元へと歩いていった。
示し合わせた訳でもないだろうに。イサナがその後を着いていった。
「え…?」
リヅは院瀬見とイサナの行動が理解できず、ただ目を凝視させた。
院瀬見、イサナの足が止まる。悪魔の目の前で。
「な、何よ…!」
院瀬見は悪魔の頭に指を立てた。
「死ね」
悪魔の体に異変が起きる。
3.脳細胞破壊
脳がぐらつき、激しい目眩と吐き気に襲われた悪魔はたまらず地面に倒れ込んだ。
「な…ッ…あんた…私に…何したのよ…ッ!」
「テメェの汚ぇ脳みそに直接技を送り込んだだけだ。私の気持ちを踏みにじったんだからこのくらいされて当然だろ?」
早く殺さなければ。院瀬見を見ながら悪魔はそう思っているのに体がついて来ない。 反応しない。自分の身体が自分じゃないかのような、なんだかとても変な感じがする。
悪魔が口から血を吐き出したそのとき。
「残念だったな。精々地獄で泣き喚いてろ」
「一生生まれ変わらなくていいよ」
院瀬見とイサナが口々に言う。
その言葉を言われたのを最期に、悪魔の意識は途切れた。
4.集結
「はぁ…」
「院瀬見先輩!大丈夫ですか!海は!」
砂ぼこりを払う院瀬見にリヅが走りよってきた。リヅ自身も酷く汚れている。
「私よりイサナの心配してやれ」
リヅがそう言われ、やっと気づいたかのようにイサナの元へと向かった。
「海…大丈夫か?」
「一生許さない。アイツ」
無理もない。長い間家族として暮らしてきた鮫が殺されたのだから。
「鮫はまたすぐ戻ってくる。きっと大丈夫や」
イサナの気持ちを察したリヅはイサナをなだめ諭した。 イサナは悲しげな顔でゆっくり頷く。
「院瀬見先輩は…怪我は?」
「この程度なら平気だ。お前こそ大丈夫か?」
院瀬見は顔についた血を拭く。全く痛そうな素振りを見せないので恐らくは返り血だろう。
「僕はなんとも…」
「あそ。じゃあ帰るぞ」
くるりと向きを変えて院瀬見は足早に去ろうとした。2人は慌ててその後を着いていく。
意外だった。院瀬見のことを「人のことを何も考えていないような傍若無人な奴」とばかりに思っていた。
院瀬見はちゃんと仲間のことを想っていてくれたというのをリヅは初めて目の当たりにした。
「馬鹿みてぇに機嫌いいなお前」
3人が横一列に並ぶ。
「なんとなくや」
案外、やっていけるかもしれない。
そう思うリヅの遥か上の 空には、綺麗な雲が流れてた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!