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「ハァ、ハァ、ハァ…..、」
ついに動かなくなった肉塊を前に、
急激に頭が冴えてくる。
頭に登っていた血が段々と下がってくる感覚と
手のひらのジンジンとした感覚だけが
残っている。
….人を、殺してしまった。
殺してしまったのは私のクラスメイト。
別に仲良くもないし接点すら大してない。
最近、友達も含めたクラスメイトが私に冷たく当たるようになっていた。
理由は分からない。
何か下手なことしたわけではないと思うんだけどな。
最初は無視や冷たくされるだけだったけど、
最近になってエスカレートしてきていた。
それがついさっき、殺されかけたんだ。
放課後、空き教室に居残るよう言われて。
何かされることは分かってたけど、
カッター持って飛びかかってきたときはおどろいた。
私は理性より生存本能が圧倒的に勝ったんだ。
カッターで腕を刺されてしまったから、
それを奪い取って投げ捨てて。
そこからの私は理性なんてものは無くて、
ひたすらに殴って蹴ってしてて、
気づいたらそのヒトは冷たくなって
ただの肉塊と化していた。
抵抗しすぎた。
いくら殺されかけたとはいえ、悪いのは私だ。
「これ、どうしようかなぁ……」
クラスメイトには、お弁当捨てられたりテストを黒板に貼っ付けられたりとかされてきて
さすがに心にこたえた。
だから警察に行くなんてことしたくなかった。
ガラガラ(扉が開く音)
「ぁ、」
やば、見つかっちゃ…
、
「……コネシマ。」
まさかの入ってきたのは私の唯一一緒にいてくれた友人だった。
あぁ、よりによってコネシマだなんて。
私に失望しただろう。
人殺しの天罰かな。いや、それだと軽すぎるか笑
『………』
もうさすがに、隠しようがないな。
「、….私、自首し、て、くる。」
【knサイド】
『、….私、自首し、て、くる。」
怯えたように震えるその瞳が愛らしくて、
頬が緩みそうになる。
アカンアカン、せっかく成功したんや。
バレんようにせんとな。
俺がクラスメイトたちに根も葉もない噂をまわして、冷たく当たるように仕向けた。
それでついこないだ、そこでころがってるソイツに頼み込んだんや。
お金渡すから、、って。
そしたらコイツ、嬉々としてカッター持ってったんやで。
どんな教育受けてきたんやろ。
まあ、今回ばかりは助かったけどな。
あぁ、こんなことしてたなんてバレたら
嫌われてまうわ。もっと気を引き締めんと。
「なんで?」
警察なんて行かんといて。
俺とおってよ。なぁ。
『なんでってそりゃ…..人、殺しちゃったから。』
「でも、お前はソイツに殺されかけたんやろ。」
『ッ、なんで知って…?!』
「….そこに転がってるカッター、ソイツのやつやん。」
『、』
疑われかけたけど、納得してくれたっぽい。
あっぶね、ボロ出すとこやったわ。
「なら、正当防衛やろ。」
『、でも』
あともう少し、畳み掛けたらイケそう。
「それに」
「お前のこと想ってくれとる家族が人殺しの家族というレッテルを貼られて生きていかんといけんくなるけど。それでもええん?」
『…..それ、は』
「嫌やろ?」
お前は、家族想いやもんな。
家族なんて所詮フィクションの産物に過ぎんのにアホらしい。
でも、そんなとこも含めて愛しとる。
『….じゃあ、どうすればいいの、!』
『そんなこと言ったって、私にはもう、誰も…!』
….おかしいな。刷り込みが足りんかったか。
「俺がおるやろ。」
『、、』
救いを求める目でこっちを見てくるから理性がトびそうや。
そうだ。そうやって、俺だけを見て、
俺だけに救いを求めてくれ。
『ほんと、?』
「ホンマや。俺に、ついてきぃ。」
「俺だけが、お前を助けられるんや。」
『、わかった。』
あぁ、やっと。
やっと、堕ちてくれたんやな。
これで、二人きりになれた。
頑張ったかいがあるわ。
君は今までの一部始終が全て俺の計画通りだなんて、知る由もないだろう。
それでいい。それが幸せなんだ。
ーEND