両片思いのゲンと千空
「千空ちゃんって好きなタイプとかあるの~?」
真っ昼間男2人で化学王国恒例の地道作業をしてる中、ゲンは夜の修学旅行の女子みたいな事を言い出した。そんなゲンの言葉を特に考えもせず千空は言う
「あ”ー?やるべき事やる奴」
ゲンは千空が質問に答えた事に対してもびっくりしたがその質問の答えが思ってたよりガチな感じだった事の方が何十倍もびっくりした。そう。ゲンは千空の事が恋愛的に好きだ。だけどその事を千空にバレ距離を置かれるのも怖いし何より千空が人類全員救おうとしている邪魔はしたくないからだ。ゲンが普通の芸能人なら今の感情を抑えきれなくて千空に察されてしまうだろう。が、運良くゲンはメンタリストなだけあって顔色一つ変えずに話を流した。
「ほぇ~やるべき事やる子ねぇ…当てちゃお~」
「勝手に当てんじゃねぇ好きな奴なんざ別に…いねーわ」
その言葉の間にゲンが気付かない訳もなく、その間がどういう意味を指しているのかもすぐに分かった。千空には好きなコがいる。(あー、これ予想よりきついかも)なんて思いながらも
「ん〜村の子みんな自分の仕事はしっかりこなす良い子ちゃんばっかだしねぇ~そん中で千空ちゃんのタイプっぽい子だと…」
心の中ではもう言いたくない言うなゲン。って思っていてもペラペラ男なだけあってどんどん言葉が出てきてしまう。
「コハクちゃんとか?」
「村の子じゃないけど南ちゃんとか?全人類復活したら純情化学少年解禁でしょ~今のうちに俺が恋愛テクでも教えちゃおっかなー……」
だめ。絶対だめ。
「……ウルッ」
今ここで泣いたら意味分かんないでしょ。察し悪い千空ちゃんでも流石にバレる。あぁ、、ダメだほんとメンタリスト失格だ…
「…ぅ、泣」
そのゲンの様子に千空は焦った。なんで泣いてるのか自分が泣かしてしまったのか。いや、普段にこにこして泣き顔なんて想像も出来ないゲンが今自分の目の前で泣いている事に。
「おいゲン大丈夫か?」
なんて声を掛けるのが正解なのか分からない。
「グスッ泣ごめッ泣なんでもないッから泣向こう行っててッ泣」
とりあえずこれ以上今の自分を千空に見られたくないと思い背を向けたゲン。だが千空はゲンがなんで泣いているのか未だに分からないまま、好きな人が泣いているのに傍で支えられないという今までで初めての状況に困惑してきた。これが恋愛脳かよ厄介だなとか思ってた時ゲンが立とうとした。
「ごめッ泣俺行くね…ッ」
何処行くんだよ。離れんなそう思っただけなのについ勝手に手が動いてしまった
「ガシッ待てゲンッ」
その言葉に千空は唖然とした。自分のせいで泣いているのか?嫌われているのか?ゲンも千空に嫌われそうで怖かったが千空もまた嫌われているのかと怖くなった。
驚きながらゲンの事を見つめている千空にゲンはやってしまった。と思いまず謝ろうと言葉を発した。
「ごめ、千空ちゃん…びっくりしたよね、ほんとごめん、。」
「あ”ー。謝んな 理由あって泣いたんだろ?……無理にとは言わねーが話し聞かせてくれねーか? 」
本当は話したくはない。でも心配してくれてる千空に対して断るのは酷いと思い全て打ち明ける覚悟をした。
「…俺千空ちゃんの事が好きなの。……ごめん気持ち悪いよね、」
「そりゃ前にも聞いたな」
「あー、、あれもだけど…恋愛的に好き、」
言ってしまった。メンタリストのくせに千空が今どんな気持ちなのか全く分からない。顔に出ていないかも分からず自分が嫌になる。
「…サッ」
「!ガシッ逃げんなゲン」
逃げようとしたゲンの腕をミジンコパワーながらガッチリ掴み獲物を捕らえたかのような状況だが、そこに浮かぶ千空の顔は今まで見せた事の無いような心配そうな顔をしている。ゲンはまだ千空の気持ちに気付いていない。掴まれた腕に力を抜き下を向いてただ黙っている。
「あのなぁ、勝手に勘違いしてるが俺は気持ち悪ぃとは思ってねぇ」
何も動揺しないゲン。
「…俺もテメーの事がそういう意味で好きっつってんだが」
全く動揺していない…いや。徐々に赤く染る耳を千空は見逃さなかった。フンと嬉しげに言う。
「こりゃリョウオモイっつー事でいいのか?ゲン先生」
負けた。千空にはいつからバレていたんだろう。負けてしまったけど、悔しくも悲しくもなくただ、ただ今はこの世の誰よりも嬉しい気持ちでいっぱいだ。
「…はい//」
「ったく…今日は休んどけよ」
両思いだと認めあったのに何かポカンとしているゲン。千空は少し考え人生初めてあの言葉を言う。
「ゲン。好きだ。テメーの笑い声がするとすぐそっち見ちまうし最近はゲンと体を触れ合いてぇとか思うくらいな」
「恋愛初心者サマだが、オツキアイしてくれねーか?」
さっきまで泣き顔だったゲンがやっと元に戻り、千空に話しかける。
「もちろんっ!俺も千空ちゃんの事ジーマーでゴイスーバイヤーなくらい大愛してるもん」
「お約束だゲン」
きょとんとはてなを浮かべるゲン
「これから俺には嘘の顔つくな だが絶対じゃねぇ毎日俺の前では素顔見せろじゃプライバシーもクソもねぇからな」
「ただ、俺が言いてぇのは泣きたい時やら怒ってる時も隠すんじゃなくて俺にぶつけろ」
「これも強制ではねぇg…」
「うん…!千空ちゃんの前では嘘つくのやめる。」
「…俺メンタリストじゃん?自分の感情隠しすぎてどれがホントの自分なのか分かんなくなっちゃって…石化前も1ヶ月に1回くらい一日中涙止まんなくなったりして…」
「そうか 頑張ったな」
いつもの千空なら絶対言わないような言葉を言ってくれた。特別感がしてどうも口角が上がってしまう。
「んぐッ笑 」
「あ!?何にやけてやがる」
「いや、千空ちゃん俺の事好きだなぁって」
「そっくりそのままお返しするわ」
「笑笑」
昨日より晴れた今日。
2人の笑い声が響き渡る。
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