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たっつんに頭を撫でられたまま、じゃぱぱは静かに目を閉じた。
不思議だった。
ほんの数時間前まで、
“頑張らなきゃ”しか頭になかったのに。
今はただ、
この時間が終わってほしくないと思ってる。
「……たっつん」
「んー?」
「俺、めんどくさくない?」
たっつんが一瞬ぽかんとする。
「は?」
「だって、急に泣くし」
「弱音吐くし」
「重いし」
じゃぱぱは気まずそうに笑った。
「こんなん、普通に疲れるでしょ」
その瞬間、
たっつんの眉がぐっと寄る。
「お前ほんま自己評価どうなっとん」
「え」
「好きなやつがしんどそうにしとったら心配するん当たり前やろ」
「“めんどくさい”で片付けられるわけないやん」
その声が少し強くて、
じゃぱぱは目を瞬いた。
たっつんはハッとして、
少しだけ言い方を和らげる。
「……ごめん」
「怒ったわけちゃう」
「ううん……」
「ただ、お前が自分をそんな風に言うん嫌や」
静かな声だった。
じゃぱぱの胸がじわっと熱くなる。
「お前、ずっと一人で耐えてきたんやろ」
「ほんまは限界やったのに、“迷惑かけたくない”って黙っとって」
たっつんは困ったみたいに笑う。
「それ見て“めんどい”って思うほど、俺冷たないで」
じゃぱぱは言葉を失う。
たっつんは少しだけ視線を逸らしながら続けた。
「むしろ」
「頼ってくれたん、嬉しかったし」
その一言で、
じゃぱぱの心臓がぎゅっと鳴る。
「……っ」
「お前、いつも人のことばっか優先するやん」
「せやから今日、“離れんで”って言われた時」
「正直めちゃくちゃ嬉しかった」
じゃぱぱの耳がまた赤くなる。
「そ、そんなこと……」
「言ったやろ」
「……言いました」
たっつんが笑う。
その笑顔があまりに優しくて、
じゃぱぱは視線を逸らせなくなる。
しばらくして。
たっつんがふと、じゃぱぱの頬に触れた。
びく、と肩が揺れる。
「顔まだ赤い」
「たっつんのせい」
「俺?」
「……告白したから」
「うわ」
「改めて言われると恥ずいな」
二人して変な空気になって、
思わず同時に吹き出す。
さっきまで泣いていたのに、
今は笑えている。
それがなんだか嬉しかった。
笑いが落ち着いたあと。
たっつんは少しだけ真面目な顔になった。
「なあ、じゃぱぱ」
「ん?」
「これからもしんどくなったら、ちゃんと言え」
じゃぱぱが目を伏せる。
「……努力します」
「努力やなくて約束」
「う……」
逃げようとした瞬間、
たっつんが軽く額を小突いた。
「一人で潰れそうになるまで我慢すんな」
「お前が思っとるより、俺らちゃんとお前の味方やから」
その言葉が、
また胸の奥に沁みる。
じゃぱぱは少し黙ってから、
小さく頷いた。
「……うん」
するとたっつんが、
安心したみたいにふっと笑った。
そのあと。
「で?」
「?」
「今日はもう寝ろ」
「……はい」
「俺が見張っとく」
「なんで!?」
「お前絶対あとで編集戻ろうとするやろ」
図星だった。
じゃぱぱが黙る。
たっつんは呆れた顔をしたあと、
でも最後には優しく笑った。
「今日はちゃんと休め」
「リーダーじゃなくて、“じゃぱぱ”として」
その言葉に。
じゃぱぱはようやく、
少しだけ安心した顔で笑った。
コメント
1件
第8話、すごくよかったです。“めんどくさい”って自分を責めるじゃぱぱに「頼ってくれたん嬉しかった」って返すたっつんの優しさが沁みました。さっきまで泣いてたのに一緒に笑えるようになるシーン、あの空気感が自然で、“ちゃんと笑えた”タイトルがじんわり効いてます。