店が決まり席に案内されるとnaが話したそうにこちらを見ていた。
 na「あれからkn先輩と会ってないの?」
sh「…まぁ。」
na「でもさ、二人の感じを見るに良い雰囲気だったけどなぁ。」
sh「…いいから、早く決めろよ。」
na「あー、眉間にシワ!」
sh「お前がさせたんだろっ!」
 楽しそうに笑いながら俺の顔を指差す。でも、knにぶつかった時は正直驚いたし、やっぱり意識はするよな…。
 na「あ、そういえばshkってkn先輩の事呼び捨てだよな。」
sh「…へ?」
na「…え、もしかして先輩って知らなかった?」
 確かに。言われてみればnaは先輩ってつけてるな…。
 na「まさか…タメで喋ったりしてる?」
 俺は黙って頷く。naはまた大笑いして俺を指差す。
 sh「…やばいかな?俺、ずっと先輩って知らなくてタメで話してた。」
na「大丈夫なんじゃない?それか、今からここに呼ぶ?」
sh「へ!?いや、無理無理無理っ!」
na「冗談だって。焦り過ぎ!」
 俺はホッと胸を撫で下ろす。なのにちょっとだけ残念な気持ちになっていた。
 na「……。あー、ちょっとトイレ行ってくる。ご飯きたら先に食べてていいからね。」
sh「んー。」
 俺はこの時naの顔を見ずに返事をした。…今ではあの時のnaの表情を見ておけば良かったと後悔している。
naがトイレから戻ってくる。俺は言われた通りに先にご飯を食べていた。naも手を合わせて用意された料理に手をつける。なぜか満面の笑みのnaに俺は質問する。
 sh「…そんなにここのご飯食べたかったの?」
na「えー?うん、まぁそうかな。」
 曖昧な返事に俺はますます意味がわからないと困った表情でnaを見る。すると、隣の窓ガラスがコンコンと叩かれる。
 na「お、きたきた!」
sh「…は!?え!?」
 外にはbrと…knがいた。俺はnaを睨みつける。
 na「そんな怒んないでよ。shkが寂しそうな顔してたから呼んであげたんじゃん。」
 入店のベルが鳴りbrとknは俺達の席に向かってくる。どうしよう…俺はなるべく二人を見ないように食事に目を向けた。
 br「naから連絡きたからさぁー。knも連れてきていいよって言われたから連れてきた。」
na「ほら、座って皆んなで食べましょう!」
 わかってはいたが…俺の隣にはknが座る。naを見るとbrと楽しそうにメニュー表を見ていた。俺は横目でknを見る…。
 kn「…なんかごめんね。俺na達いるとは知らなくて。」
sh「knも…じゃないや、kn先輩も騙された…んですね。」
 knが俺をじーっと見つめる。
 kn「ん?先輩…?それに敬語…?」
sh「…せ、先輩って知らなかったので…。」
kn「あははっ!」
 急に笑い出すから俺もna達もビックリしてknを見た。
 kn「ごめん、いや…shkは面白いな。いいよ、今まで通りで。その方がいい。」
sh「わ、わかった。」
br「なに?なに?二人で何話してんの?」
kn「何でもねーよ。さっさと決めろ!俺が決めれないだろ。」
 はーいと言いながらnaと楽しそうにメニューを見つめる。あれ?あの二人ってあんなに仲良かったっけ?俺は不思議そうに二人を見つめていた。
 kn「あの二人仲良くてビックリするよなぁ。」
 俺は頷いた。knも同じ事を思ってるのかと思いknを見ると、目が合ってしまう。 俺は咄嗟に顔をそらしてしまう。するとbrからメニュー表がknに回ってくる。
 kn「shkのおすすめはどれ?」
sh「え!?お、俺?」
kn「俺こういう時ぱっと決めれないからさ。」
sh「俺は今食べてるやつと、これで迷ったけど…おすすめはわかんない。」
kn「じゃぁ、これにしよ。」
 俺が指差したメニューを迷う事なく選び、ベルを鳴らす。二人とも注文を終えるとnaが嬉しそうにこちらを見ていた。
 sh「なんか楽しそうだな。」
na「そりゃ皆んなで食べるご飯は美味しいからねー。」
kn「naとbrはいつからそんな仲良くなったの?」
br「えー、いつもこんな感じだけどな。それより僕気になったんだけど、shkの顔怖くなくなったねー。」
 brの言葉で皆んなが一斉に俺を見る。恥ずかしくて俺は下を向きご飯をかきこんだ。
 na「照れ屋なんだから。」
br「本当だ!耳まで真っ赤じゃん!」
kn「おい、あんまからかうなよ。shkごめんな。サークル内でもさ、あの二人が揃うとあんな感じで。」
 knとbrが言い合いを始めると隣でnaが楽しそうに笑う。きっとサークル内でもこんな感じなのだろう。なんだか俺の知らないnaやknを見れて少し嬉しくなった。
 na「さ、俺は甘いのでも食べようかなぁー。」
sh「本当に甘いの好きだよなぁ…。」
 先輩達の料理が運ばれてくるとnaが続いて注文をする。
 br「めちゃ甘いの頼むじゃん!それ一人で食べんの?」
na「そうっすよ!甘いものは別腹なんで。」
sh「…胸焼けしそ。」
 naの話を聞いて俺はげっそりとする。brは嬉しそうにnaに質問していた。その光景を見て本当にbrはnaが好きなんだなぁって改めて思う。
 kn「…気になる?」
sh「え?」
kn「前にさ、naの事めちゃくちゃ心配してたでしょ?」
sh「…今は大丈夫。」
kn「brも悪いやつじゃないよ。」
sh「…わかってるよ。」
 俺はknを見る。優しそうな顔でbrとnaを見つめている。knにとってもbrは大事な友達なのだろう。俺がnaを見る目と一緒だった。
 kn「あ、shk。これ、一口食べなよ。」
sh「え?」
kn「迷ってたんでしょ?せっかくなら一口食べてみたら?」
sh「…まさかそれでこれ選んだのか?」
kn「どうだろうねー。ほら、食べてみなって。」
 口のあたりまでスプーンを持ってこられる。必然と食べさせてもらう形になって俺はそっとknの手をどかす。
 sh「い、いいよ。自分で食べるから。」
kn「えと…そうだよな!ごめん、何してんだろ俺。」
 きっと俺もknも顔が赤くなってるのだろう。確認はしないけど、目の前の二人の反応でわかる。
 kn達が来てめちゃくちゃ緊張はしたけど、意外と楽しくて時間があっという間に過ぎていった。
 “もっと一緒にいたかった”
 なんて言葉が出そうになるのを飲み込み、みんなと一緒に店を出た。
 
 続く。







